Task3 哀れな犠牲者達にお悔やみを
剣で攻撃すれば、避けられて顔面に正拳を叩き込む。
槍で突けば、槍の柄を握りそのまま投げ飛ばされる。
斧で叩きつぶそうとすれば、ローキックで足を砕かれる。
魔法を唱えようとすれば、口元を押さえつけられたまま大外刈りを掛けられる。
弓矢で射ろうとすれば、密着され、寸勁によって気を失うほどの衝撃を撃ち込まれる。
拳で殴ろうとすれば、鯖折りをかけられたまま肉盾にされてしまう。
背後から襲いかかれば、肘鉄と裏拳で反撃をされる。
棍棒で殴りかかれば、いつの間にか組み付かれバックドロップをかけられる。
周囲から一斉に襲いかかれば、大きく飛び上がって避けられ、再び壁を走って行く。
それを追いかけていけば、狭い路地に誘導され、数人ずつ各個撃破されていく。
パンティ・スーの体術は、無駄に充実していた。
さらに、女性プレイヤー(中身も女性)はパンティを奪われていく。
シマパン、ローレグ、ストリングショーツ、ボーイレッグショーツ、ビキニ、ガールズブリーフ、女性用ふんどし、イタリアンショーツ、ひもパン、Gストリング、等々。
大収穫である。
「せいや! 」
パンティ・スーがシールドアタックを掛けてきた相手に、真正面から正拳で殴りつけて吹き飛ばす。
その頃になると、安易に近づく者は居なかった。男性プレイヤーの屍と、恥ずかしがる女性プレイヤー達の姿があるだけだった。不思議と女性プレイヤーは物理的ダメージはほぼゼロである。
パンティ・スーは紳士である。最低の紳士である。
「距離をとれ! 遠距離攻撃で仕留めるぞ! 」
もはや、この頃になると、パンティ・スーを倒した際の商品のことをほとんどのプレイヤーが忘れていた。ただ、目の前の災害を破壊することしか考えていない。
残ったプレイヤーと増援としてやってきたプレイヤーが、弓、パチンコ、ストリング、マスケット、各種魔法等で遠距離攻撃を始めだした。
「構え! 撃て! 」
幾つかのギルドは、一斉射撃して、逃げる隙さえもなくす。
パンティ・スーに飛んでいき、魔法の効果で大爆発を引き起こす。
「やったか!? 」
「それは言っちゃだめ! 」
「フラグ立てるな! 」
「やったか→やってない」
「おうどん食べたい」
土煙の中から現れたのは、右手を自身の胸に当てたポーズのパンティ・スーであった。彼の持つ触れた者を幽体化し自在につかめるスキルによって、自身を幽体化して物理攻撃を無効化したのだった。
もとより、このスキルは、パンティを奪う際にも使っている。幽体化した手で物質のパンティに触れ、パンティを幽体化させて、あとは引き抜く。これが、瞬時にしてパンティを奪う仕掛けである。
「チートだろ! 」
「もう無理ポ」
「逃げよう! 」
「……」
「うわーん無理」
「この先生きのこれない」
パンティ・スーを中心に数十メートルほど誰もいない空間となり、プレイヤー達が遠巻きに眺め始めた。
そのときである、群衆の中から一人の女性が出てきた。
太ももまで届くほどの長いストレートの金髪、意志の強そうな緑色の瞳、我が儘バディ、まっ白なミニスカート、まっ白なビキニブラ、真っ白な靴に、真っ白な手袋、金属製の杖を持っている。随分とセクシーで露出が激しい。一歩間違えれば痴女扱いされていても不思議はないような女性だ。
「破廉恥な傍若無人ぶり、許せませんね」
そう独り言のように女性は言った。
パンティ・スーは値踏みするように女性を眺める。
「聖女様だ! 」
「やった、聖女様だ! 」
「これで勝つる」
「やっちゃって、聖女様! 」
「すげー、初めて見た! 」
「いつの間にいたんだろ? 」
歓声が沸き起こる。そう、この白衣の女性こそ、通称聖女と呼ばれる女性であった。
「貴様だな。先ほどからうどんを食いたがっていた輩は……変装スキルというものがあるらしいが、変装していたようだな」
「お気づきでしたか。あれでも、行動を見させていただきました。他の方々が無理であれば、私が出ようと決めていました」
「なるほど。観察していたわけか」
「では、まず、これを」
聖女が杖を振るった。光の粒子がパンティ・スーを包み込む。
(物理魔法ではないようだが……)
そこから聖女の前の前に、様々な魔方陣が数十個浮かび上がる。
「消滅させていただきますわ」
「ッ!? 」
魔方陣から炎や氷の槍、電撃、光の粒子が次から次へと飛んでいく。
どれも上位クラスでなければ使えない魔法である。
パンティ・スーは今度は避けた。
必死で紙一重で一撃一撃を避けて、聖女に向かってくる。
パンティ・スーは直ぐさまに気がついていた。最初に使ってきた魔法が、スキル封じの効果をもつものだと。故に幽体化のスキルは使えず、無効化できない。
コートは、炎で焦げ、氷の刃で切り裂かれ、電撃でズタボロにされていく。
それでも、パンティ・スーは立ち向かっていく。
そして、最後に駆け抜けていき、聖女の横を通り過ぎた。
その手に、パンティは……握られていなかった。
「貴様……履いてないな! 」
「御名答でございますわ」
聖女は平然と答える。
「なぜ、聖女とも言われている者が履いてない! 」
「これが世界の意志だと信じていますわ。パンティを履くのも履かないのも自由なのです。故に、そう、パンティを履かないことで、私は解放されるのです。宿命と運命と世界からの解法こそ、真の自由。見えそうで見えないギリギリを綱渡りするスリルの虜、我履かず故に我有り」
聖女も変態だった。




