Task4 聖女と戦え
パンティ・スーは、パンティに固執する変態である。
聖女は、パンティから脱却した変態である。
ここに、二人の変態がそろってしまった。
出会ってしまった。
パンティ・スーは、聖女に向き直る。
聖女も、パンティ・スーに向き直る。
本来ならば、パンティを履いていない者など、パンティ・スーに取っては眼中になさそうなものであるが、パンティ・スーは、ウロボロスの指輪から1枚の布切れを取り出した。純白の未使用の新品パンティだ。
聖女は、その様子を不思議そうに眺める。
「愛とは求めるだけにあらず。与えることもまた、愛なり」
それがパンティ・スーの矜持であり狂気でもある。
「何をするというのです」
「貴方にパンティを履かせる」
パンティ・スーは、パンティを奪うだけでなく履かせることを宣言した。
これは、つまり、本気と言うことである。
しかし、パンティを奪う事よりも、履かせる方が何倍も難易度が高い。
奪うときは、幽体化させて引っ張るだけで良いが、履かせるには丁度履かせる状態にし、幽体化を解除しなければ、フィットしないのだ。
「やってみなさい。私の自由を邪魔させはしない。再び監獄には捕らわれませんわ」
聖女が、さらに光の粒子を次々とパンティ・スーにぶつけていく。
STR低下。
VIT低下。
DEX低下。
AGI低下。
INT低下。
LUK低下。
状態異常抵抗値低下。
複数種類のパラメータ低下を掛けられた。パンティ・スーは体が重くなってきているのを感じ取っていた。だが、一つだけ良いことも起きている。スキル封印が解けたのだ。
そして、ゲームの仕様上、次のスキル封印の魔法を唱えられるのは3分程度の待機時間がある。聖女がわざわざ、パラメーター低下を掛けてきたのも、その待機時間をしのぎきるためだ。
パンティ・スーが、両手でパンティを広げた。
「ゆくぞ」
そこから両者の攻防戦が始まった。
聖女は、一見すると魔法使いタイプであるのだが、パラメーター強化の魔法を使ってからパンティ・スーに肉弾戦を仕掛けてくる。その合間に魔法による攻撃を加えてくるなど、変化自在の戦術を仕掛けてくる。
パンティ・スーは、幽体化を使いながら攻撃を捌いていくが、時には生身で受け止めて、パンティを履かせに挑む、だが、大抵は、宙に突然現れる魔方陣からの攻撃魔法に遮られ、回避のために履かせることが出来ないでいた。
目にもとまらず、複雑で高速の一対一の戦いに、周囲のプレイヤーはやがて無言のまま見入っている。
聖女の蹴りが、放たれた瞬間、見えそうで見えない……ではなく、パンティ・スーの体をすり抜けてしまう。だが、パンティ・スーの攻撃もまた、透明な壁に阻まれてしまう。お互いの体に決定打が入らないままもうすぐ3分。
二人が空中で交差し、着地する。パンティ・スーが倒れ込み、さらにスキル封印の魔法が掛けられた。
聖女は、杖をついているが、意識もしっかりしたまま荒く呼吸している。
勝負が決した。
「くっ」
聖女が、股間を押さえ込む。
履かされた。
履かされていた。
「パンティ・スーでしたね……」
聖女が、再びパンティ・スーに向き直る。
「見事です」
「私は全力を尽くしただけだ。あとは結果がついてくるかどうか、それだけだ」
パンティ・スーの狙いは、一点だけである。すなわち、再びスキル封印の魔法を使ってくる瞬間、その瞬間だけを狙っていた。
そのタイミングだけが、唯一パンティを履かせる隙が生まれるタイミングだった。最も、早すぎれば攻撃魔法をくらい、遅すぎればスキルを封印されるのだから、シビアではあったが。
「運命が、こんなにも重いだなんて」
「いいか、それが運命の重さだ」
周り、二人の会話を理解できる者は居なかった。
だが、次の瞬間には、二人の姿は同時に消えていた。
それ以降、二人の姿をゲーム内で見た者はいなかったとされる。
しかし。
「おうふwwwwwwww初心者狩りとかwwwwwww格好悪いでござるwwwww」
「許さないですぞ」
ある二人のプレイヤーを筆頭に、初心者救済プレイヤーが現れ、聖女の行動と意志を受けついで、初心者に優しいVRMMOとして語り継がれていった。




