新人の新人教育!? 5
(どうする?何を出せば良い?)
アリサは頭を捻っていた。
負けたら終わりと言われたら、誰でも頭を捻り突破口を探す。
故に頭を捻る、勝利するために考える。
(まずアカキバ君はパーであいこになれば負け、勝てばあいこになると言うのは確定・・・問題はこんな決まりにした意味だけど、それは当然勝つ可能性を上げる為・・・私がグーを出せば勝つ可能性が一つとあいこになる可能性が二つ・・・チョキを出せば勝つ可能性とあいこになる可能性と負ける可能性が一つずつ・・・パーを出せば勝つ可能性が二つと負ける可能性が一つ・・・やっぱりグーを出すのが合理的かな?いや、アカキバ君はそんな事分かっているからそれだと絶対にグーかパーを出す、あいこになったら生徒が得られる物を無くすことになる・・・ここはパー?でもそれを見抜かれてチョキを出されたら・・・うわ、最悪だ。)
悩めば悩むほど分からなくなる、赤牙の策略が。
グーを出せばあいこになる可能性が高い、あいこになれば生徒から恨まれる。
かと言えパーを出せば勝つ可能性が高いが、そこを狙われる可能性も高い。
(とは言えチョキは論外、何故なら完全に運任せだから。)
悩む、悩む、考える、考える・・・
「アベル先生、アカキバと姉さん、どっちが勝つと思います?」
「・・・グーを出せば負ける事はないが生徒の不満を買うだろう。」
「テメェだけ得して俺達を見捨てやがったな・・・と言う訳ですか?」
「その通りだ、ロイド。」
「私、少し思ったんですけど・・・」
(あれ?ちょっと待って・・・アカキバ君がグーを出すか?)
アリサが何かを閃いた。
(パーで勝てないと言う事はグーかチョキで勝つしかない、そうなったらアカキバ君がグーを出すか?私だったら絶対出さない。何故なら相手はチョキを出したら勝つ可能性もあいこになる可能性も一つしかなく、おまけに負ける可能性もあるから出してくれないので絶対に出さない。そしたらチョキかパーしかない・・・良し、出すのはチョキだ。)
アリサは覚悟を決めた。
「じゃあそろそろじゃんけんをしよう!」
「分かりました、では手を後ろにやって・・・」
「あ、始めるみたいだぞ。」
アベルが審議の用意をした。
「エイルさん、貴方の言う通りに姉さんはチョキを出すんでしょうか?」
「アカキバさんはチョキかパーしか出さないからチョキを出すでしょう。」
「・・・待て、アカキバが見抜いているかもしれないぞ。」
「そうだな、ロイドの言う通りアカキバは見抜いているだろう。」
「アベル先生、そうするとアカキバが出すのは・・・」
「チョキだ。」
「え?どう言う事で・・・」
「良いから見ていろ。」
「では行きますよ~」
「分かった、アカキバ君。」
「「じゃ~ん・・・」」
(ハッ!?待て!)
突然、アリサに雷光が走った。
「け~ん・・・」
(チョキじゃ駄目だ!チョキじゃ・・・)
「ぽん!」
両者、出し終わった。
「アリサが・・・パー。」
アリサが出したのはパーだった。
「そしてアカキバは・・・チョキ!」
勝負は決まった、アカキバの勝ちだ。
「「「本当にチョキを出した・・・」」」
三人が呆然としていた・・・
「この勝負、グーを出せば負ける事は無かった。」
アカキバが喋りだした。
「しかし、出せない。あいこになる可能性が高いからだ。あいこになれば生徒に恨まれる、だから出せない。しかしチョキだと勝てる可能性と負ける可能性とあいこになる可能性が一つずつ、普通は出さない。だが、イヴァンの姉さんは俺がグーを出せないと思っている事を見破られていると思った。だからチョキを出す事を思い留まった。だから結局負けても名誉を守れるパーを出した・・・良かったですね、名誉を守れて。」
アカキバが皮肉を言い出した。
「勝とうと思ってやった事だもん、許されますよね?得しなかったんだもん、許されますよね?グーを出せば自分だけ得出来るのが確定だったけどそれを生徒の為に選ばなかったんから生徒も大喜びですよね?イヴァンの姉さんだけ俺の金の掛からない願い事叶える破目になって損してますけど、でも生徒は慰めてくれるからそれで良いですよね?夫の情報を確実に手に入れる事が出来る方法があったにも関わらず、一年も経てばお別れになる生徒を気にして一生を共にしようと誓った夫と言う存在を無視した貴方は馬鹿です!でも妻と仕事どっちが大事かと言えば仕事なのが世の中の暗黙の決まりですからね。要するに馬鹿で当たり前なんです、皆さん!当たり前の事が出来たアリサ先生を盛大に褒めてあげましょう!せーの、バ――・・・」
赤牙の長々とした皮肉の途中、アベルが赤牙に近づいて来た。
「それ以上は・・・やめてくれ。」
「当たり前に馬鹿と言って何が・・・」
「怒るぞ。」
アベルが珍しく、怖い声を出した。
「・・・まぁ俺は100点さえもらえればどうでも良いですし、アリサ先生!」
「・・・・・・・」
アリサは皮肉が聞いているのか、黙っている。
「願い事は部活で言うから後で部活に来てくださいね!」
アリサは力なく首を縦に振った。
こうして、新人の新人教育が・・・暗く終わった。




