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7度の婚約破棄から幸せにたどりつくまで  作者: 瀬崎遊


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 マーベラス邸に戻ってニーカが男性陣に「明日のお芝居にシューレを誘ったの」と話していた。

 昼からはゆっくりした。


 昨日買ったドレスの一着が朝早くに届いた。

 着替えるように促され、マーベラスのメイドがこちらの流行りの髪型にセットしてくれた。

 アデレートでは見たことのない髪型とドレス。

 鏡に映る私は特別な私のような気がした。

 マーメドラインがウエストの細さを強調している。


 「似合うかしら?」

 「よくお似合いです」と結った本人とヴィーノが褒めてくれる。ちょっと恥ずかしくて顔を赤くして皆の前に行く。

 「どうでしょう?似合いますか?」


 「とても綺麗よ」「かわいい」「美しい」「お姫様のようよ」

 と皆褒めてくれた。ますます顔が赤くなり「ありがとうございます」とお礼を言った。

 

 シューレが到着したと執事が言い、私を見て「とてもお美しいです」と言ってくれた。

 全員で玄関に向かい、シューレはこちらを見て息を呑んだように見えた。


 取り繕うように咳払いし、私に手を差し出す。

 エスコートしてくれるのだと理解して私も手を差し出す。

「ありがとうございます」

「私の方こそ美しい方をエスコート出来て光栄です」


 馬車にはカリュース夫妻とシューレと私が乗り、もう1台にマーベラス夫妻が乗った。


 劇場に着いてシューレにエスコートされていると若い女の子が振り返る。

「アマンダ嬢を見ようと皆が振り返りますよ」

「シューレ様を見るためですよ」

 私達の会話を聞きカリュースが「二人共素敵だよ」とからかう。


 特別席に案内され、腰を落ち着ける。

 芝居の内容はコメディなのだが、婚約破棄もので身につまされた。

 婚約破棄の場面で思わず涙が出てしまった。

 その横でシューレがまた息を呑んだことに私は気づかなかった。

 芝居が終わる頃には楽しくてちょっとはしたなく笑ってしまった。


「面白かったですね」

「そうだね。よく笑ったよ。あの・・・」

「はい?」

「この後よかったら二人で食事をしないか?」

「えっ?」

「付き合っている人や婚約している相手がいる?」

「いえ・・・」


 シューレと私の会話を聞いてマーベラスが言った。

「嫌なら断るといい。もう二度と会うことはないんだから。でも嫌じゃないなら受けるといいと思うよ。未来はあるんだから」

 外国なのだし、臆病になる必要はないと背を押された気がした。

「お受けしたいと思います」

 

 マーベラスの馬車に2人だけで乗る。

「少し恥ずかしいです」

 カリュース達は先行して私達の席を作ってもらうと言っていた。

「聞いてもいいかな?」

「はい?」

「お芝居を見て涙を流していただろう?どうしてかな」

「ちょっと身につまされちゃいました」

 私の過去の話をシューレに話した。

 幼い頃のことは笑って話せたが、徐々に声が震えた。

 考えたら私は婚約破棄の話を誰かにしたことがなかった。

 皆知っていたから。


「それは・・・心無い人が多いね」

「少し人が怖くなってしまって、今は国境近くの小さな村とも呼べない集落で暮らしています」

 シューレが長いため息を吐き、私の手をとりシューレの頬に私の手を当てた。

 男性にこんな事をされたことがない私は息を呑んだ。

「ドキドキする?」

「は、い」

「嫌な感じがする?」

「い、え」


 頬から手を離され、寂しいような、ホッとしたような複雑な気分になる。

 レストランに着くまで手を繋ぎ、シューレの膝の上に置かれたままだった。

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