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第29話 呪いのエルフ、三度目の配信を行う

《こんギルハ~》

《初見です》

《今日もギルハちゃんを見に来ました》

《配信感謝代=10000円》


「えっと、みんな、こんギルハ? いつも観に来てくれてありがとうね! 初めて観に来てくれた人も、楽しんでいってくれたら嬉しいな」


 私はいつも通り? 配信の挨拶を済ませて、コメントたちと会話をする。


《今日は普段の場所からスタートじゃないんだね》

《いつものゲーム画面きた》

《ストーリー気になる~》

《どんなゲームなんですか?》


「あ、そうなの。今日はもうこっちに来ててね。初めての人にも説明すると、この世界って未来の世界で、イケブクロって場所なの。そこでエリアマスターっていうのを倒すと、この荒れた未来が変わる、みたいなの」


《説明助かる》

《ぶっとんだ設定だね~》


 視界の端にコメントたちを捉えながら、私は目の前に広がる景色に目を向ける。

 そこは荒廃した大地が広がり、多くの元は建物だっただろうモノが倒れている。そして今、私の目の前には天を衝くような塔が、湖の上に建っている。ボロボロで、崩れそうだけど、周囲のどの建物よりもきちんとした形で残っていて、目立っている。

 それに何よりも、その塔の頂上に視線が向かう。

 頂上からは巨大な樹が伸びていて、より周囲とは違う、神聖さを放っていた。生憎、上空の方は靄というか霧が立ち込めていてよく見えないけど、全貌が見えない点もまた、その場所が異常に伺える要因とも言えたかもしれない。


「……今日は、あの塔に向かおうと思っててね」


《ついに来たか》

《雰囲気だけならラスダン》

《俺たちのサンシャインシティが……》


 神秘的な雰囲気を漂わせる目の前のそれに、コメントたちも息を吞んでいるみたいだ。本当にあの場所にエリアマスターがいるかどうかはわからない。でも、行かなきゃいけない気がしたんだ。ルカもあの塔を目指していたんだから、きっとあそこに行けば何かわかるに違いないから。


「……でも、どうやって行こう?」


《何も考えてないのね》

《行き当たりばったりでもいいじゃないか》

《湖渡れないの?》


「う~ん……、そうしても良いんだけど……」


 あの湖がただの水だったならそれでもいい。私のナインバイタンで固体化させることができるから。でも、あれは多分スライムの群体。勇者アスカが、スライムを取り込んだ、あの状態になった原因は、間違いなく湖の大量のスライムたちに対して対抗するための措置だったんだろうと、そう思える。

 なら、私の毒で固体化させたとして、彼と同じ状況になるんじゃないかって、そう思ってしまう。だからできることなら別の方法であの塔に入りたい。


《てか、サンシャインって地下あるじゃんね》

《あったね》


「え? 地下から行けるの?」


《俺らの時代にはあったんだけどさ》

《この瓦礫の中から地下の入口探すの無理やろw》


「えと、みんな。試しにどの辺りにあったかとか、わかる?」


 もしかしたら埋まらずに残っているかもしれない。淡い期待に縋るように、私はコメントたちにそう尋ねた。


《たぶんわかるかも》

《駅の方角が向こうだから……》


 様々なコメントたちの言葉を見て、私は言われた通りの場所に向かう。瓦礫の山を乗り越えて、辿り着いた先に待っていたのは、同じような瓦礫の山だった。


「やっぱり埋まってる、かな?」


《っぽいね》

《この辺ではあるけど》

《さすがにこの中から地下への道探せんくない?》

《別の方法探した方がいいかも》


 コメントたちの言う通りかもしれない。すっかり同じような景色が広がる荒廃した場所から、地下への入口なんて見つけられるわけがない。私もそう思う。

 でもやれるだけやってみたい。他の方法も見つからないし。


「とりあえず、邪魔な瓦礫を壊さないとね」


《え?》

《え?》

《???》


「――ゼノリーク」


 虹色のクラゲを顕現させると、彼女の幾つかの触腕で周囲の瓦礫に触れてもらう。触れた傍からみるみるうちに瓦礫は崩れていき、しばらくするとやがて一つの瓦礫の山がその嵩を減らした。


「あ、もしかしてここ?」


 ゼノリークが溶かした瓦礫から現れたのは、大きな穴。下へ降るための階段が暗闇へと続いていて、どう見ても地下への入口っぽい。


《いや、それ。それなんだけどさ》

《やっぱり適当過ぎん?》

《このエルフ、何も成長していないのである》


「だ、だって! こうするしかないって思っちゃったし!」


《にしてもどうなん》

《ギルハ殿は大胆だな》


「で、でも! 地下への入口は見つかったでしょ? それじゃあ行ってみよう!」


《まあ進めるならいいか》


 そう。今はとにかく前へと進むことが大事だ。私は足元を探りながら慎重に、地下への階段へと足を踏み出した。

お読みいただきありがとうございました!


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