エマの奮闘
エマが特技をいかして。
「王族フェスタ」
年に一度の、各国王族と一般庶民との触れ合いの場、
今年は5大王国のひとつ、「地の国」がメイン会場となる。
「姫君格付けランキング」で行われるステージパフォーマンスも地の国で行われる。
その時はテレーザも現地へ赴くことになる。
ステージパフォーマンスというのは、要は本選に出場する王女たち25名のよる
ファッションショーだ。
みな華やかなドレス姿で、ステージを歩く。
そのドレスは各国のトップデザイナーがその日のために、出場する王女のために特別にデザインしたものだ。
どの国も自国の威信をかけて、極上の一着を準備する。
エマは得意の絵で、テレーザのドレス姿を何枚も描き上げた。
それを見たレイアが眼を細める。
「どれも王女にお似合いだわ。このうちのどれかを、王宮の衣装係にあつらえてもらいましょう。
パファーマンス用のドレスが必要だし」
と。
自分が描いた絵でいいのか、
エマはそう思った。
「今まではどうされていたんですか?王女の姉姫たちは」
とエマ。
今まで3人の姉たちも出場経験があるからだ。
「お姉さまがたは、美の国の一番人気のデザイナー、マダム・ハルが担当なさいましたよ」
とレイアが言う。
マダム・ハル、美の国のみならず、世界的に人気のデザイナーだ。
そのブランド、ハルーナは世界中の若い女性から支持されている。
エマもその名前だけは聞いたことがあった。
故郷の村で、都心に出稼ぎに出たていた近隣の娘さんが帰省の際、
お土産に、ハルーナのバンドタオルを買ってきてくれた。
このあたりでは見たこともないような、洗練されたデザイン、
都会の匂いがした。
そして、その娘さんは奮発して買ったというハルーナのワンピースを着ていた。
まるで別世界の人のようだった。
「マダム・ハルは今回はデザインなさらないのですか?」
とエマが聞くと、
「こちらも依頼はしたんだけどね、ご自分のショーの準備で忙しいんですって」
とレイア。
王女のお支度よりも自分のショーが大事。
姉たちだったら、許されない理由だろう。
しかし、今回は。
「出場するのは、テレーザ王女だから」
宮廷内のあちこちでささやかれている言葉だ。
「王女だって魅力的です」
とエマが憤懣としながら言う。
この頃、エマは「姫君格付けランキング」に出場するテレーザのために、
毎日奮闘していた。
絵を描き、それをWEBで公開する。
せめて自分で出来る王女のアピールだ。
王女の日常の一コマを描き、そして王室WEBで投稿する。
そしてそれは、だんだんと世界から注目されるようになった。
アクセス数が伸びている。
「素朴ですが、芯の通った美しい姫ですね」
とか、
「質素な感じがいい、気品がある」
とか
「派手なお姉さま方にくらべると控えめだが、それがかえって美しい」
など、コメントにおおむね好評化だ。
「王女、少しじっとなさっていてください」
こうエマに言われて慌てて静止するテレーザ。
王宮の中庭にある植え込みの植物を手入れるす、と言うところを描いているエマのために。
「エマもマメだね、こんなことやって」
とテレーザが言う。
「そりゃあ、アピール大事ですもの」
とエマ。
「姫君格付けランキング」に張り切って参加する、と父の宣言したテレーザだったが、
自分からは何もしようとしていない。
エマが描いた絵をWEBで覗きながら、
「エマは絵が上手いね」
とまるで他人事。
「さ、このあとは、ドレスの仮縫いですよ」
とエマに言われるテレーザ。
エマが描いた何枚かのドレスの中から選ばれたのは、
シンプルなA,ラインのドレスに、細やかな刺繍が施されたチュールを重ねる。
キナリのドレスに、淡い紫のチュールが重なることで、
優しい色合いの品のあるドレスになる。
「きれいね、これでいいよ」
テレーザはドレスの候補数枚の絵をみたが、このドレスに即決した。
レイアも賛成だった。
王宮の国王一家専属の衣装係の部屋でにテレーザがいた。
ドレスの仮縫いだ。
エマとレイアも同席していた。
仮縫いを担当する王宮の衣装担当フォーリ。
まだ若く、ついこの前までベテラン衣装係の助手だった。
今回、初めて一人での仕事だ。
「王女、こちあのお色がお似合いだとおもいますが」
と薄い紫のチュール生地がテレーザの肩にあてるフォーリ。
そのきれいな布地をみてテレーザもほほ笑む。
その時、そこに来客があった。
エリアルド王妃と第二王女、カタリナ・オルセウス王女だ。
名目上は、嫁ぐ日が決まった娘と少しでも時間と共に過ごすため。
しかし本音は、
「娘のために母らしいことをしている」
自分に酔うためだ。
「まあ、きれいなお品だこと。お仕立てよろしくお願いするわ」
と衣装係、フォーリに優しく言う王妃。
フォーリは感激して、涙ぐみながら頷いた。
カタリナ王女もドレスを見ながら、
「まあ、似合うんじゃないの」
と無気力だけれども少しだけ、好意的に言った。
王妃が退出する際、後ろに従っていたカタリナ王女の冷たい視線、
それに気付いたのは、フォーリだけだった。
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