27.一学期の修行式
短めです!
ーー婚約の報告から数日。
学園では終業式が行われ、長い夏休みが始まった。
寮の談話室では生徒たちが口々に帰省や旅行の予定を話している。
「セラは公爵領に帰るの?」
荷物をまとめながらニナが首を傾げる。
「ううん。今年は寮に残る予定。」
「えっ!?」
ニナが目を丸くした。
「帰らないの!?」
「夏休み中は生徒会の仕事もあるし、魔法の勉強も進めたいの。お父さんにも許可はもらってるわ。」
本当の理由は、それだけじゃない。
前の周回で何回か帰省しようとした時、何故だかわからないけれど、事故で死ぬことが何回かあった。
(多分私の帰省はゲームから逃げようとしているってことになるのよね。おそらくゲームではリリアを夏休みにいじめたりしてたんだろうな……)
「えーそんなー!せっかくセラをうちに招待しようと思ったのに……。」
不満気に口を尖らせたニナは、すぐにぱっと表情を明るくする。
「じゃあ私、早めに寮に戻ってくるね!」
「もちろん。」
二人は笑い合う。なんだかんだ言ってこのやりとりはほぼ毎周回ある。
(本当にいつも慕ってくれてありがとう。)
あちこちでは「また二学期ねー!」という声が飛び交い、生徒たちは次々と寮を後にしていく。
やがて談話室には、セラ一人だけが残った。
窓から吹き込む夏の風が、机の上のプリントを揺らす。
(夏休み、か。)
この長期休暇が一つの分岐点だと私は知っている。
何故なら、毎回この夏休み明けから少しずつリリアと一緒に過ごす人が固定されてくるからだ。
そしてエリアス先生も少しずつリリアと仲良くなってく。
(……エリアス先生は夏休み明けから授業が始まるけど、リリアと友達だった周回で夏休みに仲良くなったっていってたから、多分そろそろ出会うキッカケが生まれてるはず。)
考えながら席を立つ。
寮の部屋へ戻る途中、廊下はいつもより静かだった。
ほとんどの生徒は今日のうちに帰省する。
広い校舎が、少しだけ寂しく感じられた。
だが。
その静けさの裏で。
セラの知らないところでは、それぞれが胸の内に決意を固めていた。
ちょっと小話!
実は帰省しようとすると、土砂崩れに巻き込まれるそうです!




