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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第四章 悠久のニライカナイ、黄昏の空を飛び続ける天龍【第一部4】

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4-93 万能の量産型ロボット兵器、エッグヘッド

 量産型ロボット兵器、エッグヘッドの機動力は頭でっかちな見た目通りお世辞にも高いとは言えないが、敵を見つけ次第即座に銃撃やランチャーによる攻撃をしてくる。


 エッグヘッドはいわば歩く事も出来る移動式の機銃であり、動き回って倒すというよりも基本的に一カ所にとどまって攻撃する兵器として運用する事が想定されている。


 装備によっては戦車だろうが航空戦力にも対応出来、特に近代戦の要でもあるドローン兵器との相性は抜群だった。


 安価、耐久性、整備のしやすさに加え、さらには汎用性の高さが最大の武器だと言えるだろう。


 正規軍やテロリストを問わず、現代世界中の紛争地域で用いられている多くのロボット兵器はその土地に合わせた独自の改良が施されている。


 現在進行形で変化を続けるエッグヘッドはその名の通りあらゆる怪物に進化出来る可能性を秘めた卵だ。


 つまり密林地帯という環境に適応したエッグヘッドは、この島の生態系の頂点に立つ絶対王者というわけである。


 暗闇や障害物もものともしない獣の眼光の様な熱感知センサーで認識されたが最後、全力で逃げて振り切るしかない。


「マタベエ、右に曲がってくれ!」

「わかったー!」

「ぶもー!」


 俺はマップ機能でエッグヘッドの居場所を確認し、マタベエに指示を出して大きく弧を描く様に迂回をする。


「のおおん!? 落ちるって!」

「気合と根性で耐えろ!」


 ヒカリは遠心力で振り飛ばされそうになり、彼女を叱責したリアンも必死に俺の背中にしがみついてかなり辛そうだ。


 バババババッ!


 エッグヘッドは俺達を認識して旋回しながら追いかける様に機銃を発射するも、大回りしたおかげでどうにか振り切る事が出来た。


 けれどもし軍用車両の装甲すらも貫通する弾丸に一発でも命中すれば、人間は確実に肉塊になってしまう。


「ひー! 死ぬ、死ぬって!」


 リアンはギャグマンガの様にコミカルに叫んだけど、今起きている事は作り話ではなく実際に起きている出来事だ。


 火薬のニオイが、密林の泥のニオイが、黒鉄の脚で枝を踏み潰す音が、ここが本物の戦場である事を否が応でも理解させる。


 ああ、そうか。


 俺は今死にかけたのか。


 俺はそんな当たり前の事を理解し身震いがした。


 今まで散々死地を経験してきたが、やはりこの戦争のニオイは一瞬で人間の精神を狂わせてしまう。


「ああもう無理ぃ!?」

「ヒカリッ!」


 そのほんの一瞬の油断が命取りだった。


 恐怖で意識が飛びそうになった時、ギリギリで持ちこたえていたヒカリは振り落とされてしまう。


「チィ!」

「のわっと!?」


 だがすぐにリアンが義手を射出、落下したヒカリを空中で掴んで引き戻した。


 けれど前方にはやはりエッグヘッドが待ち構えており、俺達を認識して旋回を始めてしまう。


「わー!?」

「ぶもー!?」

「構うな、突っ込め!」


 マタベエとモーブルは金属が軋む音に恐怖してしまうが、俺は怒声をあげて指示を出しながら同田貫を抜刀した。


「うおりゃああッ!」


 ザシュッ!


 変則的ではあるがすれ違いざまに抜き胴に成功し、じゅすへるの呪いの雷によってエッグヘッドは行動不能になって片膝をついてしまう。


「なあ、相手が機械ならあれ使えるよな!」

「頼むッ! そのままケツのほうに放り投げてくれ!」


 リアンはすぐに機械に特攻を持つ秘密兵器の存在を思い出し、歯で食いちぎる様にピンを抜きパルスグレネードを放り投げた。


 狙いを定めずに投げたが、虹色の花火が炸裂すると同時に周囲のエッグヘッドは泥酔した酔っぱらいの様に千鳥足になって転倒してしまう。


「見たかァ! これが工業民族ナーゴ族の力だッ!」

「助かった、リアンッ!」


 エッグヘッドは制御装置があるので通常は滅多に転倒する事はないが、この爆弾だけで倒せるかもしれない。


 全くナーゴの技術様様だ。今回ばかりは心の底からドヤ顔をするリアンに感謝をしたかった。

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