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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第四章 悠久のニライカナイ、黄昏の空を飛び続ける天龍【第一部4】

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4-113 岩巻に縁があるゼンの裏設定・続

 ニライカナイでの決戦前に親睦を深める事も兼ねて大人数で食事をし、フードコートはさながら宴会場の様になっていた。


「うまうまー。これひょっとして岩巻いわまき焼きそばですか?」

「そうだヨ! 昔あの辺に住んでたことがあってネ」


 むっちり系の大柄なミカン隊員はとりわけたくさん食べており、ゼン板長は大急ぎで追加の料理を運んでいた。


「へー、ゼンさんも。私も実家はあの辺だったんですよ」

「そういえば僕の父と母の友達にもゼンって留学生がいたね。写真を見せてもらったけど君とそっくりだったよ。同じ苗字だしひょっとして君は彼女の親戚なのかい?」


 ミカンは世間話をしているつもりだったが、高倉隊長は取り調べの様に話を聞いた。もしかしたら彼は何かに感付いていたいのかもしれない。


「哈哈哈、よくある顔だヨ」

「そうか。ならそういう事にしておくよ」


 けれどゼンは陽気に笑って受け流した。高倉隊長は脅威と認識してはいない様だけど微妙に居心地が悪い。


「韓国の人はゼンって苗字の人がよくいますけど、中国でも割と多い名前なんですか?」

「そんなに多くはないヨ。ちなみに再生の再の上の横棒を取って冉って書くんだけど、王様の子孫って説もある由緒正しい苗字だヨ」


 ミカン隊員にそう尋ねられたゼンは苗字の裏設定を教え、中二ホイホイな由来にヒカリは即座に食いついてしまう。


「ほへー、なんかゲームなら主人公になれそうだね。ゼンってリアルに王様の子孫だったんだ。それって伏線?」

「諸説ありだけどネ。地元には石を投げれば冉って苗字の人に当たるくらいいたし、そんなに期待された目で見られても困るから話半分に聞き流してくれると嬉しいかナ。私はただの怪しくない中国人だヨ」

「ただの怪しくない中国人ねぇ」


 ややこしい勘繰りをされる前にゼンは笑いながら否定するも、正体を知っているイルマはもひもひとピザを食べながら胡乱な目で彼女を見た。


 この前の話し合いでゼンの正体は結局明らかにはされなかったが、希典先生と同じくイレギュラーな存在である事だけはわかっている。


 ゼンは悪人ではなさそうだが間違ってもただの留学生ではないだろう。


「んまんまー」

「サスケも焼きそばを気に入ったみたいだな」

「はい! マカミ族のご先祖さまはノーザンホークに縁があるとかで好きだったそうでヤンス!」


 サスケは半熟の目玉焼きが乗った岩巻焼きそばを実に美味しそうに食べ、ザキラも機嫌が良さそうに神話と岩巻にまつわる小ネタを語ってくれた。


「ちなみにノーザンホークはアマテラス派の聖地みたいなもんだが、ちょいちょい伝承の中にイワマキ焼きそばが出てくるそうだ。トール派の英雄もイワマキに縁があったとも伝えられて、幻影を見せるフェイスレスって悪魔と戦ったって伝わってるな」

「ふーん、神代の英雄は宮城の岩巻在住だったのかな。神話の食べ物にしては随分とB級感があるっていうか庶民的だけど」


 おそらく神代の英雄があの場所に縁があったのは間違いないだろう。


 伝承がごっちゃになっているので詳細な事はわからないが、少なくとも何かしらの歴史的に重要な出来事が岩巻であった可能性は十分にあり得るはずだ。


 まさか超越者の仲間であるゼンは登場人物として神代の歴史に関与していたとでも言うのだろうか。うーん、謎は深まるばかりだ。

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