4-104 両勢力の仲直り?
「……さて、と。仲直りも出来たし、大体のネタバラシは済んだかな」
希典先生の目的と暗躍していたスパイについて一通り語り終え、彼は脱力しながら酒を飲んで一息ついた。
「仲直り出来たんですかね。謝る機会を逃した気がしますけど」
「あ、確かに」
しかし勝手に仲直りが済んだ事にされ、ヒカリは今更ながら謝罪を済ませていない事に気が付く。
「どっちかっていうと途中から別件で揉めた気がするけど。そもそも私達なんで喧嘩してたんだっけ?」
「別件についての記憶はございませんが、元々は智樹さんと合流しようとして嫌がって逃げた事が切っ掛けですね」
「ああ、そうでした。すっかり忘れてました」
「そういえばそうだったなあ」
ミトラさんはやはりワンナイトボマイェについてはシラを切っていたが、NAROと鬼ごっこをする羽目になったのは元々俺が彼女達を信頼しておらず逃げ回っていたからだ。
「でもそれに関してはもう終わった話じゃないかな。なんてったって敵だった相手とお楽しみをしていたわけだし。嫁の貰い手が見つかって良かったね、ミトラ」
「記憶にございません。なお再び不適切な発言をした場合法令に基づき適正に社会的に抹殺しますので」
身内の鳳仙は当然の如くイジるもミトラさんは淡々とあしらう。
受け答えが慣れていたっぽかったし、こういう身内からのイジリは初めてではないのかもしれない。
「でも嫁の貰い手かあ。あんたって五十は超えてるはずだけど何歳なの? まあまあなババアだよね」
しかしイルマはどうでもいい事が気になり年齢を尋ねた。
女性に年齢を尋ねるのは好ましくないが、美魔女というレベルではないミトラさんの場合はそんなルールは適用されないだろう。
「同じ質問を貴女にしていいのなら現在の年齢を答えますが」
「いいけど」
「荒木美虎、三歳です。それであなたは何歳ですか」
「永遠の五歳だよ」
「チ〇ちゃんですか」
イルマは年齢非公開なのか定番のボケを返す。
ただ彼女はともかく、作られた生命体であるミトラさんが三歳というのは冗談ではないのだろう。どういう定義で三歳になるのかは怖くて聞けないけど。
「でも謝らないわけにはいかないよね。よーし、ごめん!」
ともあれ二人のおかげで場の空気が和みヒカリは意気揚々と頭を下げた。それは謝罪と言うには随分ポジティブだったがこのほうが丁度いい。
「ああ。こっちこそごめんな」
俺も笑みを浮かべながら頭を下げた。親しき中にも礼儀あり、それは人間関係の基本だ。
既に仲直りした様なものなので形式的な物だったが、やはり彼女と友人で居続けるためにはきっちりしておかないといけない。
「オーケイ!」
「なんすかそのアメリカの学園ドラマの嫌な空気を変える友人っぽいリアクションは」
希典先生は空気を読まずに手をパチンと叩いて空気を変える。だけど正直これは蛇足だ。
「いやー、これでようやくクガニナーの祠に向かえるねぇ。ちなみにちょいちょいヒントはあったけどお前さん方はどこにあるのか答えが分かったかい? ノーヒントならまれっちポイント、MPが貰えるよ」
「MP? ヒントなんてありましたっけ」
遠回りしてしまったが俺達の最終目的地はクガニナーの祠だ。
星桜グループの関連施設でなおかつ我那覇反乱軍が陣取っている場所ではないかという所までは絞り込めたものの、ずっと逃げ回っていたのでヒントらしいヒントなんて見なかった気がするけど。
「ちなみにまれっちポイントを獲得したら何が貰えるんだ?」
「ネタ装備が解禁される。ここで正解すれば人〇石君になれるよ、ホレ」
「なんて事だ。すんげぇ欲しい!」
希典先生はアイテムボックスからムンクの叫びを想起させるご当地キャラの着ぐるみを取り出し、長崎屈指のネタキャラにリアンは心を奪われてしまった。
「ぶちゃいくデス。だけどなんかいいデス!」
「ぼー」
見た目はまんま壱岐から出土した人面石なのでこれを見て可愛いとは思う人間は少数派だが、ニイノもまた興味を示してマタベエも得意の顔真似を披露する。
そういやど〇ぶつの森でデータが消えた時にこんな顔になったなあ。一応モチーフは重要文化財に指定されているけど。




