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作戦会議


「それで? 小僧の妹さんが困った子だったというわけね」


「そうなんですっ。私……は言われても仕方ない部分は確かにあるけどっ。ルルちゃんにも酷いこと言うしクレイス様に色目使うし二人の間に割り込めると勘違いしてるしっ! ルルちゃんはなんで怒らないのっ?」


「いや、困ったなあとは思ってるけど」


 そもそも、自分のことについてはあんまり怒る必要も感じていない。今更妖怪令嬢と呼ばれたところで、だし。クレイスくんとの関係も、この程度で揺らぐようなものではない。シュシュちゃんが悪く言われたのは気分が悪かったけれど、それはクレイスくんが反論してくれた。


「まあ、泣きべそクレイスの実態を知ったら幻滅するかもしれないし。意外と活動自体は真面目に取り組むかもしれないわ。様子を窺うしかないでしょう」

「泣いてないんだが」


「クレイス様の貞操は私も守りますから! 安心してください」

「…………」



 あ。クレイスくんが諦めた。


 そして、シュシュちゃんの怒りもそろそろ落ち着いたかなという頃、ホールの扉から声が届いた。



「こんちはー。呼んでも返事ないし鍵空いてたから此処まで来ちまったけど、入ってもいいっすか」

「あれ、フォンスの声?」


「あっ! あのね、学外での活動とはいえ生徒複数名が関わっているものだし、一応生徒会に報告したんだよ。そしたら代表してフォンスくんが下見に来るって。ごめんねフォンスくん、入ってきていいよー」


「ちわー」


「フォンスくん。ごきげんよう」

「おおっ……、いや、はい! ユリーシア様にくん付けで呼んでいただけるなんて。いえ、あの、勝手に入ってすんません。大丈夫でしたか?」


 シュシュちゃんのお友達であるフォンスくんは、つい先日までユリーシア様に敵意を向けていたものだが、ライブを観てからはすっかり彼女の魅力に骨抜きらしい。とは言っても、決して気が多いわけではなく、あくまで恋愛対象として好きなのはシュシュちゃん。ユリーシア様への気持ちは憧れといった類のものだろう。私も推しと恋は別というタイプなので、よく分かる。


「呼んでくれてたんでしょ? 気付かなくてごめんね。フォンスくん」

「おー、ルルさん。あ、学内で不適切な行為は慎むようにっていうの、生徒会から注意喚起することになったから。何処まで効果があるかわかんねーし安心してくれとは言えねえけど」

「わ、ありがとう! フォンスくんって良いやつだよねっ」


「あんなことがあったのに、俺が良いやつとかお人好しかよ。まあ、借りは返してくつもりだから、何かあったらまた言えよ。……しかし、なんつーか、趣ある場所だな。ちゃんと手入れして怪我人は出さないようにしろよ」


 興味深そうに辺りをきょろきょろと眺めたフォンスくんの言うように、この建物はやはり少し古い。だからこそ、本格的な活動の前にきちんと整理をするつもりだ。


「ああ。今日はこれで終わりだが、少しずつ整えていくつもりだ」

「早速明日から取り掛かる予定なのよ。此処でライブを開催するのを楽しみにしていてほしいわ」


「絶対来ますっ。ね、フォンス」

「はいっ。勿論! あっ、もしなんか手伝えることがあればいつでも声掛けてほしいです」


「じゃあ、お友達にいっぱい宣伝してほしいなー」



 まずは観客が二人確保出来ただけでも有難いのだが、まだまだ商業ライブの成功には程遠い。

 とにかく、使えるものはなんでも使ってこの劇場でのライブを周知させなければ。

 

 





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