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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第四章 悠久のニライカナイ、黄昏の空を飛び続ける天龍【第一部4】

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4-51 聖智樹捕縛作戦の決行

 NAROが拠点として選んだ建物はかつて市役所として使われていた施設で、景観をガン無視した立派過ぎるモダンな建物だった。


 市役所の特徴でもあった植物は時間経過によりこれでもかと成長し、表面はほぼほぼ植物に侵食され、窓は意味を為しておらず内部は薄暗い。


 でも中の様子がわかりにくい方が今は都合がいい。戦時中では明かりが漏れない様にいろいろ工夫していたけど、生い茂るツタは天然の防空カバーとなってくれている。


 智樹達は空襲とかしてこないし、戦力差があるから向こうから攻めてくる事もないだろうけど、どんな武器を使ってくるのかわからないから注意したほうがいいだろう。


 ここは異世界、もしかしたら私達の世界では考えもつかない武器が存在する可能性もある。やっぱり魔法っぽいガジェットも使ったりするのかな。


 智樹達は北にある密林地帯に潜伏している事はわかっているけど、それ以上の情報は何もない。


 密林の戦場を眺めていたノミコちゃんはむう、と顔をしかめてしまった。


「なんかやな感じの戦場だね。見通しが悪すぎる」

「うん。それは向こうにも言えるだろうけど」

「だから不利になるだろう……なんて思わないほうがいいよ」

「わかってる」


 私は皆の命を預かる隊長として覚悟を決める。


 お互い命を奪うつもりがない模擬戦の様なものとはいえ、万が一が起きない保証は一切無いのだ。


 偵察衛星なんてものはもちろんなく、衛星を利用した兵器は全て使えない。その事も織り込み済みで戦略を練っているとはいえその点は不利か。


 NAROは数百人以上の精鋭が集められ、銃火器も含め最新鋭のロボット兵器や機神兵も揃えているので、考えるまでもなく戦力差は圧倒的だ。


「条件を考えればこっちが有利だけど、もしもこれがアニメなら権力と力を持つ私達は劣勢の英雄に打倒される悪役だろうね」

「どうだろうね。弱い側がヒーローとは限らないよ。現実のヒーローは力を手にしたらすぐに悪の親玉になるものだから。ただ一つだけ断言出来る事は智樹達はそう簡単に倒せる相手じゃないって事だね」


 現実の戦場ではフィクションの様なジャイアントキリングはなかなか起きない。


 だけど自分達が強大な巨人と勘違いし、その実力が見掛け倒しだった場合は割と簡単に成立してしまう。


 歴史を見てみると簡単に終わると思っていた戦争で苦戦を強いられて大国が敗北する事は多々あった。有名どころではベトナム戦争やフィンランドの冬戦争だろうか。


 その要因はいろいろあるけど、やはりどちらも相手の能力を過小評価し、都合のいいデータだけを見て楽観視していたのが最大の要因だろう。


 今回の条件が悪すぎる戦場では間違いなく本領は発揮出来ず、兵器も宝の持ち腐れで終わってしまうかもしれない。


 鬱蒼と生い茂る密林はまさしくベトナム戦争の戦場を彷彿とさせる。もしも私達が米軍側なら死を恐れないゲリラによって成敗されてしまうだろう。


 私はその事を自覚しつつも親友と真正面から戦う選択をした。


 ちゃんと話し合うためにも私達は敗北するつもりはない。


 行くよ、智樹。


『作戦開始時刻となりました。任務を開始して下さい。健闘を祈ります』

「了解」


 無線からミトラさんの声が聞こえ私達は迅速に密林地帯に突入する。きっと智樹達は息を潜めながら密林地帯の肉食獣の様に私達を狙っているのだろう。


 ガサガサッ!


 彼らは真っ先に私達を狙い行動に移した。もしも一番強いと考えて最初に狙ってくれたのなら身に余る光栄だ。


 ならばこちらも全力で受けて立つまでだ。お手並み拝見させてもらうよ、智樹!

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