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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第四章 悠久のニライカナイ、黄昏の空を飛び続ける天龍【第一部4】

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4-46 ニライカナイの集落との交渉

 芦田隊長を迎えるために拠点の入口に向かうと、やはり穏やかではない空気が流れていた。


「ぞろぞろとまあ。一体何事です?」


 避難民でもある警備員は必死で虚勢を張っていたけれど明らかに怖がっていた。相手は軍隊にも匹敵する武装勢力だしこうなってしまうのも無理はない。


 代表として話しているのは芦田隊長で、どうにかして彼らからの信頼を得ようと粘っている様だ。


(でもあの格好……?)


 ただ少しだけ気になったのは芦田隊長の格好がいつもの制服ではなく、より中二心がくすぐられる独特な装いだったという事か。


 悪の幹部とかダークヒーローだって言われても納得するくらいカッコよかったけど、なんであんな痛々しい服を着ているんだろう。


「心配しなくても貴方達に決して危害は加えません。ですがニライカナイに拠点を構築するので、危険を避けるために事前に話をしておこうと思った次第です」

「ハッ、ご苦労な事で。異世界に来てまで戦争をするなんてあんたらはどれだけ戦争が好きなんだ」


 芦田隊長は正直に目的を伝えたけど、もちろんそのせいで彼らは余計に警戒してしまった。


 ここにいる人は皆戦争から逃れてきた人達ばかりだし、戦争を何よりも恐れているからとてもじゃないけど受け入れ難いのだろう。


「頼むからもう俺達を巻き込まないでくれ。お前たちの理屈で勝手に戦争をしないでくれ。お前達はこっちの都合を一度だって考えたのか。俺達は静かに暮らしたいだけなんだ……」

「……ええ。そっちからすれば知った事ではないでしょうね」


 警備員の人は避難民の総意を伝え、芦田さんはそれだけ言った後口をつぐんで何も言い返せなくなってしまう。


「交渉は難航している様ですね」

「荒木長官」

「っ」


 しかしそこにミトラさんが自ら現れ芦田さんは驚いてしまう。


 何故かスチームさん率いる医療スタッフも同行していたけれど、大物の登場に警備の人はさらに警戒してしまった。


「補償代わりと言っては何ですが、あなた方のコミュニティに対して物資の提供と医療支援をさせて下さい。今の状況ではお金よりもこちらのほうがいいでしょう」

「なんのつもりだ」

「これは償いでもあります。それに現実的な話をしてしまうと貴方方に危害を加えた場合、我々は沖縄を守護する天龍の怒りを買い壊滅的な被害を受けてしまいます。なのでそんな事はやろうと思っていても出来ません」


 ミトラさんは感情ではなく論理的に説得をした。それは一見ドライな様に見えたけれど、NAROを信頼していなかった人にとってはそっちのほうが響いた様だ。


「我々は皆様を巻き込まない様最大限に配慮して任務を遂行します。どうかご理解ください」

「……まあいい。どの道まともな武器もない俺達に拒否権はないからな。勝手にしろ」

「ありがとうございます」


 それは受け入れというよりも諦めに近かったけれど、警備の人はミトラさん達を受け入れる決断をした。


 指示を貰ったスチームさん率いる後方支援部隊は早速援助を開始し、交渉を無事に終えたミトラさんは遠巻きに見守っていた私に話しかけてきた。


「さて、仲村渠さん。あなたともお話をしてよろしいですか?」

「は、はい!」


 コミュニティの今後が気にならないと言えば嘘になるけど、今は自分のやるべき事をやらないと。


 NAROの八番隊隊長として、そして沖縄ニライカナイの平和を護り、皆で生きて帰ってもう一度アニメ作りをするためにも。

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