「姫君格付けランキング」
テレーザのアピール方法?
「姫君格付けランキング」に美の国からは、第4王女、テレーザが出場する。
この情報が王宮内で解禁された。
瞬く間に宮廷内にひろまり、その話題で持ちきりだ。
とはいえ、貴族や役人たちは表向きには好意的な事しか言わない。
「美の国の王女だ、上位にランキングされること間違いなし」
口をそろえて、貴族たちは言う。
しかし、身内となるとそうはいかない。
まずは3人の姉たち。
「まあ、テレーザが?いい経験になるでしょうよ。思い出作りにはちょうどいいわ」
と第一王女、フィオナ・クリスティーネ。
「出ても無駄よ」
と第二王女、カタリナ・オルセウス。
「まあ、ステージで着るようなドレスは持っているのかしら?」
と第3王女、ユリアナ・マーガレット。
「テレーザ姉さまがコンテストにでるの?ほんとに?姉さまより僕が出たいよ。王子さまランキングってないの?」
と第一王子、ジャン・ルドルフ。
母、エリアルド王妃に至っては、
「美の国の名に泥を塗ることは許しません」
とキッパリと。
父、ジャン・グレゴリー国王は、
「まあ、よきにはからえ」
と上の空で言うだけだった。
「姫君格付けランキング」
年に一度、行われる王族フェスタで開催されるコンテスト。
5大王国の姫君は無条件で参加できる。
15の控えの国々とその他の国々の代表者たちには予選があり、
上位20名の姫君が参加の権利を取得するのだ。
5大王国の姫も、その他の国々の姫たちも、各国一名のみの参加だ。
総勢25名の姫たちは、国の威信を背負って参加する。
ランキングは日ごろの王女たちの活動と、当日、王族フェスタ会場で行われる
ステージパフォーマンスにより決定される。
王族フェスタの実行委員たちが、話し合いでランキングを決定するが、
ファンタジーワールドに住むすべての人民たちの意見も参考にされる。
自分が一番だと思う姫に投票することができるのだ。
テレーザの第一侍女、レイアは頭を抱えていた。
「テレーザ王女が姫君格付けランキングに参加するだなんて」
無謀もいいところだ。
直近のテレーザの活動内容を見ても、どれひとつ際立ったものがない。
ポートレイトの売り上げは低迷しており、諸外国への表敬訪問もない。
国内ですら、ほとんどどこにも行っていない。
「これでは、点数は稼げない」
とレイア。
テレーザの容姿、日頃の立ち振る舞いからしても、ステージパフォーマンスで抜群の印象を残せるとも思えない。
美の国の王女、であること以外にテレーザには何一つ、「取柄」がないのだ。
悶々とするレイアを見ているエマ。
エマにも同様に不安だった。
「王女は表に出るようなことはお好きではないのに」
とエマ。
それはレイアも分かっている。
テレーザのようなタイプには不利なイベントだ。
「何とかして、テレーザ王女のイメージアップをしないと」
とレイアとエマは思案する。
しかし、「いい案」も思い浮かばないまま、日々が過ぎていた。
テレーザは毎日の花嫁修業、そしてエマは宮廷魔法使い養成機関での修行と毎日忙しい。
そんなある日、テレーザに伴い居間にいたエマ。
そこに置いてあった白い紙、そこにソファに座るテレーザの姿を描いていた。
鉛筆書きのシンプルな絵だが、とても美しくなによりとてつもなく上手い。
その絵を見たレイアが、
「まあ、この絵。宮廷画家も驚くわ」
と感嘆の声を上げた。
「そうですか?私、絵を描くのが好きで、故郷でもよくデッサンをしていたんです。
ここに来て、何かと忙しくてここしばらくは描いていなかったんですけどね」
とエマ。
「ねえ、テレーザ王女のポスターを作るってどうかしら?
ポートレイトよりも柔らかい感じで、淡い色合いで。
それを、公報のWEBページに載せましょう」
とレイアが言う。
エマは空き時間を使って、テレーザ王女を描いた。
自然な感じで、優しい色合いの美しいポスターが出来上がった。
しかも数種類。
それらは、美の国国内はもちろん、諸外国にも配られた。
そして、美の国公報WEBにも掲載され、ファンタジーワールドの誰もが見ることができる。
ー秘境のさらに奥の国、倭やまとー
「まあ、今年の姫君格付けランキングに参加するお姫様たちね。
まずは5大王国の王女さまがた」
そう言いながら、王族フェスタの特設WEB画面を眺めているのは、
「クソババ」と呼ばれていた、あの女性だ。
男と、若い女、若い二人の男、の世話に追われている、
その家の主婦、瑛子だ。
「このお方は」
そう言いながら目に止めたのは、美の国、第4王女テレーザだった。
「秘めたる力をお持ちなのね」
と瑛子。
その時、
「おい、出かけるぞ、水筒はどうした」
と不満げな声がした。
夫の出勤時間なのだ。
瑛子はWEB画面を閉じ、水筒をつかむと慌てて玄関へと向かった。
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