第26話「親睦会」
放課後、朝倉さんと一緒にファミレスへ向かった。
店に入ると、すでに四人が席に着いていた。
「あ、来た来た!」
悠真が僕たちに気づいて手を振った。
「ごめん、待たせちゃった?」
「全然! 俺たちもさっき来たところ」
朝倉さんが橘さんの隣に座り、僕は悠真の隣に腰を下ろした。
向かいには朝倉さんが座っている。
「ねえ、律。さっきの話なんだけどさ」
藤宮さんが成瀬くんに話しかけた。
「まだ続けるの?」
「だって、ちゃんと返事もらってないし」
「何回も断ってるでしょ」
「予定が合わなかっただけじゃん!」
「だから、それを断ってるって言うんだよ」
二人のやり取りに、悠真が笑った。
「相変わらずだな、二人とも」
どうやら、二人は以前から親しいらしい。
「白瀬くん、何食べる?」
向かいに座っていた朝倉さんが尋ねた。
「あ、まだ決めてなかった」
僕はテーブルに置かれたメニューを開いた。
「私、ドリアにしようかな」
「いいね」
「白瀬くんは?」
「僕はオムライスにしようかな」
「そっか。美味しそうだね」
「俺、ハンバーグにしようかな。律は?」
悠真が成瀬くんに尋ねた。
「僕はパスタにしようと思ってるよ」
「じゃあ、私もパスタにしよっかな」
藤宮さんがそう言うと、成瀬くんが顔を向けた。
「さっきドリア食べたいって言ってなかった?」
「気が変わったの!」
「はいはい」
それぞれ注文を決め、店員さんを呼んだ。
注文を終えると、悠真が口を開いた。
「てかさ、俺たち三人ともスキー未経験だけど、大丈夫?」
悠真が女子三人に尋ねた。
「私は何回か滑ったことあるよ」
橘さんが答えた。
「私もある!」
藤宮さんが続いた。
「私も経験あるし、大丈夫だよ」
朝倉さんも頷いた。
「そっか。じゃあ、経験者三人と初心者三人か」
「うん。それに、白瀬くんを誘ったときから、初心者の方に合わせるつもりだったから」
「え? 僕、スキー未経験って言ったっけ?」
思わず朝倉さんに聞き返した。
「えっ、あ、ごめん。勝手にそう思ってた」
「……そうなんだ」
「でも、当たってたでしょ?」
「うん、当たってたけど」
朝倉さんが笑うと、悠真もつられて笑った。
「でも、三人とも初めてなら、最初はゆっくり練習した方がよさそうだね」
橘さんが言った。
「そうだね。私も久しぶりだから、最初は練習したいな」
朝倉さんが答えた。
「ちなみに、みんな最後に滑ったのいつ?」
悠真が尋ねた。
「私は去年かな」
藤宮さんが答えた。
「律、転んだら私が助けてあげるよ!」
「紗奈には助けられたくねーよ」
「は? なんでよ!」
「お前まで一緒に転びそうだし」
「失礼すぎない!?」
二人のやり取りに、悠真が笑った。
そのとき、店員さんが料理を運んできた。
「お待たせいたしました」
テーブルに次々と料理が並べられていく。
「おお、うまそう!」
悠真が目の前のハンバーグを見て言った。
僕の前にも、注文したオムライスが置かれた。
「わあ、美味しそう!」
向かいに座る朝倉さんが、僕のオムライスを見て言った。
「朝倉さんのドリアも美味しそうだね」
「うん! お腹空いてたんだよね」
全員の料理が揃ったところで、僕たちは食べ始めた。
「そういえばさ、修学旅行ってスキー以外にも自由時間あるんだよね?」
悠真がハンバーグを一口食べてから尋ねた。
「うん。初日はホテルに着いてから自由時間があるし、四日目は観光だよね」
朝倉さんが答えた。
「札幌と小樽だっけ?」
橘さんが尋ねると、朝倉さんが頷いた。
「そうそう。五日目も少し観光してから帰るみたい」
「せっかく北海道行くんだし、美味しいもの食べたいな」
悠真が言った。
「私、海鮮食べたい!」
藤宮さんが答えた。
「紗奈、食べ物のことばっかりだな」
成瀬くんが言った。
「いいじゃん! 律だって北海道楽しみでしょ?」
「そりゃ楽しみだけど」
「じゃあ、一緒に美味しいもの食べようよ」
「なんでそうなるんだよ」
二人のやり取りを聞いて、橘さんが笑った。
「白瀬くんは? 修学旅行楽しみ?」
朝倉さんが尋ねた。
「うん。あんまり旅行に行かないから、結構楽しみなんだ」
「そっか! 一緒にいっぱい楽しもうね!」
それからも、僕たちは食事をしながらいろいろな話をした。
気づけば料理を食べ終え、時計の針も随分進んでいた。
「そろそろ帰ろっか」
朝倉さんが言った。
僕たちは会計を済ませ、店の外へ出た。
外はすっかり暗くなっていた。
「ねえ、律。このあとカラオケ行かない?」
藤宮さんが成瀬くんに声をかけた。
「なんで俺が紗奈の歌声聞かなきゃダメなんだよ」
「は!? 別に私の歌を聞かせたいわけじゃないし!」
「じゃあ、一人で行けば?」
「一人じゃ意味ないじゃん!」
「なんで?」
「もう! ほんと意地悪!」
二人のやり取りに、悠真が笑った。
「相変わらずだな、二人とも」
「じゃあ、俺はこっちだから。また明日な!」
悠真が手を振って歩き出した。
「うん、また明日」
僕も手を振り返した。
「透くん、また明日ね」
成瀬くんが僕に声をかけた。
「うん。また明日」
「律、ちょっと待ってよ!」
先に歩き出した成瀬くんを、藤宮さんが追いかけていった。
「私もこっちだから、また明日ね!」
橘さんも二人とは別の方向へ歩き出した。
「また明日、玲奈!」
朝倉さんが手を振った。
残ったのは、僕と朝倉さんの二人だった。
「今日は楽しかったね!」
駅へ向かう途中、朝倉さんが言った。
「うん。みんなといろいろ話せたし」
「でしょ? 修学旅行も楽しみだね」
「うん」
そんな話をしながら、僕たちは駅へと向かった。
第26話「親睦会」を読んでいただき、ありがとうございます!
今回は、修学旅行のスキー班6人での親睦会を描きました。
新しく登場した紗奈と律の関係性も、少しずつ伝わっていたら嬉しいです。
次回からはいよいよ北海道への修学旅行編です!
引き続きよろしくお願いします!




