要するに六賢人の一人来県
ベーカリーダンジョンから帰った翌日、俺とベニはダンジョンで手に入れた品物を換金するべくギルドセンターへ行くことにした。
すると、なぜか入り口付近に取材陣が集まっている。
よく見てみると、取材されていたのは六賢人の一人、ヒメジであった。
どうやらうちの県についたみたいである。
金と紫の衣装に身を包んだ大人な体型の彼女は、得意げな様子で取材に応じていた。
よく見ると彼女の隣には青髪の少年がいた。
しばらく観察していると、取材陣が撤収した。
するとベニがヒメジのもとへ駆け寄った。
「…あのときはありがとうございました」
ベニがそう言い切る前に
「大きくなったな。少女よ」
と言ってヒメジがベニの頭に手をおいた。
「…覚えていてくださりありがとうございます…」
「まあまあ、死にそうな同胞を助けるのは当たり前のことだから。頭を下げられるほどのことなんて私はしてないよ」
頭を下げるベニに対してヒメジはそう言った。
「ん…?君のお連れさん、こないだニュースで見た子じゃん!まさかこんなところで会えるなんて!」
俺を見るなりテンションマックスになったヒメジは、青髪の少年のリュックサックから望遠鏡みたいな道具を取り出した。
「…あの、それは何ですか」
ベニが恐る恐る青髪の少年に聞くと
「あれは、簡易ステータス解析機です。いつぞやのダンジョンでボスを倒したときに手に入りました」
と答えた。
「ひえー!すごいじゃん君のお連れさんの能力!異空間に創造能力なんて!」
「…いくら恩人とはいえ、これ以上コウ君のの能力を勝手に見ないでください。…私とコウ君以外には知られたくないので…」
「そうですよお師匠様、勝手に人のステータスを見るのはプライバシーに反すると他の六賢人の方々も言っていたじゃないですか…晩御飯抜きにしますよ」
「わかったわかった。今すぐしまうから晩御飯抜きだけは勘弁して~!」
ベニと青髪の少年の忠告を聞いて、ヒメジはようやく解析機をしまった。
「うちの師匠がいろいろとすみませんでした」
青髪の少年が深々と頭を下げる。
「ヒカゲは真面目だなあ」
「師匠がふざけすぎなだけですよ」
どうやら青髪の少年の名前はヒカゲというらしい。
「そういえば、ここの県のダンジョンクリエイターには、黒いウワサがあるって聞いたな」
「黒いウワサ?」
そんなもの初耳である。
「ああ、ここの県のクリエイターはなぜか会社関連の施設をダンジョンに作り替えることが多いんだ。それで、どこかの企業の回し者なんじゃないかって言われているそうだ」
「なるほど…」
それは以前から俺も思っていた。
いままで寄木県にあらわれたダンジョンを調べていると、だいたい何らかの企業の施設がもとになって出来ていたのだ。
そんなことを考えていると、突然警報があたり一面に響き渡った。
スマホを見てみると、『ダンジョン生成』と書いてあった。
「おかしい…ダンジョンは月に一度しか作られないはず…」
ダンジョンが生成されるのは月に一回。
それはダンジョン神が言ったルールであった。
音楽ホールがダンジョンになったのは今月の始めである。
しかし、今はまだ月の途中だ。
明らかに異常だ。
「なるほど…どうやらここのクリエイターは黒いみたいだな。早速ギルドセンターに行ってダンジョンについての最新情報を入手するぞ!」
そう言ってヒメジは俺たちを半ば強制的にギルドセンターへ連れ込んだ。
第三章、開始!
次は明日の22:00過ぎに投稿します!




