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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第五章 鬼となりし見えざる者達【幕間1】

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5-8 夢桜しばえもんの都市伝説の調査(宮崎のモノリス)

『高千穂に突如出現したモノリスの謎』


 俺っちは続いて宮崎の高千穂で発生した怪奇現象を探る。


 天孫降臨神話が伝わる高千穂には御神体でもある天逆鉾が刺さっていたけれど、そのすぐ隣に自己主張が激しすぎる鉄板が堂々と鎮座していた。


 NAROらしきモブは規制線を張って野次馬が近寄らない様にして情報の拡散を防いでいたけれど、残念ながらもう手遅れである。


 それに空を飛んでいる俺っちからは地上の様子は丸見えだ。サボっていたモブ隊員がこっそりショート動画を梯子しているのもね。


『宮崎の高千穂峰にモノリスが出現したっつー話だけど、こっちはもっとわけわからん』


『モノリスってなんか地面に刺さってる鉄板だっけ。宇宙人の痕跡とか知恵をもたらすなんかとかそういうアレ?』


『そういうアレ。時々見つかるけどほぼほぼイタズラなアレ。他人の土地とかで勝手にやるアレ。霊験あらたかな高千穂峰に立てるのは流石にアウト』


 智樹ちゃんは高千穂を舞台に修学旅行と木刀にちなんだ切ない失恋の物語を書いたけれど、そんな甘酸っぱい物ではなく某オカルト雑誌に出てきそうな話が爆誕してしまったらしい。


 一時期流行ったミステリーサークル然り、イタズラの定番でもあるモノリスは有り触れた怪奇現象だったのでこちらの反応は薄かった。


 だが次に投下されたネタで反応は一変する。


『モノリス自体は滅茶苦茶デカくて二トンくらいあったそうな。どうやって運んだのかも謎だけど一番謎なのはそこじゃない。そのモノリスはルテチウムだったんだ』


『なんだってー! いやルテチウムって何よ』


『いわゆるレアアースで世界で最も高額とされる物質。大体グラム五万円だから二トンなら千億くらい』


『オゥ……』


『頑張って盗もうとしてる奴もいるみたいだけどデカすぎて運べないとか』


 ルテチウムは地球外の物質ではないので頑張れば日本でも手に入るが、こちらも通常ではありえない現象に民衆は困惑していた。


 金やプラチナならイメージが出来るのでまだわかりやすいかもしれない。


 しかしそれよりも珍しいレアアースという点がこの謎のミソとなる部分なのだろう。


 おそらく彼らはルテチウムがどのような色でどのような用途に使われるのかもイマイチピンと来ないはずだ。


 実際ルテチウムは高額な値段がネックとなって用途はもっぱらハイテク医療や原子力関連に限られており、日常で目にする機会はほぼないと言っていいだろう。


『こういう時オカルト雑誌なら宇宙人が建てたんだ! って言うけど誰かのイタズラってオチがほとんどだからなあ』


『イタズラに千億かー。もしいたとしたらとんでもない金持ちなんだろうな。突然現れて高額な素材っていうのは長崎と似た感じだけど』


 モノリス系の怪奇現象はほぼイタズラで説明出来るがこちらも実質的に実現不可能な怪奇現象だった。


 やはり書き込みをする人間の中には特殊な合金で作られていた長崎の平和の像のケースと関連付ける者も現れ始める。


 まあ、実際トリックは大体同じなんだけどね。


『夢桜しばえもんの小説の中に天逆鉾が出てなかったっけ。それを準えたもの?』


『出てたっけ? 坂本龍馬のエピソードはあった気もするけど』


『でも高千穂だからほぼ一致してる』


 彼等はうろ覚えの知識でこの不可思議な現象を宮崎編の短編と関連付けたが、なろうに投稿された作品を見ればわかるがそういう描写は特にない。


 だが都合よく拡大解釈をすれば彼等にとっては必然となるのだろう。極論宮崎であればなんだっていいのかもしれない


『夢桜しばえもんは宇宙人? スペースラムもそうだし』


『佐賀の落ちてきた魚も地球中に存在しない遺伝子なんだっけ』


 そして誰かが何の気なしにポツリとそんな言葉を呟き、匿名の民衆の議論は少しずつ妙な方向に向かい始めた。

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