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これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


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舞台が終わり

「姫君格付けランキング」本番が終わり、遠い国でも見ている人が。

「さっきは」

テレーザに向かい、独り言のようにつぶやくリーズル。


「姫君格付けランキング」のメインイベント、姫たちによるステージパフォーマンスは

大盛況でその幕を閉じた。


まだ余韻ののこる舞台裏。

先ほどまでステージ上にいた姫たちが、興奮冷めやらぬ様子だ。


そんななか、テレーザの横を通りかかったリーズル。

声をかける機会をうかがぅていた。


ステージでの最後の大合唱。

予定では合唱隊の子供たちだけが唄う、そう言うことになっていた。

しかし、いつのまにやら、会場もステージ上の姫たちも一緒に唄った。


でも、マイクを差し向けられるなんて。

それをうまく誤魔化してくれたのが、テレーザだ。


「よかったね」

リーズルの視線に気付いたテレーザが言う。


ー彼女はわかっていたのだろうかー


「あの、あなたは」

リーズルがそこまで言うと、


「お互い、苦労するよね」

そう言って笑うテレーザ。


あの時のリーズルの様子で察したテレーザ。

音楽の才をもたないリーズルと、美しさの足りない自分、

なんだか似ている、そう思った。


ー秘境のさらに奥の国、(やまと)


瑛子が誰もいない台所の食卓で一人モニター越しにネットニュースを見ていた。

はるか遠い、地の国で行われた「姫君格付けランキング」ステージパフォーマンス。

その様子がリアルタイムでライブ中継されていたのだ。


「あらまあ、これは」

と瑛子。

最後に登場したテレーザの姿に驚きの声を上げる。


「戦略なの、それとも」

判断の付かない様子だ。


他の姫たちとは段違いの地味な衣装。

それが際立つほどの、容姿と存在感があるわけではない。

しかし、テレーザからは他の姫たちとは一線を画す「特別なオーラ」を感じる。


「特別な姫ね、数奇な運命が待っているわ」

と瑛子。

テレーザの今後に思うことがあった。


「ねえ、お母さん」

そこに声をかけてきたのは瑛子の娘、あおいだ。


「これ、よろしく」

そう言って台所の流し台に頬りだしたのは、3個の小さな手提げ袋。

中に入っているのは、弁当箱だ。


「ねえ、帰ってきたらすぐに出して言ってるでしょ」

瑛子が怒り口調で言うが、葵は全く気にする様子がない。


「だって、忘れちゃったんだもん」

と。


その弁当を出し、流しにいれる瑛子。

食べ終わってそのままの弁当箱。いったいいつから放置されていたのだろう。

毎日、弁当箱を出す事さえさ出来ない娘。

3つため込んだところで、持ってきたのはまだ良い方だ。


「部屋、片付けなさいよ」

と瑛子。


葵の自室は、なんだこれは、と思われるほど汚い。

床には物が散乱し、洋服は脱いだまま、そして食べ物のカスが至る所に落ちている。

部屋全体がまるでゴミ箱だ。


女の子らしく夢のお部屋に、と家具やカーテン、壁紙にもこだわったのだが、

今となってはまったく見る影もない。


「お母さんがやってよ」

と葵が言う。


葵はそれまで瑛子が見ていた、WEB画面を見つめている。

「姫君格付けランキング」の特集ページだ。


「お母さん、またこんなの見てたの?」

と葵が笑いながら言う。


この辺境の地、「王族フェスタ」もほとんど話題にも上らない。

「姫君格付けランキング」なんぞ、遠い遠い、別世界の出来事だ。


「この姫様たちって、あなたと同年代よね。みんな美しくてしっかりしてるわ」

と瑛子。


「私はどっかのお姫様じゃありませんからねー」

と葵が不機嫌そうに言う。


「おい、うるさいぞ、何を騒いでいるんだ」

そのとき、ドタドタと足音をたててやった来たのは瑛子の夫、孝太郎だ。


「そんなWEB画面、いつまでも付けていたら電気代が勿体ないじゃないか」

と孝太郎。

電源の入った画面、それにかかっているわずかな代金を無駄だと言う。


「おい、お前、明日の準備は済ませてあるのか」

と続ける孝太郎。


「はいはい、大丈夫ですよ」

と瑛子。


「うるさいのはアンタだよ」

葵は小さく呟き、孝太郎の横をすり抜けるようにその場から去ろうとした。


「何か言ったか?」

と孝太郎が言うが、葵は無言だ。


「なんだ、あの態度は。お前のしつけがなってないから」

葵の背を睨みつけながら孝太郎が瑛子を責めるように言う。

その言葉を、遠くで聞きながら葵は自分の部屋に駆け戻った。


「なんでいつもあんなんだろう」

と葵が思う。

父、孝太郎は常にあのように高圧的だ、特に母の瑛子に対して。


葵は自室に戻る時、少しだけ扉が開いている部屋の前を通る。

兄の部屋だ。

部屋の中の兄、たけるは薄暗い部屋で怪しく光るモニターの前に座っている。

いつからだろう、尊がこの部屋に籠り始めたのは。

一日中、部屋の中でこのモニターを見つめているのだ。


兄の部屋の向かい側、もう一つの部屋がある。

その中からは、ドスン、ドスンとに鈍い音がしている。

しかし、葵は気に留める様子もない。


その部屋のドアが、ドシンと言う大きな音とともにすこし揺れた、その時だけは。


「ねえ、うるさいわよ、いい加減にしてよ」

とドア越しに叫んだ。


葵の弟、かけるいつもイライラして、不機嫌、不愛想。

かつてはかわいらしい男の子だったのに。

何か言うと、すぐにキレて壁を殴ったり蹴ったり、もう手に負えない。


その部屋の奥に葵の自室がある。

そっと部屋に戻ると、そこは床も見えないほどの散乱した汚部屋。

床に散乱した洋服を踏んずけながら、ベッドに横になった。


「あーめんどくさい」

そう言いながら。


一方、台所の瑛子。

明日のための準備を再確認して、自分も部屋に引き上げた。

台所はリビングと一体となっており、ソファに大きなテレビがある。


誰もいないリビング。

かつてはこのリビングに家族が集まり、たわいもないお喋りをした。

子供たちは、

「ねえ、ねえお母さん、話聞いてよ」

とうるさいくらいで、夫の孝太郎も笑顔だった。


いつからこうなったんだろう。


「おい、まだそこにいるのか、そんなひまがあるんだったら、道場の掃除でもしておけ」

と孝太郎の声がした。

瑛子の家に隣接している、「倭剣術」の道場だ。


「はい、わかりましたよ」

そう言い、リビングを離れる瑛子。


この時間から道場の掃除などできるわけがない、道場には照明器具がないのだ。

それを承知で言う、孝太郎の理不尽な言葉、聞き流すのが一番だ。


瑛子は自分の部屋に戻った。

孝太郎とは寝室が別だ。

瑛子の願いでやっとかなったのだ。


「あのお姫様、何位になるのかしらね」

WEBニュースで見たテレーザの姿が頭から離れない瑛子。

瑛子はテレーザに何か惹かれるものを感じていた。

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