表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第四章 悠久のニライカナイ、黄昏の空を飛び続ける天龍【第一部4】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

589/665

4-78 イスキエルダ(二回目)と福元ハニィとの出会いと、謎の違和感と

 ホテルの内部は暗かったが、マップ機能と鋭敏な五感があればさほど困らない。


 俺は懐中電灯を持って使えそうな廃材を回収しながら探索した。


 意識を失った状態でミトラさんに連れて来られたからあまり建物の構造は把握していないが、元々は平屋建てのホテルだったのでさほど複雑な構造ではない。


 部屋数は十数室程度の小規模なホテルで元々は観光客向けに作ったのだろう、白い壁とオレンジ色の瓦が美しく、ついでにヤシの木っぽいものが植えられている南国という感じのデザインのホテルだった。


 簡単に言えば南国の小規模ホテルとイメージしてパッと思い浮かぶ感じのホテルである。よく言えば理想的、悪く言えばありふれたデザインのホテルと言えるだろう。


 沖縄と言えば伝統的な家屋を漠然とイメージしてしまうが、実際はこんなものなのかもしれない。


 都市デザインの専門家が近頃の都市はどこも似た様な街で退屈だと嘆いていたが、それは観光地にも言えるのだろう。


 特に米軍が撤退した後は米軍基地の跡地に急ピッチで様々な建物が建てられた。


 このわかりやすいテンプレデザインのホテルももしかしたらそういう経緯で作られたのかもしれないな、と俺は推測してしまう。


 ホテル内部は割れたガラスが散乱しており至る所で生物が動いている。沖縄はハブやアフリカマイマイみたいな危険な生き物が結構いるから気を付けないと。


 だけどハブって結構使い道があるしいい値段で取引されるんだよな。余裕があれば安全確保も兼ねてアイテムボックスに入れておこう。


「キシェー」

「おっと」


 早速ハブとエンカウントし、俺は警戒しながらM9を撃ってハブを眠らせる。意識を失っている間に頭を踏み潰して捕獲してと。


 ちょっと可哀想だけど奪った命は無駄にしない。サバイバルのために役立てるとしよう。


 ゴト……。


「ん」


 ハブに夢中になっているとどこからか物音が聞こえてくる。結構大きな音だったけど、サイズ的に大型の獣か。


 沖縄には多種多様な生き物がいるけど一体何が潜んでいるのだろう。普通の人間なら恐れをなして逃げてしまうがマップ機能を持つ俺ならば何てことない。


「ありゃ、イスキエルダさん。と誰だ?」


 すると俺は部屋の一角で拘束されたイスキエルダさんとボロボロの少女を発見する。状況から察するに仲間の誰かが交戦し捕まえたのだろうか。


 話しかけたら確実に揉めそうだけど、ハブもうろついているし早めに助けておかないと命に関わる。もしひと悶着あったらミトラさんに説得を手伝ってもらえばいいか。


「あのー、大丈夫ですか?」


 彼女達を助けるために客室に入り、俺は恐る恐るイスキエルダさんと小柄な少女を懐中電灯のライトで照らした。


「……?」

「ひゃー! 自分は食べても美味しくないっす! ハニィってスイーツみたいな名前っすけど見ての通り可食部は少ないっす! って自分はハニィなんて名前じゃないっすよぉ!」


 イスキエルダさんはすぐに俺だとわからなかったらしく警戒していたが、いきなり眩しい光で照らされた小柄な少女は恐怖で半泣きになってしまった。


「やっぱりイスキエルダさんでしたか。そっちは初対面ですけど。どなたです?」

「じ、自分は崎陽新聞の福元ハニィっす! 沖縄に取材に行ってなんやかんやでここにいるっす!」

「はあ」


 福元ハニィなる人物はマスコミ関係者らしい。


 沖縄は最前線だし従軍記者として取材していたのだろうか。害のある相手ではなさそうなので助けても問題ないだろう。


「あなたは誰ですか。何故私の名前を」

「俺です、智樹ですよ」

「トモキさん、ですか?」


 けれどイスキエルダさんはまるで初対面であるかの様なリアクションを取った。この様子だともしかして俺の事を覚えていないのだろうか?


「一緒に集落でヒカリ達とメシ食ったじゃないですか。とにかく縄を外しますね。えーと切るものは」


 しかし俺が彼女を助けるためにアイテムボックスを漁っていると、イスキエルダさんはその名前を聞いて血相を変えてしまった。


「お嬢様と会ったのですか!? お嬢様はご無事でしたか!?」

「え? はい。会いましたけど。っていうか無事も何もあの時一緒にいた……」


 何だろう、どうにも話が噛み合わない。


 俺達が拠点を襲撃した後にヒカリと離れ離れになったとしてもここまで過剰に不安になるだろうか。


「……イスキエルダさん。うちのツレのキーアと手合わせして、それを見たヒョウスベさんが貴女の腕が鈍ったとかそんな事を言ってましたが、そのやり取りは覚えていますか」

「……私はキーアという方を存じ上げませんし、手合わせもしていません。イムシマ水軍の隊長を務めていたヒョウスベさんという方と面識はありますが久しく会っていません」

「……………」


 不安になった俺が質問すると彼女は重苦しい表情で決定的な証言をした。


 では俺達と一緒にいたイスキエルダさんはいったい誰だったんだ。


 俺は初対面なので彼女の事は何も知らないが、今思えばヒカリもイスキエルダさんの事を不審がっていた。


 誰の差し金かはわからないけれど、最初から何食わぬ顔をして仲間に成りすまして紛れ込んでいたスパイは悪意を持って近付いたに違いない。


 きっとそいつは今もヒカリ達を狙っているはずだ。一刻も早く知らせないと彼女達の身が危ない!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ