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一.竜の落とし物

 朝の砂浜は、静かで透明な光に包まれている。

 潮の香りがほのかに漂い、波は穏やかに砂を洗いながらゆっくりと寄せては返す。

 薄桃色の朝焼けが水平線のかなたから差し込み、濡れた砂に淡い光の筋を描く。

 小さな貝殻や海藻が散らばる砂浜には、夜の間に刻まれた波の模様が繊細に残っている。

 遠くにはカモメたちが静かに滑空し、柔らかな海風が髪や肌をそっと撫でる。

 朝の海の声はまだ眠たげで、世界全体が新しい一日をゆっくりと目覚めさせているかのようだ。


 そんな砂浜には、時に摩訶不思議(まかふしぎ)なものが打ち上げられることがある。


 イギリスの某所――潮風が香る穏やかな朝の砂浜で散歩楽しむ一人の男性観光客が足を止めた。

 彼の目に留(と)まったのは、波打ち際に転がっていた不気味な造形美を放つ白骨化した物体だった。

 その奇妙に湾曲した骨片の上部は尖った目のような形で、下部には細長い鼻のような形になっていた。


 さらに、丸みを帯びた端からいくつもの突起が伸び、どう見ても生き物の頭蓋骨、それも、神話やアニメでお馴染みの定番幻獣の頭蓋骨にしか見えなかった。


 「……これって、まさか」


 思わず、そう漏らすと、震える手で写真を撮った彼はSNSに放り込んだ。


《イギリスの砂浜で、とんでもないものを発見してしまったかもしれない。

 これ、どう見ても……ドラゴンの頭蓋骨だろ》


 この投稿は、乾いた火薬庫に火種を投げ込んだような爆発的な化学反応を引き起こした。 

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