家宝とミーアさん
「どうしよう、完全に迷ってしまった・・・」
シガサの森の中、イヴァン・バサラは落とし物捜索の依頼を受けて、遭難していた。
「大体、森の中にこんな屋敷を建てるんじゃねぇよ、その分報酬は高そうだけど・・・」
屋敷の絵を見ながら、その後もイヴァンは森の中をさまよい続けた。
「ハ~、ようやく屋敷に着いた・・・」
それから二十分ほどさまよい続け、ようやく絵と同じ屋敷に着いた。
イヴァンは玄関を開け、屋敷に入った。
「すいません!依頼を受けに来ました!誰かいませんか!」
だが、返事は無かった。
「すいません!すいません!誰かいませんか!」
その後も何度も大声で呼んだが誰も返事をしない。
「勝手にお邪魔しますよ~」
イヴァンは靴を脱ぎ、スリッパに履き替えた。
すぐ目の前の階段の、左の扉を開けてみると、そこは食事部屋だった。
真ん中に白いテーブルと、周りにイスがあり、部屋の隅に花瓶がある食事部屋だった。
「どっかに書斎とか無いかなぁ~」
「書斎なら、階段を上がってすぐ右の部屋です。」
「あ、どうもご親切にありが・・・」
イヴァンは突然聞こえた女性と思わしき声に驚き、声が聞こえた方を向いた。
そこには、桃色の髪をして、布の服を着た女性が立っていた。
「申し訳ありません、入浴しておりまして応答出来ませんでした。」
「貴方が依頼主ですか?」
イヴァンは質問した。
「はい、その通りです。」
女性は返答した。
「それで、落とし物とは?」
「・・・付いて来てもらえますか?」
イヴァンは了承し、女性に付いて行った。
「ハッハッハッ、それで終わりか?」
シガサ国立学園、強化部の部員達は、顧問のアベル・ロードと訓練をやっていた。
ちなみに結果はイヴァン以外の全員が、アベルに負けた。
「クソ!何でこんなに人数がいてアベル先生に勝てないんだ!?」
ロイドが心底悔しがっている。
「同感だよロイド君、この人強すぎ!」
レインも同意見の様だ。
「どこかに強力な武器か技術は無いか・・・」
赤牙がぼやいた。
(と言うかあの緑メガネ野郎どこだ!!)
ブルーローズが心の中で毒づいた。
「良し、今日の特訓はここで終了!怪我の手当てをしてやれ、キリカ。」
「だから私はエイルですよアベル先生・・・」
「この先に落としてしまったんです。」
「・・・何だここは。」
桃色の髪の女性に連れられて地下に来てみれば、まるで謎解きの様な部屋が広がっていた。
「まずここの左右の壁に一つずつあるスイッチを同時に押します。」
(もう何でもいいや。)
イヴァンは左のスイッチに手を当てた。
「一、二の。」
「ポチッとな。」
二つのスイッチが同時に押され、扉が開いた。
「さて、次に行きましょう・・・えっと・・・」
「イヴァンです。」
「はい、イヴァンさん!次へ行きましょう・・・あ、私はミーアと申します。」
「分かりました、ミーアさん。」
イヴァンとミーアは次へ向かった。
「え?イヴァンが帰って来ない?」
イヴァンと赤牙は違う部屋だが同じ寮に暮らしている、そのイヴァンの部屋の同居人からイヴァンが夜になっても帰って来ないと赤牙とレインの部屋に相談しに来た。
「そうなんだ、イヴァンの奴、学園が終わった頃に依頼で森の中の屋敷に行くと言ったきり、八時になっても帰って来なくて・・・」
「訓練の時いなかったのはその所為だったんだね・・・」
レインも心配していた様だ。
「良し、俺が一人で森の中の屋敷に行こう。」
「危険だよ、僕も一緒に・・・」
「大丈夫ですよ、一人でいる時は、俺に魔物はやって来ません。」
「何で?」
「特異体質なんです。」
そう言って、食料や水を持って赤牙は森へ行った。
「「うわ――――!!!!!」」
イヴァンとミーアは転がる大岩から逃げていた。
その前にも落とし穴があったり、上からトゲ付きの天井が降りて来たり、大きな鎧が倒れてきたり、ピアノを演奏しようとして横に動いてピアノの足がイヴァンのすねを直撃したり、本棚を動かして隠し部屋が出て来て中を除いたら奈落の底だったり、右のスイッチと左のスイッチを交互に十秒以内に五十回ずつ押さないと扉が倒れたりと色々な仕掛けがあった。
「そうだ!こういう時には端っこに逃げましょうミーアさん!」
「はい!分かりました!」
イヴァンとミーアは端っこに逃げ、大岩を避けた。
そして先に進むと、そこは如何にも凄そうな空間だった。
「あ!あれです!」
ミーアが駆け寄り、地面に落ちている物を拾った。
「それは何ですか?」
「あーこれはですね・・・」
イヴァンが質問すると、ミーアが壁に向かい、拾った物を押し付けた。
すると、壁が横開きの扉になり、狭い部屋が現れた。
「あの、その部屋は?」
「これはですね、上下昇降部屋と言いまして、この部屋に入ると上の屋敷の部屋とこの部屋を行ったり来たり出来るんです。」
「・・・何故それをもっと早く使わなかったんですか?」
「私もこれを使いたかったんですけど、この鍵を壁の一部にくっつけないと現れない仕掛けになってるんですよ。」
「それで?貴方はここに鍵を落として、それを拾ってほしくて依頼を出したと。」
「・・・そう言う事です。」
イヴァンが大きく息を吸った。
「予備の鍵ぐらい作っておけよ!!と言うか、何であんな迷宮を作った~の~!!?」
「あぁ、それはですね・・・あれを守るためです。」
「あれ?」
ミーアが指を指した方向を向くと、部屋の真ん中に宝箱があった。
「あれには家宝の武器が入っています・・・あ、宜しければ依頼の報酬として受け取って下さい。」
「良いんですか!?ありがとうございます。」
イヴァンは喜び、宝箱に駆け寄り、蓋を開けた。
「これは・・・」
宝箱の中には、杖に赤い回せる物が着いた武器があった。
「その下の方に付いている物を右に回してみて下さい。」
「はい・・・あ、青に変わった。」
「何度も回してみて下さい。」
「あ、次は黄色に変わった、今度は水色、茶色、緑、黒、白、虹色、透明、あ、赤に戻った。」
「赤のままで、杖の先をどこかに向けて魔力を込めて下さい。」
イヴァンは周りに向けて、魔力を杖に込めてみた。
すると、杖の先から炎が出た。
「うぉ!すげぇ!」
「青は氷魔法、黄色は雷魔法、水色は水魔法、茶色は地魔法、緑は風魔法、黒は闇魔法、白は光魔法、虹色は幻魔法、透明は無魔法が出て来ます。」
「幻魔法と無魔法ってどんな感じなんですか?」
「幻魔法は喰らうとしばらく正しい物が見えなくなります、無魔法は何も感じなくなります。」
「なるほど、分かりました。」
使い方を教えて貰い、二人は部屋に入り、屋敷へ戻った。
「さて、ここが屋敷か・・・」
丁度その時、赤牙が屋敷に到着した。
赤牙は扉を開け、靴からスリッパに履き替えようとしたが・・・
「お~着いた着いた。」
突然後ろからイヴァンが出て来たのを見て赤牙は驚いた。
(エレベーター!?この世界にもあるのか!?)
「あ、赤牙!もしかして僕が心配で来たの?」
「え?あぁそうだ、ところでお前、その杖は何だ?」
赤牙はイヴァンに聞いた。
「あぁ、これは、今度の席争奪戦で役立つ強力な武器だ。」
「そうかそうか、頑張ってくれよ・・・それにしても一人で良く見つけたな。」
「いえ、一人ではありませんよ、このミーアさんと一緒に・・・あれ?」
「ミーアさん?そんな奴どこにいるんだ?」
「あれ?今まで一緒にいたのに・・・あれ?」
赤牙は寝ぼけているのかと思いながら屋敷を出た、イヴァンは困惑しながら後を追いかけた・・・
「屋敷は貴方が好きに使ってね・・・イヴァンさん・・・」




