14
「他国の王城に入るのはちょっと緊張します」
「騎士が一緒だから心配要らないよ」
シューレの肘にそっと手を添え歩く。
劇場の時のように若い女の子が振り向き一様に口に手を当てている。
「シューレ様を皆が見ていますよ」
「私が公式の場に誰かと来たことは初めてだからね」
「そうなのですか?」
「当然だろう」
本気で驚いたことは内緒にした方がいいかもしれないと思った。
私の両側にマーベラスとカリュースが陣取る。
誰が来ても誰なのかわからない私のために。
身分の高そうな人が来たと思ったら例の禿の王女様だとニーカに耳打ちされ、紹介され驚いた。
「シューレが女性を連れてくなんて驚いたわ」
「とても大切な人をやっと見つけました」
「そうなのね。おめでとう」
「ありがとうございます」
王女様は「その幸せをわけてね」と言って私にハグをした。
「これで大丈夫。私も幸せになれるわ」と言って皆を笑わせていた。
ここの王族って気安いのかしら?
音楽が始まり二人でゆっくりと踊る。
カリュース夫妻の出会いのことを思い出し、捜してみる。
「どうしたの?」
「シュッテとカリュース様の出会いの話を思い出して、踊っているところを見てみたいと思って」
「なるほど」
くるりと回ると、カリュース夫妻を見つけた。
二人は見つめ合い微笑んで何の迷いもなく大きく動いて踊っている。
「素敵・・・」
「私達もそんな風に言われるようになろう」
少し体を離し見つめ合う。
「はい」
夜会の帰りの馬車の中で触れるだけのやさしいキスをした。
翌日から私の周りがバタバタしている。
何しているんだろう?と私は呑気に珈琲をいただいていた。
マーベラスのメイドにヴィーノと一緒に応接室に連れて行かれる。
そこには四人の侍女らしき人と一人の年配の女性がいた。
「初めまして。わたくしこの度コールデン様のウエディングドレスを誂えるよう申しつかりましたキューラスと申します」
「ウエディングドレス・・・」
「はい」
カタログが差し出され、開いて見ていく。
「おおよその形と方向性を決めていきたいと思っております。今の流行ですとマーメイドラインになりますが、プリンセスラインも根強い人気です」
「どこまで進んでいるかしら?」
ニーカとシュッテが入ってきてキューラスに聞く。
「まだ何も」
「そう、アマンダの理想のウエディングドレスの形は?」
「私の・・・どれも捨てがたいですね」
ウエディングドレスを着る姿を想像したことがなかった。
「そうよね〜どれも着たいわよね〜〜」
「基本の形になる衣装をお持ちしております、一度袖を通されてみてはいかがでしょう?」
「そうね、それがいいわ」
応接室に大きな鏡が運び込まれていたのはこのためだったのね。
衝立の中で一着目のプリンセスラインの衣装を身につける。
勿論体には合わない。まち針を打ち、整えられた姿で鏡の前に立つ。
「可愛いわぁ〜〜」「いいわね」
次にハイウエストのAラインを着せられる。
「これもいいわ」「ほんとうに」
マーメイドライン、スレンダーライン、エンパイアラインと着ていく。
「アマンダ、スタイルがいいからどれも似合て困っちゃうわ」
「そうね〜アマンダはどれが良かった?」
「やはりマーメイドラインが一番・・・」
「そう、じゃぁ、マーメイドラインに決まりね」
ドレス選びにあんなに時間がかかるなんて・・・。
キューラスが帰り際。
「選ばれたマーメイドラインのドレスは絶対に体重を増やさないでくださいね」
そう言い、帰って行った。
飛ぶように一ヶ月が過ぎ、私達が住むことになる屋敷の見学まで連れて行ってもらっていた。
手紙で父からも良い返事が届いていた。
来月の初めにシューレと一緒に帰ることに決まった。
こちらで結婚式に招待したほうがいい人を紹介されたり、お茶会に連れて行かれたりしている。
父に未だ会っていないにもかかわらず、結婚式の日取りが決まった。




