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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~【第一部完結】  作者: 高山路麒
第四章 悠久のニライカナイ、黄昏の空を飛び続ける天龍【第一部4】

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4-53 奇襲されたNARO本陣

 ミトラさん達を助けるために市役所に戻ったものの、時既に遅くNAROの拠点は智樹チームから攻撃を受けていた。


「あちゃー、マズいなあ……って皆何してるの!?」


 それだけでもなかなか衝撃的だったけど、あろう事か攻撃している兵隊の中にはNAROの皆も混ざっており、私は何が起こっているのか理解出来ずに混乱してしまう。


「せいッ!」


 エマは孤軍奮闘しており仲間であったNAROの皆と交戦していた。


 相手の中にはカルラ族の兵士もいるけど、まさか敵であるはずの異世界軍が智樹側に寝返ったとでも言うのだろうか。


「皆、どうしたの!? 正気に戻って!」


 ただよくよく見ると彼らは全員目つきが妙だった。


 何があってこうなったのか状況が飲み込めないけど、エマは必死で声をかけて説得を試みている。


「エマ、何があったの!?」

「わからない! 智樹君に銃で撃たれて皆変になっちゃったの!」

「智樹が……!?」


 エマは二重の意味で信じられない言葉を告げた。智樹が皆を銃で撃った事もだけど、それで皆が操られてしまった事も。


「俺は小学生の時から人妻NTRモノが好きだーッ! ヒロインよりも主人公の母親に興奮したァー! 恥ずかしがらず性癖を解放しろーッ! 不倫は文化だァーッ!」

「ほら、こんな風に!」

「どんな風に!? つーか目覚めるのが早すぎない!?」


 操られた少年漫画の主人公の様な風貌の小隊長はいつも以上に張り切っており、あろう事か自らの性癖をとても清涼感のある声で叫んだ。


 って、ツッコんでる場合じゃない、私も加勢しないと! 私はまだ正気を保っているエマ達と共に操られたNARO隊員と戦った。


「というかこの声優さんも不倫、ゲフンゲフン何でもないよ。なんであの人は性癖に正直になったの?」


 普通良識のある大人はそんな事はしないし、ましてやNAROならなおさらだ。


 リアルな話警察とかと同じで不倫とかをしたら懲戒処分になるっていう規則もあったっけ。


「よくわからないけど智樹君が撃った弾にはその……相手の精神を操る効果があったの!」

「それで性癖を植え付けられたのか」


 エマはぼかして言ったけれど操られた隊員は皆恋する乙女の様な眼差しになっていた。


 おそらくゲームでいう所の魅了魔法の様なものでもかけられているのだろう。


 普通主人公はあまり魅了魔法なんて使わないけどこれも異世界の技術なのだろうか。


 だけど練度の高い隊員がそっくりそのまま奪われたわけだし、かなり厄介なバステかもしれない。


「違うッ! 性癖ではなく多様性だッ!」

「うお」


 しかし私の性癖という言葉が看過出来なかったのか、操られた少年漫画隊員はポーズを決めクワッと一喝した。


「人間はなんだかんだ言いつつも心の奥底では皆NTR願望があるのさ。俺はついさっき友達以上恋人未満な同僚が操られて虫唾が走ったが同時に凄く興奮した。そして俺は忘れかけていたあの日の性癖を思い出したんだ。アイ! ラァヴ! NTR!」

「カァモン! ベイベー! NARO! ここに変態がいるぞ!」


 モブ隊員はうっとりとした顔で高らかに宣言し、私は漢気すら感じる性癖への想いに感服してしまった。


「さあ、皆の者! 目覚めなさい! 虐げられた性癖を解放するのだッ!」


 キャラが強すぎるモブ隊員は新興宗教の教祖となり抑圧からの解放を宣言する。


 常々思うけどやっぱりNAROって面白い人しかいないのかな。


「ねえエマ、あの人って本当に操られてるだけだよね」

「……多分」


 私は念のために確認するけどエマは眼をそらしながら言った。


 うん、あの人の名誉のためにもあまり追求しないでおこう。


「いいねぇ。君の言うとおりだ。性癖は開放すべきよね」

「ぬお!?」


 だがそこにもう一人の変態が現れ、ノースリーブのメイド服に着替えた鳳仙は鎖でNTR性癖に目覚めた隊員やモブ隊員を縛り上げて無力化していった。


「こいつはヤベェ……ケツに食い込む! くそぅ、ほれが男の娘でこうふんするわぇがっオウ、アァ、おほぉおほぉ!」

「キモイから」

「ほろろぉ~んッ!?」


 NTR性癖の隊員は鬼畜男の娘メイドによって新たな性癖を植え付けられたけど、空中から落下しベシンと胸部を強打、そのまま気持ちよさそうに昇天、ではなく気絶してしまう。


 だけど結構大きな音がしたけど大丈夫かな。


 私は小隊長が死んでいないか近付いてそれなく確認したけど、所属を示す徽章を見てある事に気が付いた。


「あれ、よく見たらこの人一番隊の……」

「一番隊にこんな変態はいないよ?」

「あ、うん」


 けれどその事を指摘するとエマはニコニコと笑いながら否定する。


 どうやら全力でこの不祥事を無かった事にしたいらしい。


「ここは私に任せて、ヒカリはミトラさんの所に行って!」

「僕も後で追いかける。でも捕まって催淫バステをかけられて墜ちるミトラを見てみたいからあまり頑張り過ぎない様にね」

「わかった! あとそこの変態もついでに捕まえといて!」


 私は何も見なかった事にし、ついでに鬼畜眼鏡も適当にあしらいミトラさんのもとに急行する。


 智樹ならミトラさんを殺さないだろうけどいろんな意味で取り返しのつかない事になるかもしれない。そうなる前になんとしてでもミトラさんを助けなければ。

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