表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私を何度も殺してきた人たちと恋愛したら、ヤンデレ化された件  作者: ニアン
生徒会編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/62

13.リリアとシオン

ここから三話くらい特に進展はないですが、不穏な感じになります

ーー数日後。


 文化祭の企画書が少しずつ集まり始め、生徒会室の空気も、少し前とは違って、少しピリッとした空気が流れている。

 机の上には企画書の束がいくつも積まれ、紙をめくる音やペンを走らせる音が静かに重なっていた。


「一年三組、提出済み。」


「二組も今日提出されました。」


 シオンが一覧表に迷いなく印を付ける。

 その隣ではレオンが提出状況を確認しながら穏やかに頷いた。


「ありがとう。今のところ順調かな。」


「あと四クラスですね!」


 リリアが嬉しそうに資料を揃えながら答える。

 セラも提出された企画書を年度ごとに仕分け、内容を確認していく。


 思った以上に細かな作業が多く、同じような書類を何枚も見ていると少しだけ目が疲れてくる。


 ふぅ、と小さく息をつく。


(思ったより文化祭準備って忙しい……。)


 最初は企画書を集めて終わりだと思っていた。


 けれど実際には、提出期限の確認、不備がないかの見直し、記入漏れがあれば各クラスへ連絡。


 小さな仕事が途切れることなく続いている。


(生徒会って、もっと華やかな仕事ばかりだと思ってたのに……。ゲームでもこういう描写あったのかな。全然映えない仕事なのに。)


 そんなことを考えていると、机越しにひょこっと顔が現れた。


「セラちゃーん。」


「はい?」


 カイが頬杖をついたまま覗き込んでくる。


「疲れてる?」


「少しだけです。」


「じゃあ甘い物でもーー」


「いりません。」


 食い気味に返すと、カイは大袈裟に肩を落とした。


「即答!」


 その反応がおかしくて、リリアがくすっと笑う。

 レオンも書類から顔を上げ、肩を震わせた。


「最近は返事が早くなったね。」


「慣れてきました。」


「ひどー」


 カイがわざとらしく泣き真似をする。


 部屋の空気がふっと和らぎ、自然と笑い声が広がった。


 その穏やかな空気の中、レオンが壁に掛けられた時計へ目を向ける。


「今日はこのくらいで終わりにしようか。」


「やったー。」


 カイは真っ先に椅子から立ち上がる。


「じゃ、お先っす!」


 大きく手を振りながら部屋を出ていく。


 その後ろ姿をぼんやり見送っていると、窓際で帳簿を閉じたノアが大きく欠伸をした。


「俺も帰ろ〜。」


「じゃあ私も」


 それに続くようにレオンも変える準備をし始める。


「お疲れさまです。」


 ひらひらと手を振るノアとレオンが部屋を出ていき、生徒会室は急に静かになった。


 残ったのはシオン、セラ、リリアの三人だけ。


 夕日が差し込む部屋は、さっきまでよりも少し広く感じられた。


 その時だった。


「そういえば。」


 シオンが何かを思い出したように顔を上げる。


「文化祭後の定期テストの勉強は進んでいるのか?」


「定期テスト?」


 リリアが目を丸くする。


「文化祭の準備で忘れてた……。」


 セラの手がぴたりと止まる。


(定期テスト。)


 出題される問題は大抵覚えている。


(でも勉強しとかないとこの前のテストの二の舞になる……)


 ボーっと物思いに耽っていると、声をかけられる。


「セラ。」


「え?」


 顔を上げると、シオンがこちらを見ていた。


「勉強してないのか?」


「え、まあ……」


 シオンはごく自然な口調で言った。


「結局全然一緒に勉強できてないしな。ついでに教える。」


「……え?あ!忘れてた!」


「……()()のことだからそうだとは思っていたが。」


 言葉に含まれた嫌味に気づき、若干イラッとする。


(なにそれ!!せめて言い方があるじゃん。言い方が!)


 でもそんな言葉には気づかない純粋なリリアがぱっと表情を明るくする。


「いいですね!私も一緒でもいいですか?」


「ああ。図書室でいいか?」


「はい!」


(え?かわいい)


 リリアの笑顔にすっかりイライラを浄化されたセラも結局参加することになった。




♡ ♡ ♡




ーー三十分後。


 机の上には教科書とノートが広げられていた。


 夕焼けの光がページを照らし、静かな図書室には紙をめくる音だけが響く。


「なるほど……!」


 リリアが感心したように声を漏らす。


「そこ違う。」


「あっ、本当だ!」


 シオンは余計な言葉を挟まない。


 必要なことだけを簡潔に伝え、間違えた部分を的確に指摘していく。


(教えるの上手なんだ……リリアだからかな)


「セラ。」


「なに」


「この式解いてみろ」


 ノートを指差される。


(は?余裕ですけど。)


 何度も解いてきた問題だ。


「……解けた」


「……本当に勉強してなかったのか?」


(あ、勉強してないって言っちゃってたんだった)


「あ、いや、えと。魔数学は得意なんだよね!」


「……あっそ。」


 シオンは面白くないといったふうに返事をする。それを感じ取ったセラは優越感に浸った。


(初めてシオンに勝ったような気がする!)


「シオンくん!ここも教えて!全然わかんなくて!」


「ああ、ここはーー」


(あっ)


 リリアとシオンが会話しているのをみて、一気に疎外感を感じる。


「理解が早いな。」


「そう?ありがとう!きっとシオンくんの教え方が上手いんだよ!ここも教えて!」


「そこはーー」


(そうだよね。そりゃもうすぐ三週間だもん。いつもこのくらいの時期に二人が話すことが多くなってたし……きっともうシオンもリリアのこと気になり始めてるよね……)


「ーーセラ。」


「……え?」


いつの間にかシオンがこちらを見ていた。


「ぼーっとしてる。」


「あ……ご、ごめん。」


「今日はどうしたんだ?いつもはもっと突っかかってくるのに」


「ひどくない!」


 その発言に安心したように、小さく息を漏らすように笑ったシオンは、いつもの真面目さの中に少しだけ柔らかさが混じって見えた。


(きっとたまに見せるこういう優しさにリリアも惹かれてるんだろうな……邪魔だけはしないようにしなきゃ)

ちょっと小話!


【シオン視点】

「そう?ありがとう!きっとシオンくんの教え方が上手いんだよ!ここも教えて!」


「そこはーー」


 解説をしつつも、セラがさっきから口数が少ないのが気になって仕方ない。


(クソ、どうしたんだよ)


 それはセラに言ったのか、自分の心に言ったのか、あるいは両方なのか。


(こっちから話しかけるか)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ