41.魔法競技大会
ーー放課後。
生徒会室へ入ると、机の上にはいつもの書類ではなく、分厚い冊子や巻物のような資料が山積みになっていた。
「……今日は随分多いですね。」
セラが思わず目を丸くする。
「今日も落し物整理ですか?書類整理の日だと思っていたんですけど。」
「今日からはこっち。」
レオンは苦笑しながら、一冊の冊子を持ち上げた。
表紙には大きく、『第八十二回 王立魔法学園 魔法競技大会』と書かれている。
「今年もこの時期かぁ。」
カイが椅子へ深く腰掛けながら伸びをした。
「いつも思うんすけど、生徒会って本番より準備の方が忙しいですよねー。」
「そうだね〜。」
ノアも苦笑する。
「始まる前から大仕事だもんね〜。」
「魔法競技大会……?」
リリアが冊子を覗き込み、不思議そうに首を傾げた。
「聞いたことはあるんですけど……どんな行事なんですか?」
「あ。」
レオンが笑う。
「リリア嬢は知らないんだったね。」
「はい。」
リリアは少し申し訳なさそうに頷いた。
「じゃあ簡単に説明するね。」
レオンは資料を開き、机の中央へ広げた。
「魔法競技大会は、この学園で毎年秋に行われる、一番大きな行事の一つなんだ。」
「体育祭みたいなものですか?」
「うん。」
レオンは頷く。
「でも普通の体育祭とは少し違う。」
ページをめくると、競技一覧が現れる。
ーーーーーー
・魔法騎馬戦
・障害物走
・表現魔法
・属性別リレー
・魔法借り物競走
・魔法障害走
ーーーーーー
「わぁ……!」
リリアの目が輝く。
「魔法を使うんですか!?」
「もちろん。」
レオンが笑う。
「この学園らしく、ほとんどの競技で魔法の使用が認められているよ。」
「例えば障害走なら、風魔法で高く跳んだり、水魔法で足場を作ったり。競技によって魔法の制限はあるけどね。」
「面白そうですね!」
リリアは資料を夢中で眺める。
「でも、危なくないんですか?」
「だから先生たちも大勢見てるし、結界も張られる。」
シオンが静かに答えた。
「危険な魔法は禁止なんだよ。」
「あと治癒班も常に待機してるよ〜。」
ノアが続ける。
「毎年多少の怪我人は出るけど、大事故にならないようにしてるんだ〜。」
セラは資料を見つめる。
(魔法を使う体育祭……。)
いつもの周回では何も考えず楽しんでいた。
でも今は違う。
競技中、もし何か起きたら?もし誰かが大怪我をしたら?
そんな考えが一瞬だけ頭をよぎる。
「セラ?」
リリアの声で我に返る。
「大丈夫?」
「あ、うん。」
慌てて笑顔を作る。
「思っていたより種目が多いなって。」
「全部見るだけでも楽しそうだよね!」
リリアは嬉しそうだった。
「それで。」
レオンが軽く手を叩く。
「今日集まってもらった理由なんだけど。」
全員の視線が集まる。
「今年も生徒会が運営を担当する。」
「はい。」
「競技進行、得点集計、備品管理、先生方との連絡、来賓対応。」
レオンは一つずつ資料をめくっていく。
「担当も決めないといけないんだ。」
「来た来た。」
カイが笑う。
「大変なやつー。」
「文句言いながらいつもちゃんとやるじゃないですか。」
シオンが呆れたように言う。
「もちろん。」
カイは胸を張った。
「働く男だからね。」
「信用ならないなぁ。」
レオンが苦笑すると、生徒会室に笑いが広がる。
「まず競技進行は動ける私とシオン。」
「了解です。」
「得点集計は数字が得意なノア。」
「はーい。」
「リリア嬢とセラ嬢は備品管理と選手誘導。」
「はい!」
リリアは元気よく返事をする。セラも頷いた。
「分かりました。」
「カイは……」
レオンが資料を見ながら少し考える。
「今年も先生方との連絡、来賓対応と……あと放送担当で。」
「えぇー!」
カイが大袈裟に肩を落とした。
「俺だけ仕事多くないですか?」
「実況が去年、すごく盛り上がったからね。あと競技中に動けるのはカイしかいないから。」
「じゃあ、仕方ないかー。」
満更でもなさそうに笑う。
「じゃあ今日から少しずつ準備を始めよう。」
レオンが冊子を閉じる。
「競技大会まで二ヶ月と二週間。忙しくなるけど、みんなよろしく。」
「よろしくお願いします。」
生徒会メンバーの元気な声を合図に、生徒たちが一年で最も熱くなる行事ーー魔法競技大会への準備が幕を開けた。
ちょっと小話!
実は攻略対象もリリアも運動神経はいいです!セラも徐々に良くなってきています。




