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7度の婚約破棄から幸せにたどりつくまで  作者: 瀬崎遊


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 私達だけ離れた場所で席が作られていて喧騒も遠い。

 食事の合間にぽつりぽつりと互いのことを話す。

 シューレは二十五歳で四人兄弟の一番下で騎士様。

 今まで婚約も結婚もしたことがない。興味が持てる相手がいなかったから。


「私は今、アマンダ嬢にときめいている。このときめきがなにか分かるまでもう少しこの国にいて欲しい」

「私、お世話になるばかりで」

「ヴァレリーの所が居辛いなら私の屋敷に来るのはどうだろう」

「さすがにそれは・・・」

「そうだね。言ってみただけ」

「アマンダ嬢は今の気持ちの終着点を見てみたいと思わないかい?」

「見てみたいと思います」

「よかった」

 張り詰めていた糸が緩んだ気がした。


 デザートの頃には互いの子供の頃の話をして声を上げて笑っていた。

「残念だけど明日は仕事なんだ。十八時頃に終わるからディナーだけでも一緒にどうだろう?」

「はい。喜んで」

「私が普段行くビストロへ行こう。初めて会った時くらいの格好で」

「わかりました」


 長く居たみたいでマーベラス達の姿は見えなかった。

 帰りの馬車の中で指を絡めて手をつないだ。

 互いに無言で繋がれた指先で遊ぶ。

 シューレの親指が私の親指から手首に向けて撫で上げていく。

 ゾワゾワした。

 きっと私の顔は真っ赤だ。

 心の中は大嵐に見舞われていた。


 馬車が止まりとが開けられる、シューレが降り、私に手を差し出してくれる。

 暗闇でも気が付いたのだろう。

「顔が赤い」と言って私の頬を人差し指の腹でそっと撫でた。

「もう・・・無理・・・」

 クスクスと笑われ経験値の差を感じる。

 マーベラス邸のドアが開かれ皆に出迎えられる。


 全員が私の顔を見てニヤニヤと笑う。

 私は居ても立っても居られず「おやすみなさい」と言い、逃げた。

 翌日ニーカとシャッテがニヤニヤしている。

 腹立たしい。

「シューレが「時間が許す限りアマンダ嬢を留め置いて欲しい」と言っていたわよ」

「ローランもヴァレリーも快く了承していたわ」

「そんなに長い間お世話になってもよろしいのですか?」

「勿論よ。私達、もしかしたら親戚になるかもしれないんですもの」

「あのっ、まだそこまでは・・・」


「シューレが嫌になったら直ぐに逃してあげるわ」

「男共は女性の気持ちなんてわからないんだから」

「私達はアマンダの味方よ」

 優しい微笑みに勇気をもらう。

「ありがとうございます」

「今日は仕事が終わってからデートなんでしょう?」

「はい。ビストロに連れて行ってくださると」

「可愛くしましょうね」


 ニーカとシャッテが私の部屋に服を見に来て、一着のワンピースを選んだ。

 ワンピースにニーカの小物のレースを縫い付け、華やかに見せる。

「着て見せて」


「どうですか?」

「あとは髪をゆるくアップして後れ毛で色気を出しましょう」

「完璧よ」



 皆に会う度にニヤニヤされる。

「しっかりね」

「頑張ってね」

 迎えの馬車がやって来て皆に送り出された。


 私、相手に望まれてデートするの初めてじゃないかしら?

 いやだ、どうしよう。

 いい年をして小娘みたいに、恥ずかしくなってきた。


 シューレに出迎えられ、私の顔が赤いことに気付かれてしまった。

 嬉しそうなシューレの表情にうっとりしてしまいそうになり、小さく首を振り正気を保つ。


 食事をしながら今日一日どれだけ恥ずかしかったか説明した。

「もうっ!恥ずかしくて死にそうです」

 今も恥ずかしい!!

「死なれると困ってしまうな」

「でも、もう死にそうです」

「嬉しいよ」

「へっ?」

「私のことを一日中意識していてくれたんだろう?」


 くぅ・・・本当に死にそう。

「シューレ様も意識して下さいましたか?」

「夢の中でもアマンダ嬢に会いたいと望むほどに」

「もう!シューレ様のバカっ」

 軽快な笑いをシューレが上げた。


「明日も会える?」

「はい・・・死にそうですけど」

 また笑われた。

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