帰国
イベント、終了です。
「姫君格付けランキング」の一大イベント、ステージパフォーマンスが終わった。
姫たちは翌日にはそれぞれに帰国の途につく。
ランキングが発表されるのは、「王族フェスタ」の最終日だ。
それまでの数日、WEBニュースでも、ちまたの噂話でも順位予想で盛り上がる。
「今年はダントツな姫はいなかったわね」
「衣装も似たり寄ったりで」
「一人だけすっごいシンプルな子がいたわよね」
「その割に、目立ってなかったけどね」
「今年はみんなで仲良しって感じだったわね、最後の歌の代大合唱とか」
そんな話があちらこちらで聞かれた。
WEBニュースでも、予想はしづらいらしく、いろいろなランキング予想が乱立状態だ。
「ただいま、戻りました」
美の国の王宮、クリスタルパレスの王の部屋で、帰国のあいさつをするテレーザ。
そこには、国王、王妃、3人の姉、弟が揃っていた。
「よい記念となったな、これからはホイ王子との婚儀の準備に専念するように」
と王。
そのまま、国王一家そろっての夕食となった。
王室専用の記者が数名、その様子を写真に撮ったり、メモしたりしている。
明日の「王室新聞」に載せるのだろう。
和やかな食卓、
「なかなか素敵でしたよテレーザ。あの衣装はシンプルだけれど仕立てが良いわ」
と王妃が笑顔で言う。
あの衣装、紛失ハプニングのことは公にはしていない。
しかし、王妃はチュールが付いたことさえ知らないようだ。
「歩き方はきれいだったわね」
と第1王女のフィオナ・クリスティーネ。
しばらくすると、記者たちが退席した。
すると王妃の顔からは笑顔が消え、もくもくと食事をすませた。
「では、わたくしはここで」
そういうと、他の皆を残して退席した。
「おやすみなさーい、おかあさま」
とジャン・ルドルフ王子。
王子にだけは笑顔を向け、王妃は部屋から出て行った。
しばらくすると、今度は国王が、
「では、姫たちで歓談を楽しむように」
そう言い、自身も席を立った。
食事の席に飽きてきたらしいジャン・ルドルフを連れて。
残された、テレーザと3人の姉。
「まあ、1位っことはなさそうね」
と第3王女、ユリアナ・マーガレット。
ユリアナは自身が出場したときには、4位だった。
テレーザなら、まんなかくらいなら上出来。そう思っていた。
「5大王国の姫はみんな、パッとしなかったわね」
第2王女カタリナ・オルセウスが言う。
「あら、見てたの?」
とフィオナ。
カタリナは、あからさまに興味がなと言い放っていたのだ。
「彩の国の、サラ・マリア王女が今年まだ該当年齢になってなくてよかったわね。
一緒に出場だなんて、どちらが上位でも問題だったわ」
とカタリナ。
彩の国の王女、サラ・マリア。
ホイ王子のすぐ下の妹だ。
その後は、自分が「姫君格付けランキング」に出場したときの逸話をかたる姉たち。
テレーザはそれをただ聞いているだけだ。
食事も終盤にさしかかると、
「たまにはこうやって姉妹でお食事するのもいいわね。テレーザはあと少しで嫁いでしまう。
姉妹水入らずでいられるのも今のうちだし」
とユリアナ・マーガレットが言う。
「それもそうね、こういう時間を作ってもらいましょう。さっそくお父様に進言しておくわ」
フィオナも同調するように言った。
この姉妹、フィオナは次期女王、そしてその両腕として女王を支える立場となるのが、
カタリナとユリアナだ。
そのためか、3人の姫たちで同席する機会は今までに幾度もあった。
しかし、テレーザいつも蚊帳の外だった。
「姫たちによる」とあると、それは姉3人の事をさしていた。
美の国、姫たちにより国外視察、これもテレーザは含まれてはいない。
テレーザは姉たちも自分を同じ姉妹だとは思っていないのだろう、そう考えていた。
自分は「ついでの姫」だから。
それが、今日ははっきりと「姉妹」と言われた。
少しむず痒い気分だか、素直に嬉しい気持ちが勝るテレーザ。
「あの、ありがとう」
とポツリとつぶやくテレーザ。
4人の姫たちだけで囲んだこの日の食卓。
実際にはテレーザはほぼ何も話さなかったのだが、その場にいられただけでもなんだか心地よい。
「もうすぐ嫁いでしまうのね」
とフィオナ。
フィオナとユリアナの目が寂しそうだ。
それに比べ、カラリナの目の奥に冷たい光がある。
以前から感じていたが、カタリナは他の2人の姉よりもテレーザに冷たい。
冷たいというよりも憎悪の気持ちがある。
もちろん、決して悟られないように、心の奥底にしまい込まれてはいるが、テレーザにはそれを感じることができた。
数日後、王族フェスタの最終日。
健の国では、日暮れからフィナーレの式典が華々しく行われる。
それより前、「姫君格付けランキング」に参加した王女たちの王室あてに一通の通知が届いていた。
「姫君格付けランキング」最終結果だ。
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