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これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


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ついに、選考結果が

一次選考の結果は?

「ビューティコンテスト」マダム部門への応募をしてから数日。

テレーザはなんだか落ち着かない。


毎日のように、いや、一日に何度も

「ねえ、結果来た?」

と尋ねる。

その相手は、葵だったり、尊だったり、時には孝太郎だったりする。


「まだよ、そんなに気になるなら自分のタブレットでも調べればいいのに」

と葵に言われるが、


「だめだよ、私、緊張しちゃってみられない」

とテレーザ。

葵や尊も、審査結果をハラハラしながらも、今か今かと持ち構えていた。



閑静な住宅街、その中のかなりの豪邸。

そこに住むカミヤマ夫妻も、同じように審査結果を待っていた。


スーパーマーケットロイヤルの社長、カミヤマジュンとその妻ショウコ。

かつては、美男美女、理想のカップルだと言われた。

今では二人の息子に恵まれ、そのセレブな暮らしぶりはまさしく絵にかいたような「素敵な家族」だ。


ショウコは若い頃のはじけるような美しさこそ影を潜めたが、いまだに肌は透き通るように白く、

髪は真っ黒でつややか、そして優しい笑顔を絶やさない。

何処から見ても、優雅なマダムだ。


「次は動きが審査される。

彼女の美しさを引き出してくれる者をさがさなねば」

と夫のジュン。

ーショウコほどの美貌なら、写真選考など楽勝だろうー


「しかし、念には念を入れて」

と書斎にこもり、パソコンに向かい何かを調べるカミヤマ。


そして、「ビューティーコンテスト」の主催者それぞれにメールを送り付けた。

さりげなく、今回、自分の妻が参加している、と世間話のついでのように伝えた。


スーパーマーケットロイヤルはコンテストの大口スポンサーでもあるのだ。

「私の妻を無下にできるわけがない」


その日のカミヤマ家の夕食で、

食卓には、カミヤマと妻のショウコ、そして二人の息子、マコトとイサオ。

それから、フィル・グレンがいた。


食卓に並ぶのは、まるで高級レストランかのようなメニュー。

先日、テレーザが瑛子のために作った「母の日のディナー」もかすんで見えるほどだ。


カミヤマの家の専属シェフが毎食、腕によりをかけて、家族の食事を用意しているのだ。

そして、この邸宅をいつもきれいに保つために何人もの掃除係、庭師、ほかにも大勢の使用人がいる。


「ここは小さな王宮ですね」

とここに来た当初のフィル・グレンがつぶやいたほどだ。


フィルはせっかく普通の旅行者として異国に来たというのに、王宮のような生活など望んではいなかった。

しかし、滞在先として連れてこられたのは、このカミヤマ家。

フィル自身は不平を言うことなど出来るはずもなく、そのままこの家留まっている。


少しでも、ここ倭の国の日常を知ろうろと希望したのが、先日の倭剣術の道場見学だった。

そこで見かけたテレーザという少女。


「もう一度、会いたい」

と密かに思うフィル。


あの不思議な力の正体を確かめたい、そして。


ーあの子は何処か王女を思い出すー


フィル・グレン侯爵、いや彩の国のホイ王子。

美の国、テレーザ王女との婚儀が決まってはいたが、彼はテレーザに会ったことはない。


一度だけ、写真を見たような気がする。

王女らしく、髪を結い上げ、冠を付け、そして美の国らしい鮮やかなドレス姿のテレーザ王女。


そして、もうひとつ。

姫君格付けランキングのためのPR画像だ。


淡い色の水彩画。

どれもテレーザの人柄が分かる絵がたくさん公開されていた。


「あの絵も可愛かった」

と思い出してほほ笑むフィル。


「フィル、君の国では魔法使いは大勢いるんだろ?」

と急にフィルに言葉をかけたカミヤマ。


彩の国、王宮には大勢の魔法使いがいた。

城の防衛のため、自分たち王族の護衛のため。


「そうですね、彩の国は戦もない平和な国ですが、防衛のために大勢の魔法使いがおりました」

とフィル。


この人は魔法に興味があるのだろうか、それならばこちらからも聞いてみたいことがある。

国、王宮の魔法使いたちは貴族から見てどんな存在だったんだろう。

それを想いながら、フィルが答える。


「ここには魔法使いはほとんどいない。魔法はこの国では希少なものなんだ、僕も魔力があったら魔法の修行をしてみたかったな」

とカミヤマ。


「父上が魔法の修行なんかしたら、会社が今以上に儲かってしまうじゃない」

と息子のマコトが言った。


「そうだな、それか母上の美しさを一生保てる魔法を習得するとか」

ともう一人の息子のイサム。


「カミヤマご夫婦は本当に仲が良くて、僕の両親にも見習ってもらいたいよ」

とフィル。


フィルの目から見ても、一般家庭とは思えないカミヤマ家での生活。

本来臨んだものではないが、家族の仲の良さだけは偽りではない、と感じていた。


自分の家族。

両親は彩の国の国王、そして王妃。

自分自身は10番目の子供だ。

誰も興味などない、王位継承権10位の第5王子。


「殿下、せめて婚儀であの国を併合する手立てになるくらいにお役には立っていただきたいものだ」

と側近にも言われ続けた。


それなのに、その婚儀の話は水に流れ、自分は今、ここにいる。



「おお、連絡だ」

食事が終盤に差しかかかった時、

カミヤマのタブレットからアラームが鳴り、メッセージが画面に表示された。


「ママ、やったね。一次選考は通過だ」

とカミヤマ。

ちょうど「ビューティーコンテスト」マダム部門、一次審査である、写真選考の結果が出たのだ。


「厳正なる審査の結果、カミヤマショウコさんには2次審査へと進んでいただきます」

とメッセージには書かれていた。


「ビューティーコンテスト?ショウコさんが参加されてるんですね。ショウコさんなら優勝ですね」

とフィルも喜びながら言った。


「どうだ、フィル。次はアピール審査だ。一緒にショウコのサポートをお願い出来ないかな」

とカミヤマ。


倭の国、独自のコンテスト。これに関わるのもいいかもしれない。

とフィルは思った。



その頃、

都留田家の食卓では。


「やったじゃーん、ママ。審査通過だよ」


「テレーザの修行の成果だね」


「母さんでも通過するのか、レベルが低いんじゃ」


と歓声が飛び交っている。


瑛子の元にも。

「都留田瑛子様、一次審査は通過となりました。次の2次審査へお進みください」

とメッセージが届いていた。


「うわぁー やったあ」

とテレーザが大きな声をあげた。

そして、ぴょんぴょんと飛び跳ねながら、ガッツポーズを見せた。


そんなテレーザを家族がすこしだけ、驚きながら見つめていた。


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