強い者と強い者と弱い者。
「では、これより月に一度の席争奪戦を開始する。」
シガサ国立学園の庭にて、学園全生徒が揃っていた。
「実況を務める一年風組担任のアベルロードと・・・」
「一年風組生徒のアカキバ・マイカと・・・」
「三年光組担任のサラ・スカルだ、よろしくな。」
サラ・スカルと言うのは幻属性部顧問の事だ。
「一年生の為に席争奪戦について説明するぞ、要するに学園の庭の中で相手の組の生徒を全員戦闘不能にすれば戦闘不能にした組から椅子を一つ交換できる。ただし倒せるのは三組まで、三組倒したらもうその組は倒す事は出来ない。後、一組倒した奴を一組倒した奴が倒してもその組は二組倒したと言う判定になる。」
アベルが説明した。
「説明はこんな所だ、皆全力で戦ってくれよ。」
サラが励ましの言葉を発した。
(武器は使える、そのダメージは魔力に行くと言うのはこの世界の常識だから説明しなくても良い事か。)
赤牙が心の中で呟いた。
そして、席争奪戦が始まった。
(さてと、透明の色に合わせて・・・)
風組のイヴァンが杖を向けた。
そして魔力を込めた。
一年風組以外の組の十数人が、魔力を急激に失ったような感覚に襲われた。
(何だこの脱力感・・・)
ブルーローズの地組もその内の一人だ。
すると突然後ろから、人が倒れる音が聞こえた。
(何!?)
なんと、同じ組の仲間が殆ど倒れていた。
いや、ブルーローズの組だけでは無くレインの闇組や、シヴァの風組や他の組の殆どが倒れているでは無いか!
「一年闇組!一年光組!二年風組戦闘不能!一年風組は戦闘終了!」
あっという間に三組が脱落し、風組はあっさり勝利した。
「「「「・・・・・・・」」」」
イヴァン以外の一年風組全員が呆気にとられていた。
そしてイヴァンが庭の外まで立ち去ろうとした。
「いや!ちょっと待て!」
ロイドがイヴァンを止めた。
「なんだ?戦闘の邪魔になるからとっとと・・・」
「なんだよその武器!?強すぎんだろ!?」
「強いに越した事はないでしょ、後、個人情報はあまり晒したくないんだけど。」
イヴァンはその後何も言わず、庭の外へ行き、他の風組も付いて行った。
その後はつまらない物だった、魔力をごっそり奪われて本調子の出ない者があっさりと他の者を戦闘不能にし、それだけで決着が着いた。
「席争奪戦終了、お疲れ様・・・」
こうして、味気が無くなった戦いが終わった・・・
「「「「・・・・・」」」」
強化部の部員たちが沈黙するのも無理はない。
部員達は赤牙が強化部を作った理由を部員たちなりに考えていた。
(俺は強いと思っている、だから手加減していた・・・)
ロイドが卑屈になっている。
(だけど・・・バカバカしくなるもんだね・・・)
レインも卑屈になっている。
(正直何をされたのか丸分かりだった、周りの仲間が倒れ、今布団で横たわっている・・・)
シヴァも同じ考えの様だ。
(あそこまでなら私でも辿り着けるでしょう、でもアカキバさんは・・・)
エイルも同じ考えだ。
(あ~つまんねぇ~)
ブルーローズはいつも通りだ。
((・・・・・))
赤牙とイヴァンは何も考えていない。
「なぁお前ら。」
ふと、アベルが口を開いた。
「・・・お前らは強いか?」
全員が頷いた・・・赤牙以外は。
「そうか・・・良し、もっと強くなるために今から合宿に行く。」
「「「「「「「合宿?」」」」」」」
アベルが唐突にこんな事を言いだした。
「と言う訳で、合宿場所に着いた訳だが・・・」
「いやいやいや!これどう見ても普通の一軒家ですよね!?」
イヴァンが突っ込みを入れた。
「うるさいなぁ~取りあえず入れよ。
「「「「「「お邪魔しま~す。」」」」」」
「お邪魔すんな!!」
家の中は至って普通だった。
「こっちだこっち。」
アベルは地下へ続く階段の近くにいた。
全員が地下へ降りていく。
「なんだこの凄い場所は・・・」
イヴァンの言う通り、地下階段を降りると、神秘的な宮殿と言うべき場所が広がっていた。
先へ進むと、大きな扉があった。
「良し、ここに一人ずつ入ってもらう。」
「中には何があるんですか?」
ロイドが質問した。
「入ってみれば分かる、ではまずお前から。」
ロイドが選出され、渋々ロイドは扉を開け、中に入った。
中は大きな丸い部屋だった。
ロイドが前に出ると、突然前の門が倒れた。
「え?何アレ?」
門を倒した者を見て、ロイドは驚愕した。
「シャ―――――!!!!!」
それは、大きな蜘蛛・・・スパイダータイプの魔人だったからだ。
「・・・何ですか?この蜘蛛の鳴き声みたいな・・・」
シヴァがアベルに質問した。
「あー、これはスパイダータイプの魔人の鳴き声だな。
「「「「「「はい!?」」」」」」
全員が驚愕した。
「なんでここに魔人が出て来るんですか!?」
エイルが質問した。
「まぁ、試練って事で出したんだろう。」
「何がですか!?」
エイルが補足で質問した。
「この宮殿が。」
アベルは冷静に返した。
「て言うかロイドは大丈夫なんですか?アベル先生!」
赤牙が心配で質問した。
「まぁアイツが本気を出せばスパイダータイプぐらい倒せるだろう。」
「本当ですか・・・」
赤牙が疑いを持った。
「シャ――――!!!!」
ロイドがスパイダータイプから逃げている。
だが敵わないと思って逃げている訳では無い。
(良し、光をナイフに出来た。)
そう、準備をしていた為だ。
光魔法はただ目くらましをする為の物では無い。
凝縮すれば物凄い熱を帯びた武器に出来る。
ロイドは光のナイフでスパイダータイプの体を斬った。
「グビャ―――――!!!!!」
スパイダータイプは奇声を上げ、そして絶命した。
すると、スパイダータイプが光となって消えた。
どうやらここの魔人は命が尽きると消えるようだ。
ロイドは部屋を後にした。
「ロイド!大丈夫か!?」
ロイドが出て来るなり、赤牙が駆け寄った。
「あんな蜘蛛ぐらい楽勝だ・・・ところでアベル先生。」
「何だ?」
「こんな所を知っているなんて、貴方何者ですか?」
ロイドの質問に、アベルが向こうを向きながら、
「この世の誰にも負けない自信がある、新任教師だよ。」
こう答えた。
「さて、次は僕が行こう。」
レインが名乗り出て、大きな部屋に入った。
「・・・なんだこりゃ。」
そこには下り階段と昇り階段が左右にあった。




