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7度の婚約破棄から幸せにたどりつくまで  作者: 瀬崎遊


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 行きとは違う気持ちで帰る道を馬車が走る。

 隣にはシューレが座っている。

 カリュースの領地に入り、今回もここでゆっくりする。



 今日はずっと二人で気詰まりだった。

 ほんのちょっと前まで幸せいっぱいだったのに、今は地の底まで沈んでいる。


 楽しく話していたのに。

 シューレが付き合ったことのある女性の話をしたのがいけないのだ。

 女性の仕草で『眠そうに目をこするのは可愛いよな」と言ったのだ。

 貴族女性は人前でそんな仕草はしない。

 という事はベッドの上でってことでしょう?!

 

 私はプンスカ怒りながらも、こんな事で怒るんじゃなかったと反省もする。

 シューレの部屋を訪ねようか考えるがそれも癪に障る。

 ヴィーノは笑っていたけど、私には大事件なのよ!

 

 でも、可愛いと思っているのならいつか、その仕草を見せてやるんだからっ!


 コンコンコンコンと扉がノックされヴィーノが扉を開ける。

 シューレが部屋に入ってくる。

 ヴィーノは何も言わず出ていった。

「アマンダごめん。無神経だったよ」

 先に謝ってもらってさっきまでの怒りがスーッとどこかへ行く。

「私こそごめんなさい、感情的になりすぎてしまいました」

 いや、私が、いや私の方がと二人で言い合いクスリと笑った。

 早々に仲直りできて本当に良かった。


 シューレが私の指輪にキスを落として「愛しているよ」と囁いた。




 馬車の走る先に境界門が見える。

 帰ってきたのだとやっぱりちょっとホッとする。

 結局四ヶ月以上滞在したものね。

 門番を労い、通過する。



 早馬が走っていくのが見える。

「後、半日ちょっとです」

「長旅疲れただろう?」

「シューレ様もお疲れでしょう?私とずっと一緒で疲れませんでしたか?」

「喧嘩もしたし?」

「はい」

 二人でクスクス笑った。



 この旅の間に互いの悪いところもちょっと分かった。

 シューレはちょっと鈍感で素が出ると口が悪い。女性を見る目は意外と厳しくて、甘えたさん。

 きっと私の方が短気ね。すぐ怒らないように気を付けないと。



 やっと我が家が見えた。帰ってきたと思うし、やはりホッとする。

 両親と兄が待っていてくれる。

 シューレが先に降りて私に手を差し出してくれる。

 その手に手を預ける度に思う。

 幸せになるのだと。



 両親と兄が笑顔で迎えてくれる。

「ただいま戻りました」

「おかえり」

「こちらの方はシューレ・マーベラス様。私が結婚したいと思っている人です」

「初めまして。シューレとお呼びください」

「遠い所へよく来てくださいました。旅装を解いてゆっくりして下さい」

「ありがとうございます」


 シューレの荷物を客室に運び込み、湯の用意をしてもらう。


 自宅のお風呂に入って疲れた体がほぐれていく。

 前にお風呂入った時は行きたくないと思っていたのに、今は結婚式がもうすぐ。想像もしなかった。



 父の執務室に向かう。

 両親と兄が待ち構えていた。

「いきなり結婚ってどうなっているんだ?」

「手紙を見た時は驚いたよ」

 父と兄が矢継ぎ早にはなしかけてくる。


「私も驚いています」

「カリュース様に私の身の上を話したのでしょう?」

 父に問いかけたのだが、母がちょっと気まずそうな顔をした。

 話したのは母だったのね。


「それで同じ年頃のシューレと引き合わせてみようと思ってくれたらしくて・・・紹介された時にはいい人だな〜と」

「デートを重ねてシューレ様ならと思って結婚をお受けしました。勝手をしてごめんなさい」

「アマンダは幸せなんだな?」

「はい。幸せです」

「それで・・・」

「なんだ?」


「実は結婚式が来月で・・・」

「はぁ?」

「なんでそうなるんだ!」

「ほら、私、婚約破棄され癖?ついてるから婚約はせずに結婚しようって話になって・・・」

 三人共口をあんぐりと開けたままになっている。


「向こうではもう住む屋敷も決まっていて、結婚式に王女様も来てくださるって言ってて・・・」

 誰も返事をしてくれない。

「あのーお父様・・・聞いてます?」

「・・・・・・・」

 父がハッとして兄に向かって叫ぶ。

「こちらの準備が間に合わんっ」

次話 最終話になります。

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― 新着の感想 ―
[一言] 準備も何も、結婚式で新婦側は母と兄だけ出席でいいじゃん 血が繋がってるだけの貧乏神他大勢はお呼びじゃない
2023/07/21 20:54 退会済み
管理
[気になる点] これまで婚約もしたことないのは興味を持てる女性がいなかったからって言ってたのに、うっかりこんな色っぽいエピソードぶちこんで来るくらいには経験が豊富だったってことですね、シューレ。。 […
[良い点] 最後の父の叫びが嬉しいだけじゃないけど結局は全部嬉しい悲鳴に聞こえて楽しかったです♪ [一言] 毎話楽しく拝読しています。 あと1話で完結かと思うと少し寂しいですが、次話も楽しみにお待ち…
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