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サイコパスプリンス  作者: 山空
11/13

第11話「それぞれの思い」

 テストが終わった日の放課後。


 私は玲奈と二人で、教室に残っていた。


「ねえ、玲奈。ちょっと相談してもいい?」


「ん? どうしたの?」


「白瀬くんのことなんだけど……」


「白瀬くん? 何かあった?」


「ううん。ただ、白瀬くんって何か悩んでるんじゃないかなって思って」


「なんでそう思うの?」


「話してるとき、たまにすごく考え込んだ顔をするの。何度か見たから、気のせいじゃないと思うんだよね」


「そっか……」


「それでね、実は前に白瀬くんに助けられたことがあって……」


 私は、家のことで悩んでいたときに白瀬くんの作文を読んだことや、それをきっかけに両親と話せたことを玲奈に伝えた。


「へえ、そんなことがあったんだ」


「うん。だから、今度は私が力になれたらなって。でも、何をしたらいいのか分からなくて」


 玲奈は少し考えてから、口を開いた。


「うーん。でもさ、白瀬くんが何に悩んでるかは分からないんでしょ?」


「うん……」


「だったら、今は無理に聞かなくてもいいんじゃない?」


「そっか……」


「それよりさ、もっと仲良くなってみたら?」


「もっと?」


「うん。もうすぐ夏休みだし、二人で遊びに行くとか!」


「えっ、二人で!?」


「うん。いいじゃん!」


「いや、でも……」


 私は少し考え込んだ。


 今までも白瀬くんとは一緒に帰ったり、放課後に勉強したりしてきた。


 でも、夏休みにわざわざ約束して二人で会うとなると、少し話が違う気がする。


「……でも、男の子と二人で遊ぶって、デートみたいじゃない?」


「まあ、そうかもね」


「えー、なんか変な感じ!」


「花がそんなこと気にするなんて珍しいね」


「だって、今までは何かしら理由があったじゃん?」


「まあ、難しく考えなくていいんじゃない? 普通に遊べばいいんだよ」


「……それもそうだね!」


「でしょ?」


「じゃあ、誘ってみようかな!」


 翌日の昼休み。


 私は自分の席でお弁当を片づけると、白瀬くんのところへ向かった。


「白瀬くん!」


「朝倉さん、どうしたの?」


「ねえ、もうすぐ夏休みじゃん?」


「うん、そうだね」


「夏休みって、何か予定ある?」


「今のところ、特にはないかな」


「ほんと? じゃあさ、よかったら一緒に遊ばない?」


 白瀬くんは少し驚いた顔をした。


「僕と?」


「うん!」


「……うん、いいよ。どこに行く?」


「それはまだ決めてない!」


「決めてないんだ」


 白瀬くんは小さく笑った。


「これから一緒に考えようよ!」


「分かった。楽しみにしてる」


「ほんと? やった!」


 思っていたよりあっさり約束が決まった。


 どこへ行こうかな。


 私はさっそく、遊びに行く場所を考え始めた。


⸻


 帰宅後、僕は朝倉さんとのトーク画面を開いた。


 夏休みに、朝倉さんと二人で遊ぶことになった。


 誘われたときは驚いたけれど、正直、嬉しかった。


 高校に入ってから、休日に誰かと遊ぶ約束をするのは初めてだ。


 まだ日程も行き先も決まっていない。


 どこに行くのがいいんだろう。


 そんなことを考えていると、朝倉さんからメッセージが届いた。


『白瀬くん! 夏休み、どこ行きたい?』


『うーん、朝倉さんは何か候補ある?』


『映画か、水族館か、遊園地とか!』


 どれも楽しそうだ。


 少し考えてから、返信した。


『水族館とかどうかな?』


『いいね! 私も行きたい!』


『じゃあ、水族館にしようか』


『決まり! 楽しみだね!』


『うん、楽しみ』


 僕はスマホを机に置いた。


 朝倉さんと二人で水族館。


 改めて考えると、なんだかデートみたいだ。


 ……いや、考えすぎか。


 ふと、以前朝倉さんに聞いたことを思い出した。


 どうして、最初に僕に話しかけてくれたのか。


 あのとき、朝倉さんは「秘密!」と笑っていた。


 結局、あれはどういう意味だったんだろう。


 少し気になったけれど、考えたところで答えは出ない。

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