赤牙の肝試し 2
「ゼェ、ゼェ、ゼェ、ゼェ・・・」
「おい、生徒会長、だいじょう・・・」
「大丈夫に見えますか!?死体が首付けて斧持って襲い掛かって来たんですよ!今夜眠れなくなるかもしれないほど怖かったで・・・いぎが・・・ぐるじい・・・」
(その死体は転んで失格になりましたよ~っと。)
ブルーローズが森の入口付近まで逃げてきてアベルとこんなやり取りをしていた。
「どうする?降参して俺の部活に・・・」
「降参する訳無いでしょう?全員倒して小間使いをまた増やしてあげますよ!」
(また?)
アベルが心の中でまたと言う単語に疑問を感じている間にブルーローズは、また森の中へ向かった。
「ところで・・・門の向こうにいる奴ら、見学するならもっと近くに来たらどうだ?」
アベルが誰かに話しかけた。
「気付かれてましたか・・・」
すると、門の外から団体が来た。
「初めましてアベル・ロード先生、私は幻属性部所属の、レイン・ファストラと申します。」
団体の中の一人が話した。
「なるほど、つまり生徒会長の仲間と。」
「いえいえ、あの方は私達のトップなのです、私達は全員仲間と呼ぶにはおこがましい存在です。」
言葉だけ聞けば礼儀正しいが、部員達は全員殺気を発している。
「幻属性部はシガサ国立学園設立から五十六年間続いている大変優秀な部活です、その中のトップが失われると言う事は幻属性部は深い傷を負う事になりますので、全体的に考えますと平等に機会を与えると言う夢を追いかけるよりも・・・」
「何が言いたい?」
アベルがもどかしくなり、そう言った。
「この決闘を中止して貰えませんか?学園の為に。」
レインはそんな言葉を吐いた。
「深い傷・・・学園の為に中止・・・」
「貴方は新任教師です、正しい事と間違っている事と言う物の区別がつかないのでしょう、ここは私達の判断に任せて・・・」
「お前らはガキで幼稚で間違いばっか繰り返すよな~本当に笑えてくるな。」
「すいませんが、私達のどの辺りが間違っているのでしょうか。」
「正しい事と間違っている事を区別する事が間違ってるんだよ!」
団員たちが黙り込んだが、その後もアベルの言葉は続いていく。
「深い傷を負うからなんだ!?だから俺達の部活が出来る機会を潰すのか!?それは深く無い傷じゃないからどうでも良いとでも言いたいのか!?元々魔法と言う者はお前らが思うほど簡単じゃないんだ!だからシガサ学園初代学園長は誰でも覚えられる手段を編み出した!弱くて孤独で挫折するしかない奴を強くする為にな!その為に必要な物は学園内にしか無い!何故だか分かるか!?」
アベルが大声で幻属性部を説教する。
「作った意味を踏みにじられない為だ、世に出せば初代学園長の弱いものを強くしたいと言う考えは必ず忘れられ、捨てられる、だから自分の管轄内に留めておいたんだ、それなのに当時の王国は・・・」
アベルの説教が止まった。
「・・・説教が過ぎたな、俺は秒読みをやんなきゃいけないから森の中へ行く、邪魔したら容赦はしない・・・・・じゃあな。」
アベルが暗い顔をしながら森の中へ入っていった。
「「「・・・・・・」」」
部員達は何も言い返せなかった。
「ガチガチガチガチガチ・・・・・」
ブルーローズは恐怖で体が固まっていた。
地面から腐った手が飛び出したり、木が笑い出したり、野犬が吠えたりしたのだ、こうなってもおかしくは無いだろう。
「良し、そろそろ止めを刺そう、手筈通りに行くぞ。」
「「分かった。」」
木の上に赤牙、ロイド、イヴァンの三人が小声で話している。
そしてロイドが何かを被り、白い服を着て、斧を持って木を飛び下りた。
当然ブルーローズはその音でロイドの方を見た。
「あ、あ・・・し・・死体が・・すぐそこに・・・」
そう、ロイドはエイルと同じ格好になっているのだ。
ロイドが詰め寄ってくる。
ブルーローズはまた逃げ出したが、何故かそこにいきなり出来た水たまりに転んでしまった。
イヴァンが作ったのだ。
そして三人は上から取り押さえた。
アベルが一秒数えたが、ブルーローズはまだ震えている。
そしてアベルが二秒数える寸前に取り押さえられている事に気付き、全力でもがいたが、アベルですら取り押さえられてそこから抜け出すのには時間がかかるのだ、そのアベルに体力で劣るブルーローズが抜け出せる訳も無く・・・
「三・・・」
ブルーローズは決闘に負けてしまった。
「と言う訳で、生徒会長は俺の部活の部員になったからよろしくな?レイン。」
「このまま済むと思わないでくださいね、アベル先生。」
レインが捨て台詞を吐き、生徒会長と部員達と共に帰って行った。
「さて、私達も帰りますか!」
「後片付けをしてからですよ姫様、後いい加減その死体の格好やめたらどうですか?」
「私これ気に入ったんですよ、アカキバさん。」
(その顔でトイレに行くときに出会ったら絶交してやる。)
こうして、アカキバの肝試しは終わった。
翌日
「ギャ――――――!!!!!!!」




