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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~【第一部完結】  作者: 高山路麒
第四章 悠久のニライカナイ、黄昏の空を飛び続ける天龍【第一部4】

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4-171 回想・グダグダ会議(二回目)の総括

 支配者達のグダグダ会議がようやく終わり、ヒカリもショックを隠せなかったがどうにか言葉を絞り出した。


(……でも信じられません。まさか酔った勢いで核のボタンを押すなんて)

(似た様な事は東西冷戦の時にもあったよぉ。その時もアル中の大統領が核のボタンを押そうとしたけど、部下が全力で止めたから発射されなかったんだよねぇ)


 希典先生は核兵器の歴史でよく語られる話を引き合いに出した。


 核の使用は重すぎる決断であり、それを所持するのは大前提としてまともな思考が出来る人間でなければならない。


(ただ今回は周りに止める人がいなくて、無能なイエスマンしかいなかったからこうなったんだろうねぇ)


 だがいくら自分達はまともな国だと言い張っても、トップと周囲が正しい判断が出来なければ何の意味もないのだ。


(ベロヴォーディエから続くグダグダっぷりでわかっただろうけど、誰もこんな結末を望んでいなかった)


 支配者は全員戦争を望んでいたが同時に平和も望んでいた。


 それは人類愛などではなく全て権力や利権を護るためだった。


 もちろん打算があったとはいえ、それで平和が保たれるのなら何も問題ないだろう。


(だけど全員が戦争以外の要素をガン無視して、想定外の事が起きるたびに保身のために行き当たりばったりな事をした結果こうなったのよぉ)


 だが彼等はあまりにも利権と保身に執着し過ぎて、その結果全てを失ってしまった。


(とまあこれがゾンビハザードとアメリカの核攻撃の真相ねぇ。最大の想定外はどうしようもなく全員がポンコツだったって事なのさ)


 希典先生は世界史の授業の様にとても単純な言葉で総括したけれど、罪のない人の命によって支払われた授業料はあまりにも高くつき過ぎた。


(陰謀でも何でもなく、蓋を開ければ民衆も支配者も全員アホしかいないただのコントだったねぇ。ちゃんちゃん)


 愚かにも程がある人類は神に天罰を下される価値もなかった。


 この滅びの結末を止めるチャンスはいくらでもあったはずなのに、彼等は間違え続ける事しか出来なかったのだ。


(じゃ次は、)

(もういいです)


 彼は手を動かし場面転換をしようとしたが、感情を無くした俺はきっぱりと希典先生に言い放つ。


(どうでもいいです。これ以上見たくありません)


 人間の醜さは戦争の悲惨な光景よりも悍ましく、どのようなゴア描写の映画よりも残酷だった。


(次はいよいよクライマックスの大災厄なのに。一番知りたかった京都の核ミサイル攻撃と沖縄の大津波の真相がわかるよぉ?)

(見なくても大体わかります。どうせこのポンコツどもが盛大にやらかしたんですよね)


 これ以上知ってしまえばきっと俺は壊れ、愚かな人類を生物として認識出来なくなってしまうだろう。


(人類を滅ぼしてくれるゾンビはいつ出てくるんですか。それだけ教えてください)


 真相を知ってしまった俺は、終末論者の様にいつの間にか何もかもが終わってしまう事を望んでいた。


 もしもゾンビが現れ愚かな彼等を滅ぼしてくれるというのなら、俺は彼等を神の遣わしめとして恐れ敬い喜んで迎え入れるだろう。


(えー。あらすじだけ見るファスト映画じゃないんだから)


 希典先生にとってこの回想は映像の再生でありそれ以上の意味はないのだろう。


 だけど当事者である俺にはこれ以上残酷な真実に耐える事が出来そうになかった。


(智樹。辛いなら無理をしなくていい。ううん、何も見なくていい)


 けれどヒカリは俺を気遣った後、覚悟を決めた眼差しで語り掛ける。


(智樹の代わりに私が見届ける。私は全ての真実を知りたいから。どうして世界が、沖縄がこんな事になったのか……それを知る事は生き残った人間の義務だと思うから)


 真の強さを持った勇者である彼女は全ての真実を受け入れる道を選んだらしい。


 その勇気が眩しすぎて、俺はヒカリを直視する事が出来なかった。


(……わかったよ。先生、続けてください)


 彼女の覚悟を知った俺もまた真実を知る決断をした。


 親友が戦うというのに俺だけ目を背けるわけにはいかなかったからだ。


(うぃー。んじゃ大災厄の真相とかを見に行こうね~)


 その言葉を聞いた希典先生は特にこれといったリアクションをせずいつも通りのノリで進行を再開する。


 弱い人間の葛藤なんて超越者の彼はこれっぽっちも興味がないのだろう。


 取りあえず回想シーンが終わったら頃合いを見てこのオッサンを全力でシバこう。


 俺はそう心に決めて試練を乗り越える力に変えた。

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