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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第四章 悠久のニライカナイ、黄昏の空を飛び続ける天龍【第一部4】

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4-38 禁足地に足を踏み入れたNARO達

 その後も情報収集を続けたがこれといった情報が手に入る事もなく、俺達は喫茶店跡地に集まって情報交換をした。


「うーん、やっぱりクレイジーモンキーの事だと思うんだけどなあ」

「お前まだ言ってるのか」


 ヒカリはまだプロレスラー説を信じており自分の主張を曲げようとしなかった。


 確かに葛〇純はインパクトしかない見た目で日本最強のデスマッチファイターだが、間違っても神話に語られる様な人物ではない。


 デスマッチが好きなコアなプロレスファンからすれば神様みたいなものかもしれないけど、ああいうのってプロレス好きでも好みが分かれちゃうし万人受けはしないからなあ。


「ちなみにアマテラス派の言い伝えには悪魔の子の伝説もあるが、そいつはクレイジーモンキーのファンで、仲良くなった奴にはマブカヌマのサメのジャーキーをあげていたそうだぞ」

「知らんがな」


 議論をしているとザキラはどうでもいい情報を教えてくれる。取りあえずそいつが葛〇純のファンで宮城の真深沼まぶかぬまに縁がある事はわかったけど。


「ミミキリボンズって言うくらいですし、やっぱり聖職者だと思いますポ」

「普通はそうですよね。俺達の世界でもクルガネザーシーとミミキリボンズの昔話はありますが、早い話がやらかして妖怪になった高僧でしたし」

「そうだ! きっと新〇人生だ! 耳なし芳一みたいな見た目だし!」

「わかったわかった」


 モリンさんは議論を修正し、俺はあくまでも現実的に有り得るアプローチで解読を試みる。もちろんプロレスの事しか考えていないヒカリの意見は無視だ。


「……どうする、なんか外で揉めてるらしいぞ」

「取りあえず兵隊を集めろ、すぐにだ」

「ん」


 だけど店の外が騒がしくなってしまい気になった俺は一旦情報交換を止める。


 警備の人が心配そうに話し合っているけど何かしらのトラブルでもあったのだろうか。


 俺は外の様子をうかがうためマップ機能で探ってみる。


 見通しの悪い密林地帯なのでマップ機能をもってしても把握するのは骨が折れるが、相手に認知も撃墜もされない偵察ドローンを飛ばしている様なものなので根気強く粘れば問題は無い。


「ダンディ仮面?」


 注意深く観察していると武装した一団を発見し、また俺はすぐに先頭を歩く人がモッコスやカザンマで見かけたダンディな声の人だとわかった。


 というかよく見なくても怪しすぎる中二っぽい仮面のおかげですぐにわかる。


 ヒカリが撃沈した船に乗っていた人もダンディな声だったけど、ひょっとしたら同一人物だったのかもしれない。もしそうなら無事に生還した様で何よりだ。


 怪しさしかない見た目だけど別に悪人ではなく、復興支援のボランティアや地域交流をしてくれていた善良な人達だったし。でもどうしてニライカナイにやってきたんだろう?


「ダンディ仮面? って?」


 もちろんヒカリ達はダンディ仮面の存在を知らないので、俺がぽつりとつぶやいた謎のワードに首をかしげてしまう。


 俺は彼らの事を説明しようとしたが、


「ッ!?」


 その一団は見覚えのある制服を着た連中と合流したので、驚愕した俺は出しかけた言葉を飲み込んでしまった。


「……なあ、こっちに来ているNAROってヒカリ達以外にもいるのか?」

「え? いるにはいるけど数えるほどしかいないよ」

「そうか」


 軍服の様な制服を着たNAROは軽く見積もって百人以上はいる。


 なのでこいつらは我那覇総督の反乱が集結した後、巻き添えを食らって異世界転移をしてやって来たというわけではないのだろう。


 しかも彼らはただのヒラ隊員ではない。その中には俺でも知っている有名な隊長クラスの幹部もいたので眉間にしわを寄せながら尋ねた。


「高倉エイトと荒木美虎がいる。この理由を説明出来るか?」

「エイトくっ、高倉隊長が? 本当に?」


 エマは高倉エイトの名前を聞いた途端に明るい顔になってしまう。俺にとっては恐怖の対象でも彼女にとっては頼れる仕事仲間だからなのだろう。


 一瞬下の名前で親し気に呼んだし、この反応を見る限りそれ以外の感情も抱いてそうだけど……いや、しょうもない考えは止めよう。


「まさかミトラさんまでこっちに来たのかなあ。でも何でわかるの? 監視カメラでも仕掛けてたの?」

「そんな事はどうでもいい。俺は理由を聞いているんだ!」

「え、うん……」


 俺は思わず声を荒げてしまったのでヒカリは少し怖がってしまう。彼女に当たっても仕方がないって言うのに。


 キーアは俺が豹変した理由がわからず、のんきにお茶請けのちんすこうを齧りながら質問した。


「よくわかんないけどヒカリの仲間なら悪い奴じゃないと思うゾ? ミトラって悪い奴なのか?」

「ミトラさんは高潔で立派な御方ですが公安組織のトップなので、敵になるかどうかは立場によりますね」


 イスキエルダさんは出来るだけ角が立たない言い方で説明する。彼女はやんわりと言ったが俺達の立場が相容れないのだという事は当然わかっているはずだ。


「ミトラと言うとNAROの幹部の方ですね。直接面識があるわけではありませんが、何故そのような方が」


 龍帝タイロンの側近でもあるカムナはどこかで荒木美虎の事を知る機会があり、その素性も知っているのだろう。


 けれどそれ故に彼女はこれが由々しき状況である事を理解してしまった様だ。


 今のこの状況は他国の公安行政のトップが武装した隊員と共に軍事的な理由で禁足地になっている場所に現れるという、現実世界ならほぼ確実に国際問題となる重大事態なのだという事を。

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