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これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


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朝のエネルギー

修行始まりました。

家事は大丈夫かな?

いよいよ修行初日の朝。

その日、テレーザは日の出とともに起きていた。


部屋の窓を開けて、朝の新鮮な空気を吸い、太陽のパワーを取り込む。

これはダイナ夫妻から教えられたテレーザの能力の高め方だ。


朝起きて、朝食前の30分。

瑛子の潜在能力を磨き引き出す。


こういうことを、美の国では

「内に秘めた美しさを引き立てる」

というのだそうだ。


美の国、美しさを極める国。

国のすべてが「美しい」とされている。

そんな国民の多くは容姿に恵まれていたが、稀に例外もいた。


そんな人々は内に潜む美を磨く。

そうすることで、外見の美しさにまったく引けを取らない、美しい心をもつことができるのだ。


テレーザもその稀な、例外だ。

容姿は姉たちには遠く及ばず、弟の持つ天使の笑顔もテレーザには無縁だった。


魔力を含め、潜在能力だけはずば抜けたものを持っていたが。

それに気付いていたのはごく身近な側近と、宮廷魔法使いのダイナ夫妻くらいなものだった。


テレーザのことを気にもかけない国王夫妻。

彼女の持つ力を知ろうともしなかった。


「この子は他国との和平の道具、いつか外交のために異国に嫁がせるくらいにしか使い道がない」

ずっとそう思われていた。

そしてそれはテレーザに対する扱いにも如実に表れていた。


そんな時、ダイナ夫妻が魔法の指導と言う名目で、テレーザ本人に内に秘める美しさがあることを

教えた。

それがいつか、自身を助ける、そして誰かの役に立つと。


ダイナ夫妻も、まず初めにテレーザに朝の日の光を取り込むことを教えた。

朝陽のパワー、それは潜在能力を何倍にも高めるのだ。



道場で、瑛子と二人向かい合う。

テレーザは両手を合わせて、目を閉じた。

そして瑛子の心を探っていた。


道場の窓は開かれ、朝陽が差し込んでいる。

柔らかい日差しが瑛子を照らす。


修行初日は30分の瞑想。

それだけだった。


瑛子とテレーザが台所に行くと、そこには既に朝食の準備が出来ていた。

尊、駆が葵の指示で台所を動き回っていた。


「あら、お疲れ様。さあ、すわって」

と葵。


葵が中心となって用意して朝食、

スープとパン、フルーツ、が尊と駆、葵、テレーザに。

みそ汁と漬物、そして白飯、を孝太郎と瑛子。


「さ、みんな揃ったわね、あれ、パパはまだなの?」

と葵が言う。

孝太郎の姿はまだ見えない。


「もう、寝坊かな、時間厳守って言ったのに」

と葵、


そこに、

眠たそうな孝太郎が現れた。


「はい、パパ早く座って。皆で朝ごはん食べるよ」

と葵がせかした。


家族そろっての朝食、

みな、いや尊以外は時間に追われているはずだが、和やかな会話が交わされる。


「修行ってなにやってんの?」

と駆が聞く、


「今日はエネルギーを送って、瑛子さんの心の内を図ってみたわ」

とテレーザ。


「私はね、瞑想していたの」

と瑛子が言う。


「ふーん、笑顔の練習とか、ウォーキングとかやるんじゃないんだね」

と葵。


「それはもっと後でね。まずはいいところを見つけてを輝かせるそして引き出す、これが先決」

とテレーザが言う。


「じゃあ、兄さん、あとはよろしくね」

と朝食を終えた葵が言った。

台所の後片付けと洗濯が尊の役割だ。


葵と駆は通学の準備をし、それぞれ登校していった。

テレーザは道場の掃除のため台所を離れて行った。

今日は、元門下生たちとの稽古があるのだ。


尊は家事を終えると図書館に行く予定だと言い、

瑛子ももうすぐパートに出かける。


孝太郎は、一人出勤の準備をした。

瑛子には頼らずに。


「これくらい、一人で出来る」

そう独り言をいいながら。


スーツに着替え、玄関を出ようとしたとき、

「お父さん、これ忘れているわよ」

瑛子がと弁当と水筒を持って走って来た。


いつもは瑛子が準備している弁当。

今朝は葵が作った。


娘に弁当を作ってもらったのは初めてだ。

職場で何か言われるだろうか。

少しむず痒い。


「あの、お父さん?お仕事でなにかあったの?

なんだかすごく」

と瑛子が少しばかり聞きづらそうに言った。


そうか、やはりわかるのか。

職場での極秘事項。

これが地味にストレスになっている。


しかし、話すわけにはいかない。


「いや、このところ少し忙しくて」

と孝太郎が答える。


「そう、無理をなさらないように。」

と瑛子。


瑛子から弁当と水筒を受け取ると、孝太郎は不愛想に家を出た。

自分を抑えておかないと、瑛子に話してしまいそうだ。


「まったく厄介なことに巻き込まれたもんだ」

と孝太郎は思う。


「おじ様ーいってらっしゃい!」

駅に向かう孝太郎を見たテレーザが道場から手を振っていた。


屈託のない満面の笑顔で。

その姿はどこから見ても、幸せそうな普通の少女だ。


「消滅させられた王族」

これがどれほどの事なのか、孝太郎に思い図ることが出来た。



孝太郎は改めて、テレーザがあの王子の訪問に巻き込まれることがないよう願った。

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