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これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


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「ビューティーコンテスト」第一次審査、応募完了

コンテスト、応募しました

「ねえ、きみ。もう大丈夫よ。でもね道路に飛び出しちゃだめよ」

とテレーザが子供を抱きしめながら言う。その声は優しく、穏やかだ。


隣りの駆もテレーザの声にひき込まれる。

そして、ふと見ると、テレーザの身体から細かな光の粒が輝きながら舞っているのが見えた。

その光の粒が、子供を包み込む。


「うん。お姉ちゃん。これからは気を付けるね。ありがとう」

と子供が言う。

もうすかぅかり落ち着いた表情だ。


「じゃあね」

そういうテレーザに手を振り、その子供は自転車で走り去って行った。


子供の後姿を見送りながら、

「おい、さっきの。あれ、なんだ」

と駆が言う。


「さっきの?」

とテレーザ。


「とぼけるなよ、なんか使っただろう」


「ああ、あれね」

テレーザが言うには、瑛子の修行のため自分も鍛錬をするようになってから、

自身の力が研ぎ澄まされてきている、のだそうだ。


「母さんへの修行がねえ」

と駆が言う。


駆も、母瑛子が最近どこか違うことに気付いている。

生き生きとして、凛としている。

どこか輝いて見える。


「ただいま」

とテレーザと駆が、玄関を開けた。


二人で台所に向かい、それぞれ飲み物を手に食卓に。

そこには、家族が揃っていた。


「なに、どうしたの。反省会でもやってんの?」

と駆が言う。

夕食の時間は過ぎているのに、皆が揃っていることに驚いている駆。


「なんだよ、ここに居ちゃわるいんか?」

と尊が言った。


「そうじゃないけど、珍しいなと」

と駆。


「あの、今夜、こちらにはどなたかがいらしたのですか?」

そこにテレーザが割って入るように言った。


瑛子と孝太郎が思わず顔を見合わせる。

そして、


「なんでそう思うの?」

と葵が聞いた。


「気配がのこっているので」

とテレーザ。


「あ、あのね、今夜、急にお父さんの仕事先の方が道場を見たいとおっしゃってね、

ちょうどオオヤマさんたちが追稽古をする日だったし、見学をしにいらしてたのよ。

ほんとに、急に」

と瑛子が少しだけ焦りながら言った。


「そうですか」

とテレーザ。

テレーザがその言葉を鵜呑みにしていないことは明らかだったが、それ以上は何も追及をしなかった。


「あのさ、そういえばママの第一次審査の応募、そろそろやっちゃおうよ」

と葵が急に話題を変えた。


「倭の国 ビューティーコンテスト マダム部門」

その第一次審査である写真選考。


締切り迄、まだ猶予はあるがなかなか天気に恵まれず、やっと晴天になった今日、その写真を撮り終えたばかりだ。

「写真は天気のいい日に外で撮る」

これはテレーザの譲れない条件だった。

その画像をみなの前でパソコンに表示する尊。


「これで出そう」

と言いながら。


選ばれたのは、庭で撮影した数枚。

顔のアップ、全身、そして花壇の花に触れているもの。


「水着はないのか?」

と駆。


「マダム部門だよ」

と葵が言う。


「瑛子の水着姿だなんて、一発で落選だ」

と孝太郎が言ったが。


その言葉には誰も反応がない。

しばらくして、


「私だってなかなかのプロポーションよ。ナイスバディ、知らないの?」

と瑛子が自信たっぷりに言った。


選ばれた画像、いやそれ以外のものも、表情が自然で美しく撮れている、

瑛子は元々のいわゆる「美人」ではない。

しかし、心優しく、心美しい人柄がにじみ出るような、目を引く写真だ。


「さすがテレーザが修行してくれてるおかげね」

と葵。


「そうね」

と言いながらテレーザを見つめる瑛子。


「瑛子さんの真の心を引き出しているだけよ。私は」

とテレーザ。

その表情はとても穏やかで、満足げな様子だ。


「さ、これでいい。確認して」

と尊が瑛子にパソコン画面の最終確認を促した。


「じゃ、このボタン押して」

と葵。


「応募完了」

と画面に表示された。


厳正に審査を行い、一次審査通過者の皆さまには二次審査のお知らせを通知いたします。

そあった。


これで

「ビューティーコンテスト マダム部門」へのエントリーが完了したのだ。


家族みんなが、画面を見ながらわいわいいと騒ぐ中、孝太郎がひとり複雑な表情を浮かべていた。

「瑛子がコンテストだなんて。落選したら、なんと言えばいいのか」

と思いながら。


以前なら

「お前がコンテスト?ばばあコンテストかぁ?」

と一蹴していただろう。

そんな孝太郎が、瑛子の事を少しずつ気遣うようになっていたのだ。



その頃、高級自宅地の広大な邸宅。

カミヤマ邸で。


「おい、ママ。君もコンテストに応募してみないか?」

とカミヤマジュンが妻のショウコに向かって言っていた。


妻のショウコ。

以前から美貌で知られ、彼女と結婚したときには誰もがその美しさを称え、そんな素敵な女性(ひと)を妻に出来るなんて、世界一の幸せ者だと言われたものだ。


カミヤマがフィルを連れて都留田の道場に行きたい、そう言って外務局、庁舎の会議室都留田を呼び出した時、都留田は慌てて家に電話をかけた。


そこで

「なに?写真の撮影中?もう終わった?応募締め切りはまだ先だろう。何も今撮らなくてもまだ間に合うじゃないか」

と話している声が聞応えいた。


調べると、それは毎年恒例の

「ビューティーコンテスト」のようだ。


「応募する?誰がだ。娘か?」

と内心思うカミヤマ。


しかし、都留田の家で久しぶりに見た瑛子はどこか気品があり美しさが漂っていた。

もしかしたら、応募するのは弦田の家内なのか、とカミヤマ。


ならば、自分の妻も出さずにはいられない。

誰にも負けるはずのない、自慢の妻、ショウコを。

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