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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第五章 鬼となりし見えざる者達【幕間1】

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5-15 牢屋で食べるディストピアなゴマ豆腐

 かつて警察署として用いられていたその施設には犯罪者を収容するための牢屋があり、兵士に連行された俺っちはマップ機能で周囲を観察しながら進んでいた。


「入れ」

「いやん」


 俺っちは放り投げられる様に牢屋の中に入れられ、先に囚われていた女性達はビクンと身を震わせた。


 牢屋の設備は比較的整っており、女性もひどく怯えていたが小綺麗な人間ばかりだ。おそらく上客にあてがう女性を揃えているのだろう。


 もちろんこの後に待ち受ける過酷な運命を考えれば目くそ鼻くそみたいなものだろうけど、もしかすると運転手の男が酒のお礼に何かしらの融通をしてくれたのだろうか。


 だとすればちょっぴり嬉しいねぇ。多少歪な優しさではあるけど意外といい奴だったのかもねぇ。


「うん、悪くないね」


 俺っちは一応部屋のアメニティを確認しておく。


 その気になればいつでも脱獄出来るけど、経験者としてはどのくらい充実しているか気になるからねぇ。


「じー」

「……何?」


 後は同じ部屋の人間と仲良くする事も大事だろう。


 若い女性はニマニマと笑う俺っちを明らかに警戒していたので親睦を深めなければなるまい。


「お前さん梅毒になってるねぇ。俺っち特製の治療薬あるけど使う? というか打つね」

「えっ!?」


 俺っちは有無を言わさず打たれたと気付かない程の匠の早業で治療薬を注射した。現代のものとは違うお手製の薬なのですぐに完治する事だろう。


「暇だねぇ。柿ピー食べる? しばらくすれば出ていくからこれお土産ねぇ」

「あの……」


 ついでにお腹が減っていそうな奴もいたので食料も適当に渡しておいた。


 彼女達は戸惑っていたが、空腹には抗えず貪るようにポリポリと食べ始めた。


(小腹が空いたし俺っちも何か食うか)


 監禁された時に食べるのは大体イモか味の薄いスープと相場が決まっているので何かが間違っている気がするけど、俺っちにはアイテムボックスがあるのでそんなのはお構いなしだ。


 ただ折角なのでムードを大切にするためディストピア飯を食べてみよう。


 とはいえあまり美味しくないのはなんか嫌だし、見た目が地味で四角形でなおかつ美味しいものってあったかなあ。


「お、ゴマ豆腐発見」


 けれどアイテムボックスを漁っているとちょうどいいものを発見する。そうか、ゴマ豆腐は最強のディストピア飯だったのか。


「うーん、うんめぇ。あの頃にゴマ豆腐があればなあ」


 俺っちは無茶をしまくった若い頃の苦労を噛みしめ、もっちゃりしてほのかに甘みがあるゴマ豆腐を堪能した。


 それは初めて長崎名物のゴマ豆腐が脚光を浴びた瞬間だった。


 何気に栄養価も高いし、なおかつそれなりに美味しいしディストピア飯の主力となりうるかもしれない。最近ちょびっとブームだしねぇ。

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