表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
16/21

痴漢小僧再び


 一度きちんと話さなければ、とは思っていたけれど。まさか翌日に遭遇するとは思わなかった。


 クレイスくんには、次に出くわすことがあれば私への好意は受け入れられませんというお断りだけはしたい、と伝えてある。 だから、痴漢小僧と会話すること自体は裏切りではないのだけれど。相手はセクハラ野郎だから、二人きりで話すつもりはなかったのだ。


 だというのに、提出物の件がどうとかでシュシュちゃんがクラスのお友達に呼び出されてしまった一瞬の隙に腕を引かれて校舎裏に連れ込まれてしまった。

 クレイスくんもそうだけど、なんで皆私の手や腕を引っ張るかな。そのうち左に比べて右の腕だけ長い、なんてことになってしまう。そんなことになってもならなくても、クレイスくんが責任を取ってくれるから良いんだが。



「意外とエリスと仲良くやってるみたいだね」


 私を壁際に追いやって、当然のように腕で逃げ道を塞ぐ。ドンすりゃ良いってもんじゃない。このドンドン野郎が。某打楽器の達人か。もう一回遊べるドン、じゃないんだってば。


「あの、離してください。こういうの、巷ではなんて言うか知ってます? 痴漢行為ですよ」



 冷静な対処を心掛けて、改めてその好意らしきものへのお断りを入れようとしていたのだけれど、どうしてもこういうことをされるとイライラしてしまう。前世で推していた子たちや現世の想い人のことを考えると、やっぱり私の好みは優しい人で、こういうタイプは苦手な部類に入るようだ。

 痴漢、と呼ばれた痴漢小僧は目を丸くしている。


「あはっ。痴漢かあ。ねえ、きみ。今も可愛いけどさ、昔はもっともっと可愛かったのにね」


「今の私は昔よりもずっと可愛いです。恋を知りましたからね。……以前、婚約のお申込みをしてくれたのに、きちんと自分でお返事をしなかったのはごめんなさい」



 お父様に確認したら、数年前に、この痴漢小僧──、ロイ・ルクゼ侯爵令息が、私に求婚したことがあるというのは事実だった。

 学園入学前に我が家へ婚約のお申し出をしてくれた子たちには、真摯にお返事をしなかったことを申し訳ないと思いつつも、既に婚約者や交際相手が居て幸せに過ごしているかもしれない、今更謝罪をしたところで自己満足になってしまうのではないか、と個人名を調べることはしなかったのだけれど。今回だけは、確認させてもらった。



 もしかしたら、このような迷惑行為に走ってしまった原因は、きちんとお返事をしなかった私にあるのかもしれないと思ったから。








 読んでくださってありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ