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これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


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修行と極秘案件

ホイ王子の滞在は大騒ぎ。

毎朝、テレーザのよる瑛子の修行は続いていた。

いつも朝陽と共に起きているテレーザ。

日の光をまずは自身で取り込み、パワーに変えているのだ。


そのせいだろうか、テレーザは夜は随分と早く寝るようになった。

夕食が終わり、みんなでくつろぐ団欒の時間、ふと見るとテレーザは半分居眠りをしている。


それを見た葵が

「あのさ、わざわざ日の出の時間に起きなくてもいいじゃないの?

ママの修行はもっと後でしょ」

と言う、もっともな言い分だ。


「でも、朝陽の力はすごいのよ。それを逃す手はないわ」

とテレーザも譲らない。


瑛子をはじめ、他の家族の起床時間は今までと大差ない。

さすがにテレーザを一人早起きさせる事に、気が引けるのか瑛子は少しばかり起床が早くなっていた。


瑛子の代りに家事を分担した尊、葵、駆、そして孝太郎。

そろそろ慣れてきたようで、皆手際よくこなしている。


一人を除いて。


「おい、尊。洗濯をするとき、何故表に返さないんだ」

と孝太郎が叫んでいる。


取り込まれた洗濯ものが山になってる。

それを一枚一枚、畳んでいる孝太郎。


「これは何でこんなにシワだらけなんだ、パンパンしてから干したのか?」


「また裏になってるぞ、この靴下」

孝太郎の文句が止まらない。


家事の割り当てで、洗濯物を畳みそしてそれぞれのタンスにしまう、という役割を担うことになった孝太郎。


「家事はみんなで助け合おう」

そう断言した手前避ける訳にもいかず、仕事から帰り夕食を終えるといつもこのような状況だ。


女性郡は辞退したため、

尊と駆、孝太郎本人、男3人分の洗濯物。

それぞれが大きいので、かなりのボリュームだ。


「また、裏返しのままのシャツだ」

と孝太郎。


「おい、尊。洗濯をするときにはだな」

と尊に文句を言い始める孝太郎。


「でもさ、父さん。母さんが何度言っても聞かなかったの自分だよね」

と尊。


今までも孝太郎は服を脱いだらそのまま、洗濯かごに放り込んでいた。

裏でも表でも気にもしないで。

瑛子が何度か、表にしてから洗濯かごに入れてほしい、と申し入れたが聞く耳をもたなかったのだ。


そのくせ、裏のままで畳まれた洗濯ものがあると激怒した。

「お前は何を見ているんだ」

そう言いながら、その服を床に投げ捨てることもあった。


「裏のままで洗った方が、肌に触れる方がきれいになるからいいじゃね?

だからやっぱ、畳む人がおもてにすればいいんだ」

と尊。


「・・・・」

尊の論破に何も言えない孝太郎。

ことばを荒げることは決してせず、静かに諭すように言う尊。

孝太郎とは対照的だ。



「ねえ、ママ。なんか肌がきれいになってない?」

と風呂上がりの瑛子を見た葵が言った。


「あら、そう?」

と瑛子。

本人にそんな自覚はないようだ。


「でもねテレーザと修行を始めてから、なんか空気がおいしいの。

身体も軽くなった気がする」

と続ける。


「へえ、効果てきめんだね。私もやろうかな、修行」

と葵。


そう言う葵は、瑛子の首筋にふと目を止めた。

白く細い、瑛子の首すじ。

こんなに綺麗だっただろうか。



洗濯物と格闘している孝太郎の元に瑛子がやって来た。

「あらあら、お父さん、お疲れ様」

そう言いながら。


瑛子も一緒に畳み始めた。

さすがに手際が良い。

あっという間にすべてを畳み終えた。

もちろん、裏返っていたものはすべて表にしてある。


「さすがだな」

と孝太郎。


「年期が違うのよ」

と瑛子が笑った。


「それより、お父さん。お仕事、大変なんでしょう?

ストレスたまってるんじゃないの」

と瑛子が言う。


ストレスの原因。

そうだ、フィル・グレン侯爵と名乗り倭の国を訪れる予定の、彩の国第5王子、ホイの件だ、そうG案件。


やっと滞在先の家庭が決まった。

スーパーマーケットロイヤルの社長宅だ。


妻と二人の息子がいる、スーパーマーケットロイヤルの社長、カミヤマジュン。

市内中心部から少し離れた閑静な地域の、大きな邸宅で暮らしている。

息子たちは侯爵と同年代だ。

侯爵が滞在するには、ぴったりな家庭だ。


ホイ王子の正体を、カミヤマ一家に伝えるべきか、ということで受け入れ委員会の意見が分かれている。


G案件準備対策委員会。

あの時の会議に参加したメンバーだ。

今のところ、ロイヤル旅行者としてやってくるのが、ホイ王子だと言うことを知っているのは

この面々だけだ。


「王子だと知らせておかないで、気付かぬ無礼をしてしまったらどうする」


「そもそも、王子がご自分でばらしてしまうかもしれない」


「そうなるとカミヤマ一家も動揺するだろう」


「受け入れを辞退するかもしれん」


「せめて、カミヤマジュン氏にだけは知らせた方がいいのではないか」

と孝太郎が意見を言うと、

他の皆も頷いた。


「そうだな」

と。


ホイ王子の側近からは、

「王子はあくまでも、一般の旅行者として過ごされることを希望しておられる。

それを踏まえ、ご対応ねがいたい」

との通達が出されている。


それでも、

個室を用意してほしい。

寝具は羽根布団に限る。

着替えの手伝いする付き人を付けてほしい。

食事は銀の食器を使ってほしい。

など数多くの要望が届いていた。


そして、

「お荷物はトランク30個ほどになります。

すべて収納できる広さのお部屋の準備を願いたい」

とあった。


「どこが一般の旅行者だ。王族のご旅行そのままじゃないか」

と孝太郎のみならず、皆が思った。


すると、スーパーマーケットロイヤルの社長、カミヤマ氏から、

「そのすべてを我が家で賄いましょう。

これができるのは倭の国広しと言え、我が家くらいしかないでしょう」

と自信たっぷりに豪語した。


「ロイヤル旅行者ごときに馬鹿にされてたまるか」

と話す姿は鼻息が荒い。

倭の国の上流階級としてのプライドがある。


「うちは、カミヤマ家、世界に誇れる上流家庭だ」

と、カミヤマ氏は声高らかに言う。


「そう言えば、あいつ、見栄っ張りだったよな」

と孝太郎が思った。


カミヤマと孝太郎。

大学時代の学友だったのだ。

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