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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第五章 鬼となりし見えざる者達【幕間1】

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5-7 夢桜しばえもんの都市伝説の調査(熊本の避難所)

 上空を飛行しながら俺っちは脳味噌を電子の世界とリンクさせ、電子の大海原から膨大な情報をピックアップし高速で演算処理を行う。


 確認する順番は特に決まっていないけど、やはり智樹ちゃんが小説を投稿した順に調べるべきだろう。


『熊本の避難所で大量の物資を提供した謎の集団』


 まずSNSで見つけたのは熊本で実際に起こった怪奇現象についてだった。


 厳密にはお上の目が届かないいわゆる闇サイトの類だけど、そっちのほうが赤裸々な情報が手に入るので問題ない。


 情報の真偽はこの際どうでもいい。問題は彼等がこの異変をどう解釈しているかだ。


 ゾンビハザードによって壊滅的な被害を受けたはずの市街地は比較的落ち着いており、人々は大型商業施設で籠城戦を行っていた。


 彼等は築城の名人でもあった加藤清正のDNAを受け継いでいるのか見事なバリケードを作り上げ、片鎌槍代わりに鉄パイプの槍で武装し蟻の一匹たりとも通すまいと目を光らせている。


 高所にはライフルや自動小銃を持った警備の人間が待機しており、狭間から狙う様にゾンビを射殺していた。一発で当てるなんてそれなりの腕前の様だ。


 いずれジリ貧になるかもしれないが現時点では全ての物資が揃っている。ただこれだけ設備が充実しているのはもちろん理由があった。


 俺っちは意識を電子の海に戻し、再度SNSの情報を収集する。


『結局これって何なん? ただ親切な人が姿も見せずにいろんな物資を提供して熊本の人を助けただけだろ』


『その通りではあるんだが、質も量も尋常じゃなかった上にスペースラムとか変なものもあったそうな』


『んで、武器も連合軍が使ってる奴より遥かにいいものばかりで、あれだけの量を揃えるとなるととんでもない値段になるわけで。ただの親切な人じゃ絶対に無理。というか金があっても無理』


 話を要約すると熊本で起こった怪奇現象は突然大量の物資が出現した、ただそれだけの事でありそれ自体に奇妙な点は何一つない。


 けれど提供された物資は質も量もとんでもなかった事が論争を巻き起こしていた様だ。特に彼らは宇宙食にも用いられている食糧に注目したらしい。


『いやスペースラムって何?』


『宇宙でも食べられるように開発されたラーメン。宇宙系の施設のお土産コーナーとかに行けば売ってるけどまあまあ高いし今は作れないから入手困難』


『九州は物流とかが完全に崩壊して賞味期限切れの食べ物や腐った食べ物を食べるのは当たり前でどこもかしこも食べるのにも困ってる。ましてやゾンビハザード前でも食べられなかった代物を用意出来るはずがないって事だよ』


『夢桜しばえもんの小説でも熊本ラーメンの短編があったっけ。これも予言なのかな』


 熊本で起きた騒動は現実でも起こりうるが事実上再現不可能な現象だった。


 突飛な話よりもこういう絶妙なラインのほうがリアリティがあるので、好奇心旺盛な連中は食いついてしまった様だ。


 んじゃ、この辺の状況は大体わかったし次に行ってみようかね。

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