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5.テスト当日

【テスト当日】


 あれから怒涛の日々がすぎた。勉強、練習などわちゃわちゃと。気づけば試験当日。


 一年生のテストは、前世の教科の魔法バージョンみたいな感じで、午前は筆記試験。『外国語』『呪文学』『魔法史』『魔数学』『魔法薬学』『魔法具』の六科目。午後は『魔法実技』がある。


(外国語は留学してたから余裕だし…呪文学と魔法数学と魔法実技は積立教科だからできるし…魔法史はシンプルに好きだから満点取れると思うんだけど……魔法薬学と魔法具は無理!!前世の時から理科が全然できないんだよ!!)


「ううううぅぅぅぅぅ」


 唸っていると、教科書のようなもので軽く頭を叩かれる感覚がした。


「どうした?もしかして降伏する?全然俺はいいけど。お願い何にしよかなあ。」


「うるさいなあ!流石にシオンには勝てるし!余裕だし!」


 イラっとして勢いで言い返すと、笑われる。


「……ふふ、、ハハハ!!セラって簡単すぎて揶揄いがいしかない。」


 意味を理解して、赤面した様子を見てさらに笑われる。


「…うわーやられた。」


「ふっ。でもやる気は出ただろ」


 そう言って、ニヤッとイタズラぽく笑われたので、今度は頭を抱えて


「……うわーーーー。本当にやられた。」


 といった。




♡ ♡ ♡




「それでは筆記試験始め!」


 バサバサと問題用紙を捲る音があちこちで聞こえる。


(やっぱり何十回もやってるから、意外と簡単かも…?)




ーー筆記試験が終わり、昼休憩となる




「リ〜リ〜ア〜どうだった?」


「あ!セラ!意外と難しかったわ!セラはどうだった?」


「マジで満点の自信ある!」


 そう言って満面の笑みを浮かべると、誰かに後ろから首に抱きつかれた。びっくりして振り返ると、少し不満げな表情のニナがいた。


「え!リリアも絶対点数いいでしょ!私、騙されないんだから!」


 それを聞いて、リリアが苦笑いしながら、ニナの頭を撫でる。

 セラはまるで慈愛の女神のようなリリアに頭を撫でてもらっているニナが羨ましくなる。


「はあ。ニナは勉強しないじゃん。リリアの点数にいちゃもんつける前に、勉強しなさいよ。」


 と言って噛み付くと、ニナはムスッとする。


「いや、リリアとセラがちょっとおかしいだけだからね!?私だって平均ちょい下くらいで、最底辺とかではないんだからね!……言い訳とかじゃないから!本当に!」


 ニナの言い訳を聞きながら、セラは今の光景に疑問を覚える。


(リリアとニナってこんな仲良かったっけ…?)


「あれ?そういえばナチュラルに受け入れてたけど、リリアとニナって仲良いんだっけ?」


「あーー言ってなかったけ?セラ繋がりで私たち仲良くなったんよ。ねーリリア。」


「ええ。同じクラスでもあるし。」


(…思い出した!リリアと仲良くなった周回の時にニナとリリアも仲良くなってたんだ!あの時もタイプ全然違うのになんでだろうと思ってたら、そういう理由で……)


 ガヤガヤ話していると、後ろから声がかけられる。


「…セラさん、リリアさん。初めてのテストはどうだった〜?」


「あ!ノアさん!……と、ごめんなさい、えーっとその方は…?」


 セラはリリアの声に釣られてノアの隣にいる人物を確認して、顔が引き攣る。


「ああ。ごめんね。私はレオン・フォレスト。セラ嬢は一回会ったことがあるけれど、あとの二人は初めましてだよね。」


 そう言って、その人物はとてつもなく柔らかく、人好きのするような笑顔を見せる。



ーーレオン・フォレスト


 攻略対象の一人。この学園の三年生で、生徒会長を務めている。この国の第一王子。そして、乙女ゲームのメインヒーロー。髪は淡い金色で、短めで整っている。目は糸目気味で、澄んだ蒼色をしている。ゲームでは正統派ヒーローみたいなイメージだったと思う。



(何周もしているから六十年くらい前だけど、小さい頃に一度お見合いをしたことがあった気がする……その時の私は前世の記憶とか全然なかったから、横暴な性格だったし……曖昧な記憶しかないんだけど、いい記憶じゃないんだよな〜)


 お見合いの時の記憶を思い出そうとしていると、リリアとニナがレオンと自己紹介をし終わったようで、リリアは王子だと聞いて驚き、ニナは緊張でいつもの勢いがなくなっている。


「ほら〜。緊張されちゃうって言ったじゃん。」


「そうは言っても、あのノアが最近勉強熱心になったんだから。親友として、気になるだろ。」


「あのってなんだよ〜。これでも全然上位保ててるんだからいいでしょ〜?」


「はあ。羨ましいよ。地頭がいいやつは。」


 そう言ってレオンは口を膨らませてノアのほっぺたをむぎゅっと軽くつねる。二人のやりとりにふふふっと微笑んだリリアが口を開く。


「あっ!そういえば他の学年の方々も今日、試験があるんですよね!レオンさん?とノアさんはどうでしたか?」


「まあ、いつも通りかな〜?これで成績が落ちちゃうと生徒会に入れなくなっちゃうからね……でもノアはいつもよりできたんじゃない?」


「う〜ん。多分ね〜。今回は二人と一緒に勉強したから。」


「でも、どうせ生徒会に入れる成績をとっても入ってくれないんだろう?私としては、すごく入って欲しいんだけど。」


 レオンは、拗ねるようにノアを見て、ため息を漏らすが、それを聞いたノアは悩むような仕草で私を見て言う。


「……いや、もし取れたら入ろっかな…」


「「え!?」」


 レオンとセラの驚きの声が重なる。


(え!?いやノアって生徒会入ってたっけ!?…いいや。生徒会には二人しか攻略対象がいなかった気がするし!なんで!?今までこんなことなかったし。一緒に勉強したから?元々、生徒会に入る権限をもらえたら入るつもりだったのかな?)


 その考えはノアの言葉により、すぐ打ち破られる。


「正直、ちょっと前までは断ろうかなって思ってたんだけどね〜。」


(嘘でしょ!じゃあなんで!?……もしかして、リリアが光魔法を習得するのが速いから、別の繋がりを作っておこう的な!?)


「…びっくりだよ…まさかあのノアが、わざわざ面倒な仕事を進んで引き受けるなんて……」


 レオンは大袈裟な驚き方をする。


「だ〜か〜ら、あのっていうのやめろよ〜。あと、まだどれくらいの点数取れるのかもわかってないから、そもそも三位までに入るかわからないし〜。それにまだ実技もあるもん。」


「…なんで入ろうと思ったんですか?私もなんとなくノアさんって面倒だと思ったこと積極的にやっていく印象なかったので……めちゃくちゃ驚いたんですけど…」


 セラは思わず聞いた。


 ノアはその質問にちょっと意地悪そうに微笑んだ。


 そして、その形の綺麗な人差し指をセラの唇に触れるか触れないかのところに持ってきて言った。


「ん〜?なんでだと思う?」


 その行動は、セラの顔を真っ赤にし、リリアとニナを面白がらせ、レオンを驚かせた。




♡ ♡ ♡




 俺たちは昼休憩を終え、俺が唯一信頼しているノア(従兄弟)と二人で三年生の実技試験が行われる会場へと向かう。


(ノアのさっきの思わせぶりな行動は、なんだったんだ?普段だったらあんな行動絶対しないのに。しかも、あの女だぞ。)


 俺は足を止めずにノアをみる。こいつの考えていることは大体わかるつもりだった。


 だが、さっきの行動だけは読めなかった。


「おい、さっきの行動はなんのつもりだったんだ?まさかセラ嬢が気になってるってわけじゃないだろう。」


「う〜ん。ま〜ね〜。でも、ある意味では気になっていると言えるかもしれないけど。セラさん生徒会入りたそうだし。」


(まさか、生徒会に入りたい理由が女目当てなんて)


 俺は、光魔法以外、滅多に執着しないノアが、別の何か、しかも『人』に興味を覚えているような様子に驚愕する。


「セラ嬢の何がお前の琴線に引っかかるんだ。そんなタイプじゃないだろうに。」


「え〜?わかんないけど、なんか引っかかるんだよね〜。何かを決意したような。それでいて何かを諦めたような。どこか遠くを見ている感じが。あとね〜、彼女〜、使えると思うんだよね〜。光魔法。」


 意識外の表情の変化が少ない自分の顔が、久しぶりに、本当の感情を表したのを感じた。


「そんなわけないだろ。もし使えたとしても国に報告した方が何かと有利になるし、そもそもセラ嬢は十五歳だ。光属性の魔力を持たない彼女が二、三年で使えるようになるには無理がある。」


「……そうなんだけどね〜。でも、少なくとも何か隠してるよ〜?レオンが言ってたような性格じゃないと思うし。」


 静寂。



 二人はそのまま言葉を交わさないまま、足早に実技試験の会場へ向かった。


ちょっと小話


実はセラは最も有力なレオンの婚約者候補でした(二大勢力であるリィン家に国王の妹が嫁いだため、権力の偏りを防ぐためにもう片方の勢力であるウィンドフォール家にも王族の血を入れようとしたため)!ただ、セラの母が亡くなりセラが婿を取って跡取りとなるしかなくなったので、国王になる可能性が高いレオン(嫁をとらなければならない)との婚約の話はなくなりました!なので未だにどちらも婚約者がいません!




小話の長さじゃなくなってすみません!!

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