二.祝、ドラゴン祭り開催!
写真には、砂浜の上に横たわる謎の骨。
添えられた文章は――
《これ、どう見ても……ドラゴンの頭蓋骨だろ》
――と、これだけだった。
ところが、SNS界隈というものは恐ろしい。
インターネットの海に、突如現れた巨大な幻獣を前にして一斉に牙を剥いた。
《キタキタキタ、キターッ! ドラゴン、キターーーッ!》
《鼻先の形が完全にドラゴンのそれだーーっ!》
《いや待て、角の生え際が完全に古代種だぞ》
《古代のドラゴンがイギリスにいた証拠だ!》
《イギリス政府が隠蔽する前に、大英博物館に知らせろ!》
《これは、政府というより王室が……》
《MI6に消される前に、世界中に拡散するんだ! 》
気づけば骨は世界中を駆け巡り、陰謀論まで出る始末。
「#リアルドラゴン発見」「#イギリスの竜」といったハッシュタグは、
数時間でトレンドのトップへと躍り出た。
誰かが「ドラゴンの頭蓋骨」と題して画像を加工し、
炎を吐くドラゴンのイラストと並べれば、
別の誰かは、骨の輪郭を赤線でなぞって――
《ここが角! ここが顎! 間違いない!》
――と断言した。
さらに誰かが――
《ついにドラゴンが見つかった!》
――と投稿したすれば、
それを見た別の誰かが――
《ドラゴン祭り絶賛開催中!》
――と書いた。
ネットの住人たちは、古代のロマンに脳を焼き尽くされ、
夜を徹して想像上の翼を羽ばたかせた。
誰もがそのトゲトゲした骨片に、強大な翼竜の面影を重ねて熱狂していたのだ。
こうして、砂浜に打ち上げられた奇妙な形をした骨片は、
いつの間にか世界規模の祭りの御神体に祀り上げられていった。




