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秘技発動

 異空間から出てみると、そこには酸性雨でボロボロになったバラバラアームがいた。

『よ、よくも…こうなったら大技を…』

 そう言って宙に浮かび上がろうとするも途中で力尽きてしまい、地に落ちてしまった。

 

『く、くそ…ならば最後のあがきだ…』

 と言うとバラバラアームは19パーツに分裂し、それぞれが銅像の兵隊になった。

 もちろん、みんな溶けかけである。


『『『統合だっ…!』』』

 銅像の兵隊たちがそう口々に叫ぶと、19体の兵士は一か所に集まり一体の兵士の銅像となった。

 そしてそれは、まったく溶けていなかった。

『酸化の影響を受けていない部分のみを合体させることで生き延びたぞ!反撃だ!』

 そう言いながら銅像は剣を柄から抜いた。

 ドローンに搭載した強酸性の水溶液はもう尽きていた。

  

 

 俺たちがもう一度異空間に逃げようとしたその時。

 

 彼は間合いを一気に詰めてベニに斬りかかろうとした。

 俺はとっさに手甲を突き出してベニを守った。

 

 その隙にドローンが銅像に体当たりをしてくる。

 銅像はそれを厄介がって斬ろうとしたため、隙ができた。


「逃げるぞ」

 そう言って俺は異空間への入り口を広げ、ベニと共に入った。


 ようやく逃げ切れた。

 そう思ったその時であった。


 背中が熱くなった。

 そして、わずかながら痛みを感じた。


『秘技発動・鎧斬り…』

 なんと、銅像が剣を持った片腕だけの状態で異空間に入り、俺を不意打ちしてきたのである。

 幸い、吸血鬼特有の再生能力のおかげでそこまでの痛みを感じずに傷は治ったが、鎧の背面に大きなひび割れと穴ができた。

 

 彼が使ってきた秘技。それは、冒険者カードを取得した状態で、ある程度武器の修練を重ねると使えるようになる技のことである。

 なお、俺は冒険者カードを取得してからあまり剣の経験を重ねてないため、たった一つの技を除いてそういうのは使えないのだ。

 そして、どうやらそれを使うときが来たようである。


「あれをやるか…」

 そう言って俺は秘技を習得したときに脳にインプットされた構えをした。


 全身の血が剣に集中するのを感じる。

 意識が若干もうろうとする。

 しかし、やるしかない。

 

「秘技発動!集血(しゅうけつ)斬り!」

 俺は最初のダンジョンを攻略してから毎日、必ず数時間は異空間にこもってドローン相手に剣術の練習をしていた。

 そして、ある時脳内に突然この技のやり方がアップロードされたのだ。


 この技は、何らかの原理で自らの血を剣に集結させることで、剣の鉄分を増大させて敵を斬る技だとガイドブックには書かれていた。

 なお、この技の使用時には軽い貧血を起こすため、あまり多用はできない。


 銅像の腕は鋭い剣によって一刀両断され、剣を残して消えていった。


 

 片腕をなくした銅像を討つべく、俺たちは再び異空間から出た。

 

『…そうか、我は負けたのだな…』

 俺たちを見た銅像はそう言うと、膝から崩れ落ちて、跡形もなく消え去った。

 彼がいた場所には腕輪が残っていた。

次回の更新は明日の22:00です!

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