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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第四章 悠久のニライカナイ、黄昏の空を飛び続ける天龍【第一部4】

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4-45 落ち込むヒカリと仲間達の不審な動き

 ――仲村渠ヒカリの視点から――


「てろーん」


 智樹と仲違いし、集落に残る選択をした私はゲル状になってテーブルの上に突っ伏した。こういう時は何も考えずに溶けるに限る。


「吹雪は……暑いからいいや。ちょうど良さそうなひんやりしたのはないかなあ。デンジャー先輩、ほっぺ触っていいですか?」

「え、うん」


 私はデンジャー先輩にウザ絡みをしてしっとりぷにぷにとしたほっぺたを触る。うん、思っていた通りなかなか癒されるもちもちほっぺだ。


「これじゃあ駄目だ、赤ちゃんの様な温もりに癒されてしまう。チクタ君は……」

「冷却システムはあるけど、さっき外に出たばかりだから表面温度は六十度くらいだね」

「暖かすぎるハートで火傷しちゃうよ」


 チクタ君は可愛らしくてもロボット兵器だ。どのロボット兵器も金属の塊なので、極限状態では表面温度が九十度に達する事もザラにある。


「暑くても寒くても温度変化は正常な運用に異常をきたすから戦車でもロボット兵器でも近代兵器は対策が必須なのに。歩兵が火傷しちゃうよ」

「中身は全然問題ないよ。それに多分僕を作った人はそういうのを想定しなかったんじゃないかな。僕と歩兵が一緒に戦うシチュエーションを」

「そっかあ」


 リアンによると彼の正体は終末戦争で用いられたロボット兵器らしいけど、私達の世界でもそのうちチクタ君みたいなロボット兵器が作られるのかな。


 馬鹿馬鹿しいやり取りをしていると、イスキエルダさんがすくっと立ち上がってこう言った。


「やはりトモキさん達が心配ですね。少し様子を見に行っていきます。すぐに戻ってきますので」

「え? イスキエルダさん?」


 イスキエルダさんは一方的にそう告げフードコートから出て行ってしまう。唐突に下した判断は少し合理性に欠けていたので皆も少し戸惑っている様だ。


 私がポカンとしていると、エマは彼女が去っていったほうをジト目で見ながらこう言った。


「今更だけど……七千波駅で異世界転移した時イスキエルダ隊長っていなかったよね。こっちの世界ですぐに合流したからスルーしたけど」

「いなかったね。でも近くにいたとかそういうアレじゃないかな。他にも転移した人もいるみたいだし」

「そう」


 プロフェッショナルのエマはもしかしてイスキエルダさんを不審に思っているのだろうか。NAROは仲間も含めて摘発対象だし、普通の事とはいえやっぱり少し悲しい。


「確かにぱふぱふとかリアクションがなんかいつもと違っていたけど。イスキエルダさんも慣れない環境で戸惑っているだけじゃないかな」

「……………」


 私がなんとなくイスキエルダさんに感じていた違和感を伝えると、エマは何故か人斬りモードの眼差しに変わってしまう。


 まさかエマはイスキエルダさんが何かを企んでいる裏切り者と認識したのだろうか。そんな事はないと思いたいけどなあ。


「あとそれを言えばヨンアもいなかったよね」

「ヒカリ、イスキエルダさんの事は気になると思うけどお客さんだよ。多分拠点の人と揉めるから」

「う、うん?」


 ヨンアは質問をはぐらかし、迎えに来てくれた人達の対応をする様に促した。


 出来ればイスキエルダさんにもいて欲しかったけどなんで話し合いをする前にどっかに行っちゃったんだろう。それにヨンアもなんか様子が変だし。


「……話せる時が来たらね。詳しくは言わないけどエマも察してね」

「?」

「私はそれでもいいけど」


 だけど密偵任務が多いエマはその理由がなんとなくわかった様だ。察するって私が一番苦手な事なんだけどな。


 ヨンアがいつも何をしているかイマイチよく知らないけど、甲東官房長官の動向を探るスパイとして送り込まれたくらいだし普段の仕事はそっち系なのだろう。


 もちろん仲間であろうと秘匿性の高い職務の内容を教える事は出来ないはずだ。友達を困らせるのも嫌だから詳しく聞かないでおこう。

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