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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第四章 悠久のニライカナイ、黄昏の空を飛び続ける天龍【第一部4】

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4-41 密林地帯に潜伏した異世界チームの作戦会議

 親友だったヒカリと喧嘩別れをしてしまい、NAROが辿り着く前にショッピングモールの集落を離れた俺達は再び密林地帯に戻っていった。


 俺達は身を潜めるのにちょうど良い要塞の様な施設を発見し、そこをひとまず当面の間の拠点にする事にした。


 サンドボックスゲームに出てくるブロックを組み合わせた様な外観は物々しいが、案内パネルなどちょいちょい行政機関の名残があるので元々は市役所だったらしい。


 なので見た目とは裏腹に耐久性にはあまり期待出来ない。あくまでも一時的な拠点と割り切ったほうがいいだろう。


「うーん、でもこれでよかったんでヤンスかねぇ。アニキの友達にも嫌われたっぽいでヤンスが。ニアちゃんにも……」


 サスケはまだ決断を迷っていたのか、ビーフジャーキーをもひもひと齧りながら難しい顔をしてしまう。


「仕方ないだろ。奴らが約束を守る保証はない。掌を返した奴が信用ならないのはどこの世界でも同じだ」


 後ろめたい彼女には悪いが仲間を護るためには非情にならなければならない。俺がそう告げるとサスケははい、と微かに返事をしてビーフジャーキーをようやく飲み込んだ。


 希典先生はもちろん平常運転で酒を飲んでおり、ニマニマと笑いながら俺に尋ねた。


「それで? 勢いで飛び出たのはいいけど、ゲリラ戦をするにしても我那覇反乱軍とNARO、ついでに天龍リンドヴルムも含めて三つの勢力を一度に相手にするのは無謀だよ」

「そこだよな。簡易クラフトセットで作ったりアイテムボックスを漁ったりすれば物資をある程度は補充出来るけど、何の作戦もなく勝負を挑めばジリ貧になる。もちろんまれっちが力を貸してくれれば楽勝なんだが」

「俺っちがそんな都合のいい奴じゃないって事は知ってるだろう?」

「そうだったな」


 希典先生は最強のチートキャラだが肝心なところで力を貸してくれない。


 かと思えばあっさり力を行使する事もあるので、正直敵にも味方にもしたくない敵以上に厄介な人間だ。


「なあトモキ、こういう時に使える盗賊の名台詞を教えてやろう。欲しいものは奪い取るね、だ」

「どこぞの旅団ならともかくリアルにそれをやったら人としてアウトだろ」

「そうだな、素人からぶんどるのはアウトだ。だが敵からならどうだ?」


 しかしリアンは実に盗賊らしい解決策を提示する。一部のグリードにとって人間アンジョは敵なのでその決断をするのに抵抗はなかった様だ。


「……あまり褒められた方法ではないので、騎士の私としてはやりたくないですね」


 だが誇り高い騎士であるカムナはやはりそのグレーな手法に抵抗はあった様だ。


 戦場において敵から兵器や弾薬を奪い取るのは条約でも認められている。とはいえそれはあくまでもこちらの世界のルールでしかない。


「確かに相手の補給にもダメージを与えるからある程度は許容されますし、連合軍も推奨している節がありますけど、そのためにはまず敵を定義する事から始めなきゃいけないんですが……」


 俺は言葉を選びながら熟考した。


 過酷な現実の前に理想論は無力であり、今はどこの戦場でも敵から物資を奪い取っている。


 だが彼らは拡大解釈をして民間人も軍人と定義し、当たり前の様に国際法を無視しているので最早ルールなんてものは形骸化してしまったのだ。


「ええと……しゅうらくのみんなにひどいことしたらだめだよー」

「わかってるよ。集落の人には絶対手出ししない」


 もしかしたら、と考えたマタベエは泣きそうな顔で俺に縋り付くが、言うまでもなく俺にそのつもりはなかった。いくら苦境でもその一線だけは人として超えてはならないのだから。


「つってもアタシ達がルールを護っても連中のほうはわからないけどな。大方好き放題やるんだろうな」

「んゾ……ニューナジムみたいな事になるのはやだゾ」


 つい最近本物の戦争を経験したザキラとキーアは集落の人の被害を懸念してしまう。


 やりたい放題な連合軍と違って比較的ルールを護るNAROはそんな事をしないと思いたいが、敵にそんな事を期待するのは止めた方がいいだろう。


 だがそんな話をしているとゾクッ、と寒気を感じ、ニイノは不安げに威圧する空を眺めた。


「でもどっちもやりすぎタラ、きっと龍神様は怒ってしまうと思いマス」

「……だろうな」


 おそらくあいつは良からぬ企みをしている俺達を今も空の彼方から睨みつけているのだろう。


 もしも俺達がニライカナイの平穏を乱せば、天龍リンドヴルムは一切の容赦なく俺達に天罰を下すはずだ。


「龍を怒らせないためにも出来る限り血を流さない様にしたほうがいいと思いますポ。私もヒカリちゃん達に痛い思いをさせたくないですし」

「そうだネェ。確かにナーロって人達に気球を壊されそうになったケド、それはそれ、これはこれだからネェ」


 戦う術を持たないモリンさんとリンドウさんは最初から戦おうという発想すらなかったらしい。


 もしも天龍リンドヴルムの怒りを買ってしまえば俺達に為すすべはないし、やり過ぎない様に気を付けながら戦わなければならない。だとしても一体どうすればいいのだろうか……。

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