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新人の新人教育!? 2

 「これから新人教育を始める、まずは・・・」


 「いやいやいや!色々聞きたい事が!」


 「何だアリサ、何を聞きたいんだ?」


 アベルがキョトンとした顔で質問した。


 「まず一つ目!どうして貴方の家に来る事に!?」


 「近い方が教えやすいだろ、エイルだってそうしてたって聞いたぞ。」


 「エイルって、あのエイル姫がそんな事・・・」


 「訓練相手のアカキバに聞いたんだ、間違いない。」


 「それで二つ目ですが・・・」




 「へくしゅ!」


 「どうしましたエイルさん、風邪ですか?」


 イヴァンがエイルに質問した。


 「いえ、アベル先生が女性を家に入れて私の噂話している様な気がして・・・」


 「随分具体的な予想ですね・・・」




 「二つ目ですが、ここどこですか!?」


 「ここは試練の宮殿と言ってな、戦闘能力を鍛えるならここが丁度いい所なんだ。」


 試練の宮殿と言うのは、以前アカキバ達が魔人と戦った場所の事だ。


 「・・・何で地下へ続く階段がこんな所に?」


 「深くは考えるな。」


 「分かりました・・・最後に三つめの質問ですが、私はここで何をすれば良いんですか?」


 新人らしい質問だ。


 「俺の基準で一人前と呼べる位に教師として強くなってもらう。」


 「でも、私は新人ですので時間を取られるかと・・・」


 「能力の上げ方は教える側のやり方によって決まる、時間を取られるのは教える側が無能だからに過ぎない。だが俺は無能じゃない、だから短時間で教師として強く出来る。俺が担当している風組の生徒達は授業を全く聞かない者もいるけど、俺はその生徒には授業を聞く事は向いてないと判断し、その授業の実践訓練をやらせるぞ。」


 「え?でも苦手は治した方が・・・」


 「俺に言わせれば、全ての生徒に同じ事をやらせるのは愚かな事だ。誰にでも苦手な事と得意な事はある。苦手は克服しろだなんて言う奴は大体無責任だ。何故なら克服にも手間が掛かる。その手間を得意な物に回した方が苦手な物に比べてすぐに伸びるし、教える側にも手間は掛からない。苦手を克服させるのに手間が掛からないのなら話は別だが、手間を掛けても苦手は治すべきだと言う教師は何も考えていないか得意な物を沢山見たくて、或いは見せたくて生徒に自分が当たり前に出来る事を押し付けているに過ぎない。」


 「・・・・・」


 アリサは何も言い返せない。


 「要するに、お前は魚の釣り方の種類が少ない。」


 「魚?」


 アリサが疑問符を浮かべる。


 「と言う訳で、今から俺の問題に答えてもらう。」


 「いやいや、問題に答えるだけなら別にここじゃ無くても・・・」


 「ここは俺の問題を現実に出す事だって可能だ!」


 「アベル先生滅茶苦茶だ!」


 こうしてアベル先生の楽しい新人教育が始まった・・・




 「ここに二人の男子がいる。さて、ワサビをたっぷり付けた寿司と、醤油をたっぷり付けた寿司と、二人の男子はそれぞれどっちが好みかな?」


 「そんなもん分かるかい!」


 ある部屋に連れられ、アベルから問題を出されたアリサだが、いきなりの難問にぶち当たった様だ。


 「それがお前の悪い所なんだよ、先入観だけで生徒を判断するからケツの火傷が治らないんだ。」


 「それ関係ないでしょ!?て言うか何で知ってるの!?」


 「適当に言ったのが当たるとは・・・」


 「あぁ~!もうこの人色々、訳わからな~い!」


 その後、アリサは色々と質問して正解出来た。


 「さてと、次は成長速度に付いて行けるかの訓練だ!」


 アベルが手を叩くと、部屋の端から芽が出た。


 「この芽は何ですか?」


 アリサが質問した。


 「それがどんどん成長するから、それを何度も飛び越えるんだ。」


 「はぁ・・・分かりました。」


 趣旨が良く分からないまま、何度も何度も飛び越える。


 芽が花になり、花が大きくなり、根が高くなり、根からまた新たな花が咲き、その花も大きくなり、一番上の花が涎を垂らし・・・


 「アベル先生!!ヤバいって!!この花、絶対にヤバいって!!」


 「当たり前だろ、フラワータイプと言う魔人なんだから。」


 「新人教育に魔人なんか出すな~!!!」


 アリサはそれからも、命懸けでフラワータイプを飛び越え続けた。


 それからアリサは、仕事の効率を良くする為に授業内容を考えたり、それをアベルに無駄が無いと言わせるまでやったり、トラブルを起こした生徒の対処法を考えたりと色々な事をやった。


 そして五時間が経った・・・




 「良し、これで新人教育を修了する。今やった事を紙にまとめておいたから渡しておく、無くしたらいつでも新しく書いてやるぞ。」


 「ハァ~、ハァ~、疲れた・・・でも、これで教師として強くなれたんですよね?」


 「少なくとも信用は得られるはずだ、強くなったと思って間違いない。」


 アベルが自信満々に答えた。


 「それにしても、アベル先生は私と同じ新任教師なのにここまで実力に違いがあるなんて・・・鬼才とはまさにこの事ですね・・・」


 「ありがとよ、アハハハ・・・」


 アベルが嬉しくて笑った。


 「誰だ!鬼の才能とか言った奴は!!」


 突然赤牙が現れた。


 「「いきなり出てくんな!!」」


 アベルとアリサは驚いた。


 「アカキバ、鬼に過剰反応し過ぎ・・・あれ、姉さん?」


 「イヴァン、どうしたの?こんな所に。」


 「こいつイヴァンの姉だったのか、道理でツッコミにキレがある訳だ・・・」


 アベルは更に驚いた。


 「初めましてイヴァンの姉さん、俺はアカキバ・マイカと言います。」


 「イヴァンの姉の、アリサ・ユーです。」


 赤牙とアリサが自己紹介した。


 「あれ?何で苗字が違うんだ?」


 「アベル先生、イヴァンの姉さんは結婚してて、それで苗字が違うんじゃないかと。」


 赤牙がそう答えた。


 「あ、そうか。アリサ、結婚相手はどんな奴だ?」


 すると何故か、アベルの質問に姉弟は黙り込んだ。


 「アベル先生、もしかしたらイヴァンの姉さんの結婚相手は・・・」


 「行方不明です。」


 アリサが元気の無い声で答えた。


 「そうか・・・ごめん、悪い事を聞いた。」


 「「・・・・・」」


 赤牙とイヴァンが黙り込んでいる。


 「俺と同じか・・・」


 「え?」


 「いや、何でもない。」


 アリサは首を傾けた。


 「ところで、一つイヴァンの姉さんに言いたい事があるんですけど・・・」


 「何かな?アカキバ君。」


 赤牙は息を大きく吸い、


 「アベル先生を鬼とか言うな、バカ!」


 と叫んだ。


 「「「何故鬼をそこまで嫌っているんだアカキバ・マイカ!!」」」


 こうして新人教育が終わった・・・






 訳では無かった・・・

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