表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~【第一部完結】  作者: 高山路麒
第五章 鬼となりし見えざる者達【幕間1】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

746/779

5-28 Mr.ハロウィンの仮面の下に隠された素顔

 俺っちはオッサンになったとはいえ、曲がりなりにも若い頃はテロリストとして名を馳せた人間だ。罪の無い人々を虐げる極悪非道な連中に思う所がなかったわけではない。


「久しぶりに暴れるか。そいじゃあスーパーまれっちタイムだよぉ~!」


 何より人生の先輩としてたまには圧倒的なチートを見せなければなるまい。


 俺っちは窮地に陥った元連合軍を救うために参戦、空を飛びながら四方八方に攻撃を行う。


「ほいほいほい、弾薬とミサイルとレーザーの詰め合わせのバーゲンセールでございまぁす! お支払いは皆様の命のみとなっておりまぁす!」

『うわああ!?』


 全身を変化させありったけの武装を取り付け、今までの憂さ晴らしも兼ねあらゆる手段を用いて羅鋼兵団を叩きのめしていく。


『美しさの欠片もないフォルムですねぇ』

「だがそれがいい。アシンメトリーに美しさを感じるのは日本の文化さ。大体物が何もなかったテロリスト時代は大体こんな戦い方をしていたじゃないの」


 無線からは繋いでもいないのにハロウィンの声が聞こえた。


 やはりあいつもこの戦闘に参加していた様だ。


 ただ性癖には難があるがハロウィンの実力は旧希典派でも随一であり、スバルを除けば俺っち、御桜春樹に続いて序列は三位くらいだ。むしろいない方が不思議だろう。


『そうですねぇ、ネオユートピア闘争では有り合わせの材料でバリケードや火炎瓶を作って、鉄パイプ爆弾を作って。大変でしたがあれはあれで楽しかったですねぇ』


 別の場所で戦っていたハロウィンは十字架のライフルをぶっ放しあいさつ代わりに機神兵を一撃で大破させた後、悠々と戦場の中心に堂々と現れ羅鋼兵団の大群を迎え撃った。


『Mr.ハロウィンだとッ!?』

『そんな、たった一人で連合軍の一個中隊を皆殺しにしたあいつか!?』

『おや、私の様な取るに足らないテロリストの名前を存じ上げていただき光栄でございます』


 旧希典派でも最強レベルのハロウィンの顔と名前は当然羅鋼兵団も知っていたらしく、最強最悪の敵の出現に絶望し集中砲火を浴びせ何とか迎撃しようとする。


 けれど強靭な肉体を持つハロウィンにとってアサルトライフルの弾は銀玉鉄砲同然だ。


 彼はチャージする事無く最低限の出力で銃を撃ち敵の部隊を半壊させた。


『私はこう見えてクリスチャンですので無益な殺生は好みません。羅鋼兵団には無理矢理集められた方もおられますし、大人しく逃げていただければ見逃してあげても構いませんよ』

『あの悪魔の言う事に聞く耳を持つなッ! 我々には天使様が付いているッ! とにかく撃って撃ちまくれッ! 死んで英雄になれェッ!』

『ひ、ひぃい!? もう嫌だ死にたくない、帰りたいよぉッ!』


 隊長の無茶な命令により少年兵は突撃させられ、破れかぶれのパンツァーファウストによる攻撃を放った。


 ランチャーはハロウィンに直撃し凄まじい爆風が生じる。


 隊長もこれで勝てたと安心しきっているに違いない。


『はは、大手柄だ! やったぞ……!?』


 けれど高笑いをしていた彼等は灰色の煙の中から現れる異形の何かに言葉を失う。


 もしくは理解が追い付かず脳が拒絶反応を引き起こしてしまったのかもしれない。


『やれやれ、この姿は子供を怖がらせてしまうので嫌なのですけどねぇ』


 爆風で仮面とコートが吹き飛んだ事により、その下に覆い隠されていたハロウィンの真の姿が露わになる。


 その肉塊の様な見た目はまるで人間をバラバラにして無理矢理寄せ集めた様で、あるいは生命体の進化の成れの果ての様で、正常な精神を持つ人間はその姿を見ただけで発狂する程悍ましく醜悪だった。


『はは……あんな化け物に……あいつらは殺されたのか……! うわあああッ! 撃て、撃て、撃てぇッ!?』

『ひぃ!?』


 隊長もまた発狂し破れかぶれの指示を出し、前に出ていた少年兵は背中から撃たれる形になりその場に倒れてしまう。


 だがやはりそんな攻撃がハロウィンに通用するはずもなく、彼は瞬間移動をして隊長の前に立ちはだかった。


『エセ信者の私は化け物であり変態のロリコンという自負はありますが一線は決して越えません。原罪を自覚した上で自らを律して心に潜む悪魔に抗いながらもなんとか人間であり続けようとしています』

『え』


 ハロウィンは呆然とする隊長の顔面を鷲掴みにして持ち上げ、悪魔には似つかわしくない澄んだ瞳に怒りの炎を宿して自らの想いを吐露した。


『ですが彼らは容易く一線を越えてしまいました。泣き叫ぶ子供達を弄び笑いながら殺していた彼らの方が、私にはよっぽど化け物に見えましたがねぇ……!』


 ペキッ――。


 彼は生卵を割る様に頭を握り潰し、怪物と成り果てた人間を葬り去る。


 見た目はハロウィンの方が遥かに凶悪だったはずなのに、それは神聖な悪魔祓いの儀式の様にも見えた。


『今のうちにお行きなさい。子供は家に帰って寝る時間ですよ』

『ッ!』


 全員が呆気にとられる中ハロウィンはうずくまる少年兵にそう告げる。


 彼は逃げ出す最後のチャンスと考え、死に物狂いで懸命にその場から走り去った。


『うわあああ!?』


 我に返った羅鋼兵団による集中砲火が再開されるが、ハロウィンは何も言わず逃げ出す少年兵を護る様に立ち回って戦っていた。


(フッ、お前さんは本当に変わらないねぇ)


 そのささやかな気配りに気付いたのは俺っちだけだったけど、何も変わらないハロウィンの雄姿に俺っちは心がほっこりとしてしまう。


 確かにハロウィンはロリコンだけどあいつもあいつで苦労しているし、上手く自我をコントロール出来ているうちは悪い奴じゃないんだよねぇ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ