4-184 クガニナーの祠の最深部にて
大災厄から続く因縁を終わらせる覚悟を決め、ヒカリと共にクガニナーの祠の通路を道なりに進むと厳重にロックされた鉄の扉を発見した。
居抜き物件とはいえ元々は米軍基地なので高度なセキュリティなのは当たり前だろう。
ヒカリは意味もなくノックをする様にコンコンと叩いた。
「開かないね。流石に私でもこの扉は簡単に壊せないよ」
「管理者権限も無理か」
いつもならここで何かしらの表示がされるが、特にそういうのは無かったのでこれは管理者権限を使って開けるタイプのものではないらしい。
扉にはカードをスキャンするリーダーがある。どうやらここに入るにはカードキーが必要な様だ。
「希典先生を待ってもいいけど……ひょっとすると龍の鱗か?」
俺は木の葉マジムンからお礼に貰った龍の鱗、もといICカードをアイテムボックスから取り出した。
『認証。ナベシマリンドウを認証しました』
機械音声が聞こえ予想通り扉は龍の鱗によって開かれた。どうやらこのカードは鍋島竜胆の物だった様だ。
「鍋島竜胆……そっか」
この先にある世界を支配するというニライカナイの遺産が何なのかはわからないが、鍋島竜胆は密接にそれに関わっているはずだ。
「行こう、智樹」
「ああ」
真実を知る事に恐怖心がないと言えば嘘になるが立ち止まってはいられない。
俺はヒカリと共にクガニナーの祠の最深部に辿り着いた。
最深部には兵器の類はなかった。
だがその代わり仄暗い部屋の中央には黄金の箱があり、それは秘宝を封印する宝箱の様に見えた。
黄金の宝箱には何かしらのエネルギーが供給されていたのか、あるいはここを起点にエネルギーを送っていたのか、地面には脈の様な模様がある。
「ふーむ。これも開かないね」
「何でもかんでも叩くな、昔のテレビじゃないんだから」
ヒカリは取りあえず黄金の箱をコンコンと叩く。けれどこちらも開く事はなく厳重にロックされていた。
「でもこっちは管理者権限で開けられるみたいだ」
黄金の箱に近付くと画面が表示された。おそらくこの中にニライカナイの遺産が封印されているはずだ。
「開けてみて」
中に入っているのはとてつもなく恐ろしいものなのかもしれない。
けれどヒカリに促され、俺は意を決して管理者権限を実行した。
黄金の箱を開くと、そこには何故かデミウルゴスの箱と似た様なデザインの禍々しい小箱があった。
「これは……デミウルゴスの箱?」
「また箱だ」
見た目はさほど違いはない。あちらと大きく違う点は金色という事くらいだろうか。
「まさかここまで来て中に入っているのが金平糖ってオチはないよね」
「流石にそれはないだろう。ひょっとしたらこれは大事なものを長期間保存するための専用の箱なのかもな」
デミウルゴスの箱が金平糖の入れ物と知った時俺は脱力したが、その中に入っていた星のかけらはかなりのチートアイテムだった。
名前を呼んではいけない邪神、デミウルゴスの正体はデマへの啓発だったが、もしかしたら箱そのものは本物のアーティファクトの類だったのかもしれない。
「でもまた開かないよ。ふんぬー!」
「だからすぐに弄るな。危ないからもっと慎重に扱えって」
ヒカリは黄金のデミウルゴスの箱を開けようとしたがビクともしなかった。
見ていてヒヤヒヤするがこれは力任せにやっても絶対に開かないはずだ。
「何重もロックをするって事はそれだけ重要って事なんだろう。俺が持っていたデミウルゴスの箱はデミウルゴスの正体を知る事がトリガーだったと思うけど、この箱にも特殊な条件があるのかもしれない」
「特殊な条件って? また何かの正体を知るって事? ゲームとかだったら宝を護る番人を倒したら開いたりするよね。って流石にそれはないか」
「うーん……」
ゲーム脳なヒカリはRPGのあるあるネタを語り否定する。
部屋の敵を全滅させれば宝箱が開く、というのはよくある定番のギミックだ。
俺はどうやって開けるのか熟考する。最初のデミウルゴスの箱同様に何かがトリガーになっているのだろうか。




