寿司と強制参加の恨みは無限大!? 前篇
「お前ら、晩御飯に寿司を食べに行くんだけど、一緒に行かないか?」
「「「行きます!!」」」
「「用事がありますので・・・」」
とある日の部室、アベルが晩御飯の誘いをして来た。
行くと言ったのは赤牙とロイドとイヴァンだ、三人ともノリノリである。
用事があると言ったのはエイルとブルーローズだ。
この世界にも寿司がある事を赤牙は知っている。
寿司は日本を選んだ訳では無い、考え付いた人がたまたま日本にいただけだ。
だから寿司を思い付いた人がこの世界にいても不自然は無い。
何故なら異世界でも人の姿は同じなのと一緒だからだ。
「分かった、時間は七時ちょっと前にギゾーと言う・・・この辺りにある寿司屋に集合だ。
アベルは地図を出し、場所を示した。
(・・・偽造?)
赤牙は個人的に寿司屋の暗黙の了解だと思っている単語を思い出した。
「すいません、折角のお誘いですが・・・」
「同じく・・・」
(寿司超食いてぇ~)
「じゃ、絶対来いよ!」
「「「もちろんです!」」」
「「「「本日・・休業・・・・?」」」」
そして午後七時前、四人がギゾーに来てみれば、この有様である。
赤牙、ロイド、イヴァンの三人はアベルの方を向き、
「「「アベル先生・・・・・」」」
呆れた声でそう言った。
「今日は平日で空いている筈なんだけどおかしいな・・・」
「でも、どうします?他に空いている店でも探しますか?」
イヴァンが聞いて来た。
「それしか無いな・・・ごめん。」
アベルが一言謝り、店を探す事にしたが・・・
「何故だ!?何故どこも空いて無い!?」
アベルが大声を出すのも無理はない、かれこれ何十件も店を見つけたが、全部休業なのだから。
「これは・・・何かおかしい・・・」
ロイドも不思議がっている。
「・・・なぁみんな。」
赤牙の言葉に皆が振り向く。
「あれを見てくれ。」
赤牙が指さす方向には、掲示板があった。
「「「掲示板・・・?」」」
三人は掲示板を見たが何もおかしな所は無い。
「右下のポスター。」
三人が右下を見ると、
「「「明日から、居酒屋ドベロにて、子牛のステーキを、十日間限定で焼きます、晩御飯にお勧めです、尚、通の方は、喉にそのまま入れて下さい、噛まずに、塩をつけて。」」」
それは居酒屋の期間限定のお知らせだった。
「そういや居酒屋ドベロはまだ行って無かったな、子牛のステーキか~食いてぇなぁ~」
アベルが唾を飲み込んだ。
「僕は塩よりタレの方が好きですねぇ~」
イヴァンも唾を飲み込んだ。
「俺はマヨネーズつけて食いたいぞ、噛まずに飲み込めるかな~」
ロイドはマヨラーの様だ。
「ハァー、点で区切っている所の最初の文字を全部くっつけて見ろよ。」
赤牙の言われた通りに読んで見ると・・・
「「「あ、い、こ、と、ば、な、つ、の、か、し・・・あっ!」」」
三人はようやく気づき、ハッとした。
「でも、こんな秘密の暗号、誰も分かる奴なんか・・・」
「それが分かっちゃうんだよイヴァン、あれさえ知っていれば・・・」
赤牙は小さな声で何かを話し始めた・・・
「そろそろ始まるぞ・・・」
「あぁ、そろそろだな。」
「三時間ぶっ通しの・・・」
その時、辺りが暗くなり、後ろから二つの光が舞台の真ん中に合わさり、そこから・・・
「皆!今日は来てくれて、ありがと~!」
背がレインより低い金髪の少女が出て来た。
「「「「オォ―――――!!!!!!」」」」
観客も盛り上がっている。
「こんなに沢山の観客に恵まれるなんて、私嬉しい~」
「「「「オォ―――――!!!!!!」」」」
観客がまた盛り上がった。
「今夜も、私は貴方たちを、逃がさないからね!では、最初の曲!」
そして伴奏が始まり、踊る者も現れ、盛大なイベントが始まった。
(つまんねぇ~)
踊っている者の一人、顔は隠しているが、生徒会長のブルーローズである。
他にもエイルなど、女子が大勢変わりばんこで踊っている。
何故彼女らがこんな事をしているかと言うと、学校から強制参加を言い渡されているからだ。
断れば退学になるので、断れない。
なのでイベントが始まる五時間前からずっと練習をされて、今ここにいる。
強制参加の運動会やテストと言う物は、苦手な生徒にとっては苦痛でしか無い。
だが、大半の学校はそんな恥になるかもしれない事を平気でやる、何故か?金の為だ。
上の言う事に従っておけば給料は普通に貰える、伝統通りにやっておけば生徒の親も金を普通に出してくれる、だから生きる為にそうするしか無いのだ。
しかし・・・
「何だ!?爆発!?」
「落ち着け、何かの演出だろう。」
そんな当たり前を変えれる人間がいたとすれば・・・
「うわっ!こっちも爆発したぞ!」
「逃げろ!逃げるんだ!」
あるいは変えたい人間が突然力をつけたら・・・
「あ!上に誰かが・・・」
(え?アイツらは・・・)
世界は終わりますか?
「やはり気になるのは昼間の姫様と生徒会長だ。」
赤牙が小さな声で話し始める。
「あぁ~俺も何か引っかかってた。」
アベルも同じ意見の様だ。
「「何でだ?赤牙。」」
ロイドとイヴァンは分かっていない様だ。
「学生が、夜中に外せない用事なんて不自然だと思わないか?」
「「あっ・・・」」
二人は気付いた。
「でも、それとこの暗号とは関係無いんじゃ・・・」
「ロイド、ここからはアベル先生に説明して貰う。」
「コホン・・・実はな、廊下を歩いている途中、女子を一人も見かけなかったんだ、何故かと思い、そこらにいる男子生徒に聞いてみたんだ、そしたらこの学園の女子は皆、強制参加である会場の踊り役をやっていると聞いたからコイツが確信した訳だ。」
それで寿司屋も他の店もその会場に行った訳である。
「なるほど・・・そう言う事だったんですか・・・」
ロイドが納得した。
「今から居酒屋ドベロに乗り込もうと思う。」
アベルがそう言った。
「乗り込んでどうするんですか?」
イヴァンが赤牙の言葉に疑問を持ち、質問した。
「まぁ・・・色々あるが・・・一言で言うなら・・・」
アベルが少し考え、こう言った。
「寿司を食べられなかった腹いせに行くんだ!」
「タダの八つ当たりじゃ無いですか!!」
イヴァンがこう突っ込んだ。
「そうだ!寿司を食べられなかった恨みを晴らすんだ!」
ロイドが何故か同調した。
「俺の13番目に好きな物を強制参加で食べられなくなるなんて許せない!復讐だ!」
赤牙も同調している。
「あぁ駄目だ・・・完全に寿司の恨みが爆発している・・・もう、どうにでもなれ・・・」
イヴァンが完全に諦め、四人は居酒屋ドベロへ向かった・・・




