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家事代行のアルバイトを始めたら学園一の美少女の家族に気に入られちゃいました。【書籍化&コミカライズ】  作者: 塩本


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第二百十一話 専属カメラマン?

 眩しい太陽が照りつけるグラウンド。

 夏の暑さにしがみつくように、蝉の鳴き声が校庭に響き渡っている。


「我々は正々堂々と、最後まで戦い抜くことを誓います」


 グラウンドに整列した全校生徒。その前に設置された踏み台の上で、選手宣誓が行われて体育祭が始まった。


「最初は女子は走り幅跳びで、男子は高跳びです! 出場者はこっちに来て! あとは待機テントに移動してください!」


 それぞれのクラスの体育委員が、声を張り上げて生徒達を誘導している。

 晴翔と友哉はそんな活気ある騒々しさの中、ゆっくりと待機テントへと向かう。


「いたって平凡な選手宣誓だったな」


 のんびりと言う友哉に、晴翔は呆れた表情で言い返す。


「別に平凡で良いだろ」


「いや、やっぱり体育祭の初っ端なんだから、もっと派手なやつがいい」


「派手な選手宣誓って何だよ」


「たまにあるだろ? SNSで話題になるようなやつ」


「そんなのあったか?」


 他愛もない会話をしながら歩く二人に、綾香と咲も合流してきた。


「始まっちゃったね体育祭。緊張するね」


 自然な動作で晴翔の隣にぴたっと身体を寄せる綾香は、男女混合リレーに対する緊張からか、硬い口調で言う。

 彼女の気持ちを少しでも和らげようと、晴翔は柔らかく微笑みながら口を開く。


「たくさん練習してきたし、きっと大丈夫だよ」


「うん。そうだよね」


 健気に頷く綾香。その瞳には強い決意のようなものが滲んでいるように感じられた。

 そんな気合の入っている綾香とは対照的に、友哉は晴れ渡った空を見上げながら言う。


「混合リレーは一番最後の競技だし、まだまだ時間はたっぷりあるぜ」


 いつもと変わらない緩い感じで「それまではクラスを応援してようぜ」と言う友哉。

 そんな彼を横目に見ながら咲が口を開く。


「緊張しすぎるのは確かに良くないけど、リラックスのし過ぎもよくないわよ」


「確かに。ご褒美を勝ち取るためにも、我々は勝利しなければいけない!」


「ご褒美じゃない!」


 急に姿勢を正してビシッとガッツポーズを作る友哉の背中を咲がペシペシと叩く。

 

「冗談冗談! でもさ、マジで表彰台狙って頑張ろうぜ」


 柄にもなく真面目な顔をした友哉は晴翔を見ながら言う。

 それに応えるように晴翔も一度だけ大きく頷いた。


「だな。出場するからには一位を狙おうか」


「そうね。たくさん練習したし。ね、綾香」


「うん!」


 それぞれの決意を共有した晴翔達は待機テントまで来る。

 すると、佐藤が駆け寄ってきた。


「大槻! 今日はこれでバッチリ写真を撮らせてもらうよ!」


 そう言う彼は、両手で抱えた一眼レフカメラを抱えて気合いに満ちた表情を浮かべる。


「凄いなそれ。佐藤のなのか?」


「父さんの趣味が写真なんだ。それで借りてきた!」


 佐藤は背負っていた鞄から大きなレンズも取り出す。


「これを使えばどんな瞬間も見逃さない! 近くにいても遠くにいてもバッチリ写真に撮れる!」


「すご! なんだよこれバズーカかよ」


 佐藤が取り出したレンズを見て、友哉がテンションを上げる。

 

「これは望遠レンズだ。大槻や東條さんがどんなに遠くにいても鮮明に撮れる!」


「へぇ、ちょっと見せてもらってもいい?」


 興味津々といった様子の友哉に佐藤が「いいよ」と望遠レンズを手渡す。


「一応高価なものだから取り扱いには注意してくれ」


「そうなのか。ちなみにこれはおいくら?」


「父さんから聞いた金額は二十五万円だ」


「っ!? お、お返しいたします」


 想像以上の金額の高さに、友哉は若干震える手で佐藤に望遠レンズを返した。

 そのやり取りを眺めつつ、晴翔は佐藤の鞄の中に入っている他のレンズにも興味を示す。


「なぁ佐藤。こっちの少しコンパクトなレンズは?」


「それは単焦点レンズだよ。背景とかをぼかせるんだ」


「あぁ、スマホのカメラ機能でそんなのがあったな」


「それよりもずっと綺麗に撮れるよ。そうだ! 東條さん、ちょっとそこに立ってくれる?」


「え? ここ?」


 急に話を振られた綾香は、少し戸惑いながらも指示された通りの場所に立つ。

 その間に佐藤はレンズを取り付けたカメラを覗き込み、細かく立ち位置を修正する。


「よし、じゃあ東條さん笑って」


「こ、こうかな?」


 少しぎこちなく口角を挙げる綾香。

 佐藤はカメラを覗き込んだまま「うんうん、凄く良いよ」と言いながら何回かシャッターを切る。


「凄く良い笑顔だよ。そう言えばこの前、大槻も東條さんの笑顔が世界一可愛いって俺達に自慢して来てたよ」


「おい!」


 唐突に嘘を言い出す佐藤に晴翔が抗議の声を上げる。

 しかし、綾香は佐藤の言葉をバッチリと耳に入れる。


「せ、世界一って。ふふふ、晴翔は大袈裟だよ」


 ほんのりと頬を染め、恥ずかしそうにしながらも嬉しさを堪え切れずに微笑みを漏らす綾香。

 その瞬間、パシャパシャッと佐藤が連続でシャッターを切った。


「よし! 良いのが撮れた!」


 満足気にカメラから顔を離した佐藤は、「これを見てくれ」とカメラ背面の液晶画面を晴翔に見せる。


「これが単焦点レンズのぼかしだよ」


「これは……凄いな」


 想像以上のクオリティに晴翔は思わず息を呑む。

 彼の肩越しに覗き込んできた友哉も感嘆の声を挙げた。


「うおぉ! 綾香がモデルみたいだ!」


 背景がぼやけることで、綾香の存在感が幻想的なものになっていて、はにかんだ彼女の表情が何倍も可愛く見える。


「この写真、後で貰えないかな?」


「もちろん! 今日撮った写真は家にあるパソコンで編集して完成させてから大槻と東條さんに送るよ!」


「ありがとう」


 無意識のうちに握手を求める晴翔。

 友哉も「やべぇな一眼レフ」としきりに感心してる。

 その反応に、綾香も「そんなに?」と写真を確認しに来た。


「わぁ! なんか凄い!」


 佐藤に写真を見せてもらった綾香は自分の写真を見て語彙力を失う。

 隣で一緒に観ていた咲も「やるじゃん佐藤君」と絶賛した。


「ありがとう! これで俺は大槻と東條さんの愛のリレーをバッチリと写真に収めてみせるよ!」


 やる気満々にサムズアップする佐藤。

 そんな彼の周りにクラスメイト達が集まってきた。


「なぁなぁ佐藤。それで俺の勇姿も撮ってくんね?」

「俺もカッコいいやつ頼むよ」

「佐藤君、そのカメラって盛れる?」

「私も撮って〜」


 本格的なカメラを手にした佐藤に、クラスメイト達がお願いする。


「わかった! 体育祭の雰囲気や熱気、盛り上がりを写真の中に収めるために、大槻と東條さんを軸にみんなの写真も撮っておくよ!」


「俺らは脇役かい!」


 晴翔と綾香に対するスタンスが揺るがない佐藤に、男子の一人が笑いながらツッコミを入れた。

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― 新着の感想 ―
佐藤くんの強火勢が止まらない!!!!!
以前、フィルムカメラで撮影したのを現像し、それをスキャンしたのをフォトショで 修正していたプロのカメラマンを紹介する番組を見た。
2026/08/19 00:08 通りすがりの酔っ払い
PCで編集って、やっぱりデジタルカメラじゃん。 それなら前のエピソードでのフィルム云々の部分は 修正したほうが
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